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高付加価値のプロセス構築が日本製造業発展の最適解(2012/09/18配信)

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  ものづくり革新便り    2012年9月18日号
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お彼岸も近づき、記録的な夏の暑さもようやく弱まってきましたね。


9月4日の日刊工業新聞「課題に挑む」に
「応用技術習得で競争力向上」というテーマの拙文が掲載されました。


業績不調の時こそ技術者教育が重要であり、
有効な技法を習得して競争力を向上する好機であるとの要旨です。


ドラッガーの著を持ち出すまでもなく、
付加価値を上げるためには知識集約型の労働に移行する必要があります。


習得した汎用技術知識をものづくりに融合させることで、
高付加価値のプロセスを構築することが、
日本製造業発展の最適解であると思うものです。




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今号の内容
 1.長谷部光雄氏講演「TRIZと品質工学の発想」聴講報告
 2.芝浦工業大学MOTトップセミナーのご案内
 3.専門家ピックアップ:森友宏氏
 4.掲載記事ピックアップ
 5.JQAA経営品質研究会「日本企業復興のカギ」PDご案内
 6.技法解説#37:VRIOフレームワーク
 7.書籍紹介:「企業戦略論」ジェイB・バーニー
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 1.長谷部光雄氏講演「TRIZと品質工学の発想」聴講報告
9月14日の山梨県品質工学研究会前半は、元リコーの開発センター所長であ
る長谷部氏を迎え、TRIZの話から始まり、最後は技術開発の考え方まで展
開する視野の広いお話を伺いました。
すなわち、「TRIZは有用なツールである一方、現実課題の抽象化や機能へ
の分解といった段階でつまづくことが多いが、この部分こそが重要である。
開発や課題解決にあたり仮説は重要だが、学術研究とは異なり仮説検証に
労力を費やすことは非効率で、多くのアイデアを盛り込んだ機能実験に注
力すべき」といった提案でした。
「ツールを使う目的は、一面的な自分から脱却するため」という結論も、
多くの現場指導から導かれただけに説得力があります。
 http://yqes.web5.jp/index.html




 2.芝浦工業大学MOTトップセミナーのご案内
技術マネジメント教育に精力的な芝浦工業大学が、様々な業界のトップを
招いて、MOTに関する講演を無料で公開しています。
9月22日から12月22日までの全7回、すべて土曜の午後ですので、関心の
あるテーマを選んでお出かけ下さい。
http://office.shibaura-it.ac.jp/mot/topics_top_seminar.html




 3.専門家ピックアップ:
8月に仲間になった森友宏氏は、国内で弁理士を取得し実務経験を積んだ
後に米国のロースクールを修了。さらに現地の法律事務所勤務を経験して
いることから、ますます重要になってきた海外関連の知財業務、戦略策定
の力強いパートナーです。
 http://www.monodukuri.com/specialists/profile/34




 4.掲載記事ピックアップ
9月の前半は2件の解説記事を新しく掲載しました。
原和彦氏が、技術開発をする場合に評価するべき機能の種類と、大きなシ
ステムを最適化する場合のサブシステム分割と全体最適化の考え方を解説
しています。
 http://www.monodukuri.com/gihou/




 5.JQAA経営品質研究会「日本企業復興のカギ」PDご案内
日本経営品質賞のアセッサー協会であるJQAAは、毎月自己啓発のため
の研究会を開催しています。
9月24日はこれまでとやや趣向を変え、3名のパネリストの議論の後、会場
参加者がグループで討議し発表しますので、これまで以上に多くの気づき
を誘引すると期待されます。
パネリストのうちの2名は熊坂の前職関連の知人ですので、私も是非参加
してみようと思っています。
http://www.jqaa.org/pdf/Seminar_2012_0924.pdf




 6.技法解説#37:VRIOフレームワーク
企業が保有する経営資源が強みなのか弱みなのかを判断するための考え方
であり、価値(Value)、稀少性(Rarity)、模倣困難性(inimitability)、
組織(organization)の4つの観点で評価されるため、英語の頭文字を取って
VRIOと呼ばれます。
4つの中では後になるほど貴重であり、競争力の源泉となりえます。
例えば価値がある製品でも、稀少性がなければ価格競争に巻き込まれ、稀
少性があっても模倣されやすいものは持続的な優位性を確保できません。
そして何より強いのは組織的にその状態が確保されていることであり、例
えばカンバン方式を形式的に模倣することは可能ですが、トヨタの強さは
製造現場の一人一人が「カイゼン」に対して病的なまでの意欲を持って
いることと言われ、この組織的な競争力は容易に失われないと評価できます。




 7.書籍紹介:「企業戦略論」ジェイB・バーニー
2002年に米国で出版され、2003年に和訳された本書は、比較的歴史が浅く、
競争、組織、財務、全社、事業、提携、コストなどと個別に扱われる事が
多かった戦略論を、網羅的に扱った意欲的な大作であり、原著は600ページ
和訳では3分冊あわせて900ページにもなります。
とはいえ過去10年間のFortune誌とWall Street Jarnal誌の記事のいずれに
も対応しない項目は外したという、実践的な内容のみが厳選されています。
豊富な事例や各章末に演習問題が付いていることもあって、欧米のMBAの
テキストとして人気があるようです。
バーニーが提唱するVRIOについてはかなり詳細に解説されており、戦略
担当者が座右に置き、必要に応じて該当の章を参考にする書籍です。
 http://www.diamond.co.jp/book/9784478374528.html




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先週は遅い夏休みを取って屋久島に1週間滞在してきました。


今回は3か所の宿に宿泊したのですが、
リーズナブルな料金と高いホスピタリティで
いずれも極めて満足感の高い宿でした。


そのうちの2か所は本土から移住したオーナーが経営しており、
原価計算するとさほどリッチな生活ではないはずですが、
豊かな自然を満喫し誰にも束縛されずに
ゲストに感謝されて生活する喜びを満喫していました。


私たちも市場に、ユーザーに感謝されながら、
充実感に満ちた毎日を過ごしたいものです。