~機能性高分子フィルム製造において狙った乾燥を実現するために~

■Roll To Roll製造における乾燥現象と膜質コントロール方法の把握■
■乾燥工程設備の違いと特徴、対象素材に適した乾燥方法■
■実験室から量産へのスケールアップの方法と留意点■
■乾燥起因の面状トラブル(風ムラ、ベナールセル、発泡、白化、レベリング)と対策■

・フィルムの生産能力速度と製品品質に影響する乾燥を上手に行うには
・「乾燥は難解」という印象の払拭に向け、理論や難解な式の解説を最小限にし、 
「程々にイメージを持てる丁度良い解説」を目指します
ロールツーロール製造におけるフィルム生産での「上手な塗り方」と「上手な乾かし方」のコツとツボを伝授
乾燥現象の基礎、乾燥の影響因子と扱い方、スケールアップの方法 風ムラ、
 ベナールセル、発泡、白化、レベリング、ハジキ・ムラ等のトラブルへの対策
・フィルム乾燥プロセスでは一体何が起こっているのか、何をどこまで制御できるのか? 

 

日時

【Live配信】2024年6月12日(水)10:30~16:30
【アーカイブ配信】2024年6月26日(水)まで受付(視聴期間:6/26~7/9)
  受講可能な形式:【Live配信】or【アーカイブ配信】のみ 

セミナー趣旨

機能性フィルムをRoll To Rollのウェット工程で製造する際、塗って乾かす工程が必ず必要になる。この中で、乾燥工程は膜質に大きく影響し、新製品開発をスケールアップして量産機で試作しても、少量品の品質性能を再現しにくい一因である。更に乾燥速度は生産能力速度に直結するので、品質を損なわずに生産性を保つ乾燥方法と条件を見つめなければならない。このように乾燥工程はフィルム製品を作る上で重要な要因であるにもかかわらず、多くの研究者や工程技術者は「乾燥は難解」という印象を持っているであろう。何故ならば、乾燥を解説した書物や論文は特殊な現象を取り扱っていたり、厳密さを突き詰めるがあまり、数式が羅列して難し過ぎるからである。また、塗工液には水系と有機溶媒系があり、乾燥現象を共通して取り扱う書物が少ない。しかし、乾燥現象は洗濯や風呂あがりのドライヤーなど、日常生活で経験する現象であり、乾き方や乾燥時間について誰もがイメージを持っているし、水系・有機溶媒系に関わらず移動現象として共通した説明が可能なはずである。
そこで、「程ほどにイメージを持てる丁度良い解説」を目指して、このセミナーでは「乾燥プロセスのイメージ作り」ができるよう、乾燥現象のツボを難し過ぎず解りやすく解説する。基礎理論を紹介した上で、演習ツールを活用して、実際の乾燥条件の計算方法を紹介する。更に風ムラやベナールセルなど塗工品で発生する面状トラブルの原因と対策についても解説する。

受講対象・レベル

主にRoll To Roll製造の初学者から、製造技術に携わるエンジニア、機能性フィルムを実験室から量産にスケールする研究者

習得できる知識

・Roll To Roll製造における乾燥現象の考え方
・乾燥工程の設計方法
・乾燥設備の違いと特徴
・高分子膜の溶剤調湿
・実験室から量産にスケールアップする際の留意点など

セミナープログラム

1.はじめに
 1-1.はじめに
 1-2.「減率乾燥」と「限界含水率」
 1-3.塗工と乾燥 (開発とパイロットと量産)
 1-4.フィルムが利用されている製品は?
 1-5.製品に占めるフィルム要素
 1-6.フィルムの構成要素 ~ 厚みと層数 ~
 1-7.塗る ~ 溶かした液を塗る (Dry厚 ÷ 濃度=Wet膜厚)
 1-8.開発のステップ
 1-9.実験室とRoll To Rollの違い
 1-10.乾かし方も色々
 1-11.日常生活で関わる乾燥
 1-12.家庭の乾燥機器
 1-13.乾燥の支配因子
 1-14.このセミナーの進め方

2.【基礎編】乾燥設備と溶媒の寄与
 2-1.乾燥風の供給方法 (並列と直列)
 2-2.乾燥風の供給方法 (並行流)
 2-3.乾燥風の吹き出し方式(二次元ノズル)
 2-4.乾燥風の吹き出し方式(多孔板)
 2-5.乾燥風の吹き出し方式(浮上系)
 2-6.溶媒の寄与 (水と他の溶媒の違い)
 2-7.乾燥に関わる物性値
 2-8.水系の乾燥速度
 2-9.塗膜の表面温度は湿球温度 (空気線図)
 2-10.比エンタルピー(=潜熱+顕熱)
 2-11.水と他の溶媒との違い(1)蒸発潜熱
 2-12.他の溶媒との違い(2)飽和蒸気圧
 2-13.他の溶媒との違い(3)飽和蒸気圧と温度
 2-14.各溶媒の空気線図
 2-15.等湿球温度線(1)水はLewis近似式
 2-16.等湿球温度線(2)Colburn-Chiltonの相関
 2-17.物質と熱の拡散(ルイス数)

