光変調器の開発動向と材料設計、デバイスの作製技術
★基本原理、各種方式の特徴、これまでの研究動向、
そして薄膜ニオブ酸リチウム、有機EOポリマーなど新しい材料を用いたデバイス開発の状況
セミナープログラム
<10:30〜12:00>
1.光変調技術の基礎と研究動向
早稲田大学 川西 哲也 氏
【本講座で学べること】
・光変調の基本原理と物理的理解
・光通信システムにおける変調技術の役割
・各種光変調器(直接変調・外部変調)の特徴と使い分け
・多値変調と高速・大容量通信の関係
・最新デバイス技術
・光電融合・6Gに向けた技術動向と課題
【講座概要】
本講座では、光通信システムにおいて中核的な役割を担う光変調技術について、基礎原理から最新の研究動向まで体系的に解説する。近年、光ファイバ伝送の高度化に伴い、信号波形を光のまま高精度に伝送する「トランスペアレントな伝送」が進展しており、光変調の精度および機能は通信性能を左右する重要な要素となっている。本講座では、振幅・位相変調などの基本原理、多値変調方式と通信容量の関係を理解した上で、直接変調および外部変調、電界吸収型変調器、電気光学変調器など各種デバイス技術について解説する。さらに、コヒーレント通信や光電融合、テラヘルツ応用など、次世代通信システムに向けた展開についても紹介し、光変調技術の全体像を俯瞰的に理解することを目的とする。
1.通信システムの進化と光変調技術の位置付け
1.1 Beyond 5G / 6Gにおける光電融合の必要性
1.2 通信システムの高度化と伝送の透明性、
2.光通信システムの基礎
2.1 光送受信の基本構成(EO/OE変換)
2.2 多重技術
3.光変調の基礎原理
3.1 振幅変調とサイドバンド
3.2 位相・角度変調
3.3 帯域幅と周波数利用効率
4.変調方式と通信性能
4.1 ビットレートとボーレート
4.2 多値変調(OOK、QPSK、QAM)と大容量化
5.光変調器の原理とデバイス技術
5.1 直接変調と外部変調
5.2 チャープ
5.3 電界吸収型変調器
5.4 電気光学変調器
5.5 最新動向
【質疑応答】
<13:00〜14:30>
2.マイクロ転写プリント技術によるシリコンフォトニクス上への
薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)変調器の異種材料集積
(国研)産業技術総合研究所 村井 俊哉 氏
【本講座で学べること】
・次世代光通信技術の動向
・薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)の特性と利点
・マイクロ転写プリント(μ-TP)技術の基礎とメリット
・高性能ハイブリッド変調器の設計
・デバイス作製・転写プロセス技術の実践的知見
【講座概要】
生成AI技術の急速な進展に伴い、データセンターにおける通信トラフィックは爆発的に増加しており、短距離光トランシーバの伝送容量は現在の800Gから3.2Tクラスへと飛躍的な向上が求められています。これまで、シリコンフォトニクス技術は小型で低コストな光集積回路の実現に大きく貢献してきましたが、従来のシリコン変調器はキャリア分散効果に依存しているため、変調速度(帯域)と効率、そして光損失の間に厳しいトレードオフが存在し、性能の限界が顕在化しつつあります。
この課題を打破する鍵として注目されているのが、薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)の異種材料集積です。TFLNは極めて高い電気光学(ポッケルス)係数を持ち、キャリア吸収がないため、高速かつ低消費電力な光変調器を実現する理想的な材料です。しかし、異なる材料であるTFLNをシリコンフォトニクス基板上へ高密度かつ低コストで実装するには、従来のウエハ接合技術ではチップ面積の無駄や製造プロセスの制約が生じるという課題がありました。
本講座では、この実装課題を解決するブレイクスルーとなる「マイクロ転写プリント(μ-TP)技術」を用いた画期的なアプローチについて詳説します。特に、シリコン導波路との間で光を極めて低損失で受け渡す「層間カプラ構造」の最適設計や、これまで機械的安定性の観点から困難とされていた長尺(最大1.1 cm)のTFLNクーポンを安定してプリントするための独自のプロセス技術について、具体的な実証データとともに解説します。
μ-TP集積型TFLN変調器としては世界最小クラスの駆動電圧(Vπ = 2.7V)や67 GHzを超える超広帯域動作など、実証された最先端のデバイスパフォーマンスを共有することで、次世代の大容量光トランシーバおよび大規模フォトニック集積回路の実現に向けた新たな設計指針と将来の展望を提示します。本講座が、光通信技術のさらなるスケールアップを目指す皆様にとって、次なるイノベーションへのヒントとなることを目的としています。
