ポリプロピレンの基礎知識と活用のポイント ~特徴・構造およびその制御・用途展開に向けた最適な加工・設計指針~

ポリプロプレンを取り扱う上で知っておきたい技術的な必要知識を習得!性能変化の各種要因や評価方法、使用時に起こりがちな問題点まで網羅! 

セミナー趣旨

  ポリプロピレンは、身の回りで多く使われている汎用樹脂の一つです。その理由として、成形加工しやすい、コストパフォーマンスに優れる、耐久性に優れる上に様々な特性や性能をカスタマイズできる等があげられます。
  しかし、その特徴を活かすためには、適切な銘柄を調達し、最適な加工を施す必要があります。
  この講座では、ポリプロピレンの持つ特徴を種々の素材と比較し説明します。その上で、様々な用途展開に向けポリプロピレンを最適に活用するため、非常に幅広い知識の中で必要となる事柄を広く浅く、基礎から応用までの技術をその要点をふまえ解説していきます。
  実務でポリプロピレンを扱っていて、日ごろ疑問を持っている技術者との質疑応答を通して、一方通行では説明されないようなトビックスまで幅広く解説します。

受講対象・レベル

ポリプロピレンを購入して使用している技術者は全て対象です。化学企業でポリマーブレンドに使用している方、成形加工会社で成形加工している方、最終製品のために設計している方などです。

習得できる知識

・ポリプロピレンを選択するにあたり、必要な性能により最適なものを決定できる。
・ポリプロピレンを成形するにあたり、最適な成形条件が設定できる。
・ポリプロピンの部品を設計するにあたり、注意するべきことが分かる。
 など

セミナープログラム

1.ポリプロピレンの位置づけ
 1.1 ポリプロピレンの市場

 (1) 日本の高分子の生産は2000年をピークに減少している
 (2) 世界の中の日本 (2019年統計)
 (3) 生物由来樹脂による代替は難しい
 (4) PPの用途 (2020年)
 (5) 生物由来樹脂の用途
 1.2 ポリプロピレンの歴史
 (1) 何故PPとPLAに差が出たのか?
 (2) ZN触媒とは何か
 (3) 製造プロセスとは何か
 1.3 他素材と対比した特徴
 (1) 金属、セラミックスとの比較
 (2) エンプラ、エラストマーとの比較
2.ポリプロピレンの基本構造
 2.1 分子構造

 (1) 一次構造: メチル基の効果
  ① 対掌体
  ② 基本バラメータ
  ③ 立体規則性
  ④ 注意:D体・L体の区別はない
  ⑤ まとめ (全体像)
  ⑥ 高度な話: 重合反応における欠陥
 (2) 二次構造
  ① 分子鎖の広がり
  ② メルトと固体での回転半径の計算事例
  ③ 分子鎖を真っ直ぐなジグザクに伸ばした時の長さ
  ④ 末端間距離の意味するところ
  ⑤ 特性比
 (3) 高次構造
  ① 立体配座
  ② 結晶多形
  ③ ペアレント-ドータ構造
  ④ スキン-コア構造
  ⑤ 現実の成形品の高次構造
 (4) 市販PPの分子構造
 補足 汎用PPの特性比較
 2.2 製造方法
 (1) 製造方法の概要
 (2) 製造方法が大切な理由
 (3) 製造プロセスに関わるキーワード
 (4) プロセスの違いは、化学構造の違いとなり、最終的に物性に影響する
 (5) 製造プロセスまとめ
 2.3 触媒技術
 (1) 触媒に関わるキーワード
 (2) 触媒の基本的な役割
 (3) 均一触媒と不均一触媒
 (4) 旧世代の均一触媒を使用した場合
 (5) 現世代の不均一触媒を使用した場合
 (6) 組成分布と触媒の活性点
 (7) 高度な構造制御
 (8) パウダーモルフォロジー
 (9) ポロシティ、その役割
 参考 ドナー(電子供与体)
 2.4 構造と物性との関係
  ① 物性を支配する因子
  ② ランダムPPの共重合量と物性
  ③ 剛性-衝撃バランス
3.ポリプロピレンの評価方法と性能
 3.1 カタログの見方: 基本物性

