特許情報からみたリチウムイオン電池(LIB)リサイクルの技術開発動向分析 ~国内外における「EV産業を支えるLIB」リサイクル技術開発への取り組み状況を俯瞰~

EU規制や資源循環の潮流から急激に技術開発が進むリチウムイオン電池リサイクル技術の最新動向を把握!
ニッケル、コバルトおよびリチウムの回収からダイレクトリサイクル技術まで!

セミナー趣旨

  EV産業は、世界的な潮流に支えられ、飛躍的な成長を遂げつつある。その動力源となる、リチウムイオン電池(LIB)の世界的生産量は急激に増加しており、2021年の世界の車載用LIB廃棄重量は96,850トンと見積られている。EVに搭載されたLIBは、その寿命を終えても、当初電池容量の約80%を保持しているとされる。この電池容量は、EV搭載には適さないが、その他の用途向けには、リユース可能な電池容量である。そこで、「EV向けLIBで、電力網を支える展開」も指向されている。
  EV向けLIB生産量の増加にもかかわらず、持続可能なLIB循環リサイクルの実現には至っていない。なぜなら、EV搭載LIBの設計においては、安全性の向上・高性能化・長寿命化が優先されており、循環リサイクルを想定した設計にまでは至っていない。
  一方では、「LIB向け金属資源の枯渇」や「不安定な世界情勢に基づく、金属資源価格の高騰」に対する危機感がある。このようなこともあり、LIBの循環リサイクルへの取り組み意欲は、従来よりも高まっており、LIBのリサイクル方法にも、大きな変化が生まれている。
  LIBを破砕して得られる正負極材料が混合した塊や粉(ブラックマス)から、各種元素を取り出す方法も、Pyrometallurgy(乾式精錬)からHydrometallurgy(湿式精錬)へと移行している。湿式精錬では、従来からの有価金属(NiやCo)だけでなく、Li資源の回収も実現している。正極においては、再利用ともなる「ダイレクトリサイクル」が指向されている。日本においても、「ダイレクトリサイクル」を標榜するプロジェクトがスタートしており、「正極ダイレクトリサイクル」の工業化をめざしている。
  米国では、資源に対する地政学的見地から、「負極からの高純度グラファイト回収の実現」や「負極のダイレクトリサイクル」も報告されている。このようなことを踏まえ、「LIBの循環リサイクル実現」をめざした、今後の取り組みが期待されている。このような潮流こそ、「調整電源として、EV用LIBを電力網に組み込む」ことを支えてくれる。
  本セミナーでは、まず特許情報・技術開発情報の入手・動向把握方法について言及した後、実際に、低コストのLIB構成材料調達実現をめざす「新世代の資源提供」に関する技術開発動向の俯瞰を試みる。

セミナープログラム

1.はじめに
   1.1 企業活動の根幹
   ~企業に課せられた課題は?
 1.2 貴社:どちらで事業参入?
   ~事業開発では時間軸に注目!
   参考)既存企業のInnovation:知の深化*知の探索
 1.3 企業経営における意思決定
   ~知財情報:未来予測の洞察に活用
 1.4 企業活動と知的財産
   ~知的財産の位置づけ
 1.5 企業における特許の役割
   ~ビジネス発想で時空を超える!
 1.6 知的財産権:「技術進化の方向性」までも支配可能!
   参考)特許権:条件付き無償開放の「罠」 
 1.7 Patent:企業におけるInventionの源泉
   ~特許=課題×解決手段
   視点)特許出願:知的財産への投資
2.公開情報:業界/企業/技術開発動向の入手・把握
 2.1 業界情報
   ~日経系新聞、日経BP、企業公開情報、・・・
 2.2 無料公開情報の活用
   ~政府資料、調査会社報告書概要/目次、・・・
 2.3 企業HPの活用
   ~沿革、求人情報(注力事業分野、開発拠点)、・・・
 2.4 競合に関わる企業情報
   ~有価証券報告書、Form 10-K、・・・
 2.5 有価証券報告書
   ~項目一覧
   参考)非上場企業のビジネス情報
 2.6 Form 10-K(米国:SEC)
   参考)米国:Form 10-K v. 日本:有価証券報告書
3.LIB向け資源の現況
 3.1 地球上のLIB向け資源分布
   ~精錬・製造
 3.2 LIB v. EV産業の発展
   ~地政学的観点で捉える必要あり!
 3.3 EU:LIB産業創生
   ~循環経済を前提に!
   参考)サーキュラーエコノミー ~欧州成長戦略の構成要素
   参考)サーキュラーエコノミー:光と陰
   参考)EUバッテリ規制 ~2026年
 3.4 米英:資源政策
   ~リサイクル産業を育成
 3.5 LIB用資源価格
   ~世界情勢を反映した変動
4.EV産業とEV用LIB
  