本講座を通して、光通信のさらなる大容量化に取り組む皆様に、次なる技術革新へと繋がる具体的なブレイクスルーのヒントをご提供できれば幸いです。
1.研究の背景と目的
1.1 データセンター通信の大容量化と次世代光トランシーバへの要求
1.2 シリコンフォトニクス変調器の性能限界と課題
1.3 薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)の優位性:光変調器技術の比較
2.マイクロ転写プリント技術(μ-TP)の特長
2.1 従来の接合技術(CoW/WoW)との比較
2.2 CMOSバックエンド工程との親和性および異種基板への柔軟な集積手法
3.Si/TFLNハイブリッド変調器の設計と作製
3.1 TFLNリブ導波路による強力な光閉じ込めの実現と変調効率の向上
3.2 Si/TFLN層間カプラの設計
4.実験結果およびデバイス性能の評価
4.1 光学的特性
4.2 変調特性
4.3 高速応答特性
5.結論と次世代フォトニック集積への展望
5.1 3.2 Tbit/s 級光トランシーバに向けたμ-TP技術の有用性
5.2 今後の課題:電極の事前集積化およびμ-TPによる大規模並列実装の可能性
【質疑応答】
<14:45〜16:15>
3.有機EOポリマーの特性と光変調素子への応用
(国研)情報通信研究機構 大友 明 氏
【本講座で学べること】
・有機EOポリマーの材料開発に向けた基礎知識
・有機EOポリマーの特徴の理解とそれを活かしたデバイス化の指針
・有機EOポリマーを用いた光変調素子の特徴と応用への展望
【講座概要】
データ駆動型社会への変革が進み、データセンターやAIサーバーの急激な需要増加により、データ通信の高速化と低消費電力化が喫緊の課題となっている。データ通信は短距離の電気配線と中距離の光通信が混在したシステムであり、電気信号と光信号間の光電信号変換を担うのが光変調素子である。データ通信の高速化が進展するに伴い、電子回路のより近くから広帯域である光通信が用いられるようになっている。そのため、光変調素子には、高速化とともに小型集積化が求められている。また、次世代情報通信基盤において超高速・大容量の無線通信を実現するために、無線周波数がテラヘルツ領域に達することが見込まれている。テラヘルツ波は伝送損失が大きいことから、テラヘルツ波信号波形を光ファイバーを用いて伝送する光ファイバー無線(Radio-over-Fiber : RoF)技術が必須となる。RoFシステムのリモートアンテナなどにおける無線信号の受信において、無線信号から光信号への変換を行うデバイスとして、空間伝搬するテラヘルツ波で直接変調できるテラヘルツ変調素子が必要となる。しかし、従来材料を用いた変調器では高速化や小型集積化に限界があることから、高速化や高効率化が可能な有機EOポリマーを用いた光変調素子が注目されている。有機EOポリマーを用いた光変調素子は、近赤外の光通信波長帯だけでなく、可視光においても高速高効率な変調が可能であり、これを用いた光フェーズドアレイは、近赤外光から可視光までの様々な光操作応用への展開が期待されている。本講演では、有機EOポリマーの性能向上のための基礎知識として基本特性や設計指針、評価技術などについて論じるとともに、小型超高速光変調素子やテラヘルツ無線信号−光信号直接変換素子、超高速光フェーズドアレイなどの応用例を紹介し、デバイス化の指針を示す。
1.はじめに
1.1 有機EOポリマーの特徴
1.2 有機EOポリマーの応用
2.有機EOポリマーの特性
2.1 有機EOポリマーの高性能化
2.2 動作波長域
2.3 耐熱性
2.4 耐光性
3.有機EOポリマーを用いた光変調素子と応用
3.1 小型超高速光変調素子(光インターコネクト)
3.2 テラヘルツ無線信号−光信号直接変換素子(THz-RoF)
3.3 超高速光フェーズドアレイ(3Dディスプレイ)
【質疑応答】
セミナー講師
1. 早稲田大学 理工学術院 基幹理工学部 電子物理システム学科 教授 博士(工学) 川西 哲也 氏
2. (国研)産業技術総合研究所 光電融合研究センター 研究員 博士(工学) 村井 俊哉 氏
3. (国研)情報通信研究機構 未来ICT研究所 上席エキスパート ナノ機能集積ICT研究室 上席研究員(兼務) Ph.D. 大友 明 氏
セミナー受講料
1名につき60,500円(消費税込・資料付き)
〔1社2名以上同時申込の場合1名につき55,000円(税込)〕
主催者
開催場所
全国
受講について
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