 (1) カタログの見方
  ① 数値物性の部分
  ② 組成情報の部分
 (2) メルトマスフローレート
  ① 分子量の大きさの尺度、流れやすさの尺度
  ② 測定の原理
 (3) 引張特性
  ① JIS試験片
  ② S-Sカーブ
 (4) シャルピー衝撃試験
  ① 試験方法
  ② エネルギー吸収のメカニズム
 (5) 荷重たわみ温度
  ① 測定原理
  ② 弾性率の温度変化
  ③ DMAの温度分散
 3.2 耐久性と添加剤の必要性
 (1) 高分子材料が使われる理由
 (2) PPの問題
 (3) プラスチックを劣化させる因子
 (4) 添加剤の重要性
 (5) 環境で分解するということ
 (6) 熱分解・光分解
 (7) 分解様式の違い
 (8) 高分子の劣化・分解への対策
 (9) 高分子に使われる添加剤の全体像
 3.3 性能の拡大: フィラー充填、繊維強化、タフニング
 (1) コンパウンドとは何か
 (2) 自動車用PPの例
 (3) 慣用的な分類: 高衝撃
 (4) タルク充填PP
  ① タルクとは
  ② タルクの分散状態
 (5) ガラス繊維強化PP
  ① ガラス繊維とは
  ② 補強効果
  ③ 製造方法の概要
4.ポリプロピレンの用途と成形加工
 4.1 容器包装用途と成形加工法

 (1) フィルム成形
  ① 無延伸フィルム
  ② 二軸延伸フィルム
  ③ インフレフィルム
 (2) シート・熱成形
 (3) 中空容器 ブロー成形
 4.2 医療器具、自動車用途と成形加工
 (1) 射出成形
  ① 成形過程
  ② 成形品の特徴
 4.3 発泡、繊維などの用途に合わせた成形加工
 (1) 繊維の製造
  ① 紡糸方法
  ② 溶融紡糸の巻き取り速度
 (2) 発泡
  ① 発泡スチレンの製造
  ② 物理発泡PP
  ③ 発泡形態
 4.4 成形加工による構造制御と物性制御
 (1) 同じPPでも成形加工により最終性能が変化する理由
  ① カタログのMFRだけでは分からないこと
  ② 溶融粘度の測定方法
  ③ 分子量分布の違い
  ④ 分子量分布により溶融粘度のせん断速度依存性が変化する
 (2) 成形加工による構造と物性の変化
  ① 延伸による結晶構造の変化
  ② 射出成形
  ③ 流動による結晶化と造核剤による結晶化
  ④ 急冷と徐冷による結晶化
5.今後の動向
 5.1 使用時に起こりがちな問題点

 (1) フィルムの特性 
  ① 引裂性: メタロセン系L-LDPEの意味
  ② 引裂性
  ③ バリア性
 (2) 射出成形品の特性
  ① 傷つき性
  ② 割れ
  ③ 寸法精度
  ④ そり変形
  ⑤ 疲労
  ⑥ ブリード不良
 5.2 国際的な調達上の問題点
 (1) 環境規制はどこに向かうのか
 (2) モノマテリアルと3R
 (3) 地域の事情により全く同一のPPは調達が難しい
<質疑応答>

セミナー講師

 山形大学 グリーンマテリアル成形加工研究センター 産学連携教授 博士(理学)  小林 豊 先生

■ご略歴
1985年 出光興産入社 ポリプロピレン系ポリマーブレンドの開発に従事
2021年 同社を定年退職
同年 山形大学 産学連携教授 海洋分解性高分子の開発に従事
■ご専門および得意な分野・ご研究
自動車用途向けのポリプロピレン系ポリマーブレンド
海洋分解性高分子のポリマーブレンド
射出成形
■本テーマ関連のご活動
Society of Plastics Engineers 日本支部 理事

セミナー受講料

1名47,300円(税込(消費税10%)、資料付)
*1社2名以上同時申込の場合、1名につき36,300円
*学校法人割引;学生、教員のご参加は受講料50%割引。

受講について

  • 配布資料は、印刷物を郵送で1部送付致します。お申込の際はお受け取り可能な住所をご記入ください。
    お申込みは4営業日前までを推奨します。
    それ以降でもお申込みはお受けしておりますが(開催1営業日前の12:00まで)、
    テキスト到着がセミナー後になる可能性がございます。
    資料未達の場合などを除き、資料の再配布はご対応できかねますのでご了承ください。
  • 受講にあたってこちらをご確認の上、お申し込みください。
  • Zoomを使用したオンラインセミナーです
    →環境の確認についてこちらからご確認ください
  • 申込み時に(見逃し視聴有り)を選択された方は、見逃し視聴が可能です
    →こちらをご確認ください

※セミナーに申し込むにはものづくりドットコム会員登録が必要です

開催日時


10:30

受講料

47,300円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

※銀行振込、コンビニ払い

開催場所

全国

主催者

キーワード

高分子・樹脂材料   高分子・樹脂加工/成形   機械材料

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10:30

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47,300円(税込)/人

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