~ゲームチェンジを生み出すためのルール形成戦略
 4.1 EV産業の台頭
   ~脱炭素:欧州の仕掛けるゲームチェンジと錬金術
   参考)欧州:EV化政策の目的は?
   参考)ルール形成型市場創出 ~成功パターンは3つ
   参考)EU:EVに傾注だが・・・ ~LIB産業は育成段階!
 4.2 EVの世界生産量:実績と予測
   ~中国:サプライチェーンの上流を抑える!
 4.3 EV搭載LIBの廃棄量
   ~2021年:96,850トン
 4.4 LIB製造の実態
   ~LIB構成:要素とコスト
 4.5 EV用LIB製造の実態
   ~Tesla-Panasonicの製造時ロスは?
5.LIBリサイクル特許情報検索
  
~業界/企業/技術開発の動向把握
 5.1 利用可能な特許分類
   ~FI/IPC、Fターム、CPC
   参考)欧州/米国特許検索 ~CPCが活用できる
 5.2 特許情報検索
   ~技術用語の選択
   参考)特許情報を「技術用語」で検索:どう取り組む?
 5.3 業界動向を知る
   ~出願人/現在の権利者から知る
 5.4 企業動向を知る
   ~出願人*要求特性(*特許分類)
   参考)古株:出願人名で絞る v. 新顔:要求特性で探索
 5.5 特許情報の検索:指針
   ~技術用語=注目材料*用途*特徴*課題
   参考)特許明細書:効率的な読み解き方
6.LIBのリサイクル方法の変革
 6.1 EV搭載LIB:リサイクル工程
   ~正極・負極のリサイクル方法が進化
 6.2 EV搭載LIB:リサイクル方法
   ~乾式精錬法から湿式精錬法へ、そしてダイレクトリサイクルへ
 6.3 ダイレクトリサイクル:泣き所は?
7.特許情報からみたLIB:湿式リサイクルに向けた取り組み
   ~有価金属(Co、Ni)だけでなく、Liも回収へ

 7.1 RecyclLiCo(カナダ:旧American Manganese)
   ~プロセス名称RecyclLiCo?とは?
  ・Closed-Loop Process
  ・Tesla Battery Day Preview - Redwood Materials(2020年9月6日)に登場
 7.2 Li-Cycle(カナダ)
   ~Battery Recycling Startup
  ・Hydro-Metallurgical Recycling
 7.3 Lithion Recycling(カナダ)
   ~Battery Recycling Startup
  ・Hydrometallurgy Technology
 7.4 Umicore(ベルギー)
   ~LIB向け材料開発だけでなく・・・
  ・LIB含有金属の資源化
 7.5 BASF(ドイツ)
   ~Hydrometallurgyに取り組む
  ・Ni、Co、Liを回収
 7.6 DOWAエコシステム
  ・有価物の回収
 7.7 住友金属鉱山と関東電化工業
  ・Liの回収も
 7.8 JX金属
  ・金属回収とLi回収をめざす
 7.9 日本重化学工業と本田技研工業
  ・有価金属を簡易に回収
  ・松田産業とも組む
 7.10 日本原子力研究開発機構
   ~事業化はエマルションフローテクノロジーズ
  ・有価金属の回収
8.特許情報からみたダイレクトリサイクルに向けた取り組み
   ~「正極構成材料の再生」から「正極の再生」へ

 8.1 OnTo Technology(米)
   ~正極構成材料の再生に取り組む
  ・Cathode-Healing ~その方法とは?
 8.2 Ascend Elements(米:旧Battery Resourcers)
   ~TDK Venturesも投資
  ・Hydro-to-Cathode Process ~正極の再生方法
  ・Hydro-to-Anode Process
   ~グラファイト(米国重要資源リスト品)を高純度で回収
  ・ホンダと正極提供契約を締結 ~工場建設へ
 8.3 Worcester Polytechnic Institute(米)~Wan Yangら
   ~湿式精錬の事業化:特許ライセンス供与を受けたAscend Elements
  ・使用済み正極の再生化:未使用正極よりも高性能に!
 8.4 Princeton NuEnergy(米Princeton Univ.から派生)~Xiaofang Yangら
   ~正極のダイレクトリサイクルに取り組む!
  ・「機械的に分離をした正極」を低温プラズマ処理後に再生
 8.5 Farasis Energy
   ~ダイレクトリサイクルの欠点を意識
  ・Farasis’s Direct Recycling Process ~どのようなものか?
 8.6 ReCell Center(DOE:米国エネルギー省傘下)
   ~米国車載用電池リサイクルのR&D拠点
  ・Direct Recyclingをめざした多数のテーマを支援
 8.7 住友化学
   ~JERA(東京電力フュエル&パワーと中部電力:各50%出資)と組んで事業化をめざす
  ・技術開発成果の積み重ね ~出願特許は?
9.Redwood Materials
   ~LIB資源循環ビジネスへの挑戦