3.定率期間と減率期間
 3-1.限界含水率と固形分濃度
 3-2.乾燥中の膜内の溶媒移動
 3-3.減率乾燥の実測(水~PVA)

4.【演習】乾燥計算の練習(第1ラウンド)
 4-1.風量の影響
 4-2.湿度の影響
 4-3.風温の影響
 4-4.溶媒の影響

5.減率乾燥速度
 5-1.簡易計算法(乾燥係数 N=1/2~2/3)
 5-2.乾燥係数をN=1にすると?(収束しない)
 5-3.減率乾燥を実測で見積もるために
 5-4.減率乾燥を実測で見積もる手順
 5-5.水系の限界点・仮想点・乾燥点(PVA水溶液)
 5-6.単溶剤系の乾燥速度(親水/疎水性と湿度)
 5-7.2成分系の減率乾燥(MEK+トルエン)
 5-8.2成分系の室温乾燥(MEK+シクロヘキサノン)
 5-9.2成分系の溶媒比率(MEK+EB)
 5-10.2成分系の乾燥挙動
 5-11.2成分系の乾燥見積もり
 5-12.粒子~高分子の混合系(SiO2+PVA)
 5-13.共沸混合物の乾燥

6.乾燥設備
 6-1.一般的な構成(予熱・加熱・絶乾・冷却)
 6-2.乾燥方式と伝熱係数
 6-3.各方式の能力比較
 6-4.乾燥効率の支配因子(噴流)
 6-5.噴流の距離と減衰
 6-6.多孔板と二次元ノズル(軸対象とスリット)
 6-7.多孔板と二次元ノズルの乾燥計算
 6-8.多孔板の孔形状
 6-9.幅要因(どこで排気するか?)
 6-10.風の分配と風向(傾斜ノズル)
 6-11.フローティング (浮上系)
 6-12.風の取り回し(直列と並列)
 6-13.風の取り回し(品質と省エネと投資)

7.【演習】 乾燥方式と必要な炉長(第2ラウンド)
 7-1.並行流
 7-2.二次元ノズル
 7-3.多孔板
 7-4.複合ゾーン

8.乾燥起因の面状トラブルと対策
 8-1.ベナールセル(ゆず肌)
 8-2.ベナールセル(マランゴニ効果に影響する物性)
 8-3.ベナールセル(マランゴニ数による診断)
 8-4.ハジキ(メカニズム)
 8-5.クリーン化による異物対策
 8-6.クリーン度を維持する換気と風速
 8-7.塗工室の換気が誘発する風ムラ
 8-8.レベリングの理論(Orchard 式)
 8-9.塗工室の換気による風ムラのレベリング
 8-10.塗工室のクリーン化に必要な換気頻度
 8-11.工程クリーン度の診断
 8-12.工程クリーン度の診断例
 8-13.塗工室と前後ゾーンの圧力バランス
 8-14.塗工室の気流の数値解析
 8-15.塗工室内の要因と気流のシミュレーション
 8-16.塗工室前後の差圧の影響
 8-17.気流の履歴
 8-18.数値計算結果まとめ
 8-19.乾燥初期の風ムラ(風速の影響) 
 8-20.乾燥初期の風ムラ(風温の影響)
 8-21.風ムラ対策(遮風)
 8-22.下向き塗工面による風ムラ対策(密度流)
 8-23.レベリング(基板の凹凸ムラ)
 8-24.乾燥中の発泡トラブル対策
 8-25.白化現象の原因と対策

9.調湿(膜中の残留溶媒の調整)
 9-1.調湿の目的と方法(硬化反応、応力緩和、接着など)
 9-2.気液平衡と含水率
 9-3.残留溶媒の評価法(直接測定、表面抵抗による見積もり)
 9-4.残留応力の緩和
 9-5.巻き品質の安定化

10.塗工方式との連携
 10-1.塗工方式の分類(送液系と計量方法)
 10-2.ダイ方式の三種
 10-3.製品群と塗布方式

11.DryかWetか?
 11-1.Liイオン電池:正極製造(WetからDryへ)
 11-2.全固体電池における固体電解質の課題
 11-3.ドライプロセスによる複合膜形成
 11-4.蒸着からWetプロセスへ(静電噴霧)
 11-5.ペロブスカイトのハイブリット塗工~乾燥

□質疑応答

セミナー講師

AndanTEC 代表 浜本 伸夫 氏
元富士フイルム(株)、元サムスン電子
略歴
1992年 北海道大学 工学部 合成化学工学専攻 修士修了
  同年 富士写真フィルム 塗工を中心としたフィルム生産工程業務に従事
2007年  同 社 フラットパネル生産部 主任技師(管理職)
2013年 サムスン電子 総合技術院 素材開発センター 主席研究員 新素材開発に従事
2019年 栗村化学 工程開発チーム長 粘着フィルム・離型フィルム等の工程開発
2021年 米国 Zymergen社 シニアマネージャー バイオ由来ポリイミド開発
2022年 ミドリ安全 商品開発部 ジェネラルマネージャー ニトリルゴム手袋開発
2023年 AndanTECとして執筆・講演・コンサル業に専念
専門
塗工/Roll To Roll製造/クリーンルーム/静電気

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全国

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キーワード

塗装・コーティング   生産工学

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