  ・米国の資源政策を反映
  ・低コストのLIB構成材料調達実現をめざす
10.まとめ~ビジネスモデルの視点から
<質疑応答>


<お願い>
 前もって「ご質問事項」「リクエスト」などをお送りいただければ、可能な範囲で「配布資料」に反映させて
 いただきます。ご参加者の方々とのディスカッションを交えながら、解説と事例紹介を進めることで、
 セミナーをより実践的なものにしたいと考えております。ぜひ「事前リクエスト」をご活用ください。

セミナー講師

 菅田 正夫 先生   知財コンサルタント&アナリスト

セミナー受講料

【オンラインセミナー(見逃し視聴なし)】:1名47,300円(税込(消費税10%)、資料付)
*1社2名以上同時申込の場合、1名につき36,300円

【オンラインセミナー(見逃し視聴あり)】:1名52,800円(税込(消費税10%)、資料付)
*1社2名以上同時申込の場合、1名につき41,800円

*学校法人割引;学生、教員のご参加は受講料50%割引。

受講について

※本講座は、お手許のPCやタブレット等で受講できるオンラインセミナーです。

配布資料・講師への質問等について

  • 配布資料は、印刷物を郵送で送付致します。
    お申込の際はお受け取り可能な住所をご記入ください。
    お申込みは4営業日前までを推奨します。
    それ以降でもお申込みはお受けしておりますが(開催1営業日前の12:00まで)、
    テキスト到着がセミナー後になる可能性がございます。
  • 前もって「ご質問事項」「リクエスト」などをお送りいただければ、可能な範囲で「配布資料」に
    反映させていただきます。ご参加者の方々とのディスカッションを交えながら、解説と事例紹介を
    進めることで、セミナーをより実践的なものにしたいと考えております。
    ぜひ「事前リクエスト」をご活用ください。
  • 当日、可能な範囲で質疑応答も対応致します。
    (全ての質問にお答えできない可能性もございますので、予めご容赦ください。)
  • 本講座で使用する資料や配信動画は著作物であり、
    無断での録音・録画・複写・転載・配布・上映・販売等を禁止致します。

下記ご確認の上、お申込み下さい

  • PCもしくはタブレット・スマートフォンとネットワーク環境をご準備下さい。
  • ご受講にあたり、環境の確認をお願いしております(20Mbbs以上の回線をご用意下さい)。
    各ご利用ツール別の動作確認の上、お申し込み下さい。
  • 開催が近くなりましたら、当日の流れ及び視聴用のURL等をメールにてご連絡致します。

Zoomを使用したオンラインセミナーとなります

  • ご受講にあたり、環境の確認をお願いしております。
    お手数ですが下記公式サイトからZoomが問題なく使えるかどうか、ご確認下さい。
    確認はこちら
    ※Skype/Teams/LINEなど別のミーティングアプリが起動していると、Zoomでカメラ・マイクが使えない事があります。お手数ですがこれらのツールはいったん閉じてお試し下さい。
  • Zoomアプリのインストール、Zoomへのサインアップをせずブラウザからの参加も可能です。
    ※一部のブラウザは音声(音声参加ができない)が聞こえない場合があります。
     必ずテストサイトからチェック下さい。
     対応ブラウザーについて(公式) ;
     「コンピューターのオーディオに参加」に対応してないものは音声が聞こえません。

※セミナーに申し込むにはものづくりドットコム会員登録が必要です

開催日時


10:30

受講料

47,300円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

※銀行振込、コンビニ払い

開催場所

全国

主催者

キーワード

省資源   知的財産マネジメント   電気化学

※セミナーに申し込むにはものづくりドットコム会員登録が必要です

開催日時


10:30

受講料

47,300円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

※銀行振込、コンビニ払い

開催場所

全国

主催者

キーワード

省資源   知的財産マネジメント   電気化学

関連記事

もっと見る