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ものづくり企業の復興に役立 つコンサルティング(2011/04/17配信)

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  ものづくり工学通信    2011年4月17日号
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ものづくりに日夜奮闘されている皆様、

震災後すぐに赤十字他を通じ分相応な義援金を提供しましたが、何か自分
ならではの支援ができないかと考えていました。
思い付きですが、もし条件が合えば被災したものづくり企業の復興に役立
つコンサルティングを無料(交通費も)で提供しようと思っています。
条件とは1.震災で大きな被害を受けて非常に困っている、2.困難の原因
が次のいずれか:(1)設定条件が出ない、不良が多い、(2)代替品の評価が
難しい、(3)課題解決のアイデアが出ない、(4)開発テーマが決まらない。
ものづくり工学は汎用技術ですので、電気、機械、材料、化学、食品など
の製品ジャンルは問いません。
該当する企業の方、あるいはそれを御存じの方はご連絡下さい。
日程は今後6カ月以内の当方の空いている日で調整させていただきます。

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今号の内容
 1.Webラーニングプラザの紹介
 2.情報紹介「TRIZレター」の紹介
 3.技法解説:#2オンライン品質工学
 4.書評:「ベーシックオンライン品質工学」田口玄一/横山巽子
 5.製造業向け特別セミナーのお知らせ
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 1.Webラーニングプラザの紹介
このシステムは技術者の継続的能力開発や再教育の支援を目的とし、科学
技術振興機構が無料にて提供するサービスで、ライフサイエンス、情報通
信、環境、材料、電気電子、機械、化学、安全、総合技術監理、技術者倫
理、知財、技術者教養などに関する教材を、自分の好きな時間に学習でき
ます。私は技術士総監受験勉強に活用しました。
どちらかというと初学者向けのレベルとなっており、カバーする範囲が広
いのと、最後に理解度確認テストがあり学習記録が残ることなどから新し
い分野を自己啓発するのに好適で、社内教育の一部として活用している企
業もあるそうです。
http://weblearningplaza.jst.go.jp/

 2.情報紹介「TRIZレター」
学校法人産業能率大学は、日本にTRIZが紹介された当初より積極的に
普及教育を図り、産業界に貢献してきました。その活動の一環として'98
年から2~4回/年の頻度でTRIZの情報誌を発行し、解説や関連の話題
を提供し続けています。
http://www.hj.sanno.ac.jp/cp/page/5957
今回新たに見直してみるとNo.23号に澤口氏の著による「MOT(技術経営)
分野におけるTRIZの可能性を探る~ものづくりに関するアンケート調査を
通して~」という一文があり、イノベーション力が重要なMOT教育でTRIZ
が有効に機能するであろうと提言しています。
http://www.hj.sanno.ac.jp/files/oc/triz/letter/TRIZ23.pdf
.pdfの前の数値を変更すると全てのレターを見る事が出来ます。

 3.技法解説#2:オンライン品質工学
タグチメソッドと言えば、システム出力を安定化するパラメータ設計を想
起する人が多いでしょうが、それと双璧をなすのが製造工程で使われるオ
ンライン品質工学です。ここでの「ライン」とは製造ラインを指します。
例えば定期的に調整が必要な装置があり、調整頻度を上げると不良発生率
は減るものの、調整コストが増加します。不良も金額換算し、調整にまつ
わる全てのコストを関数化し、微分することでコスト最小の調整頻度を導
出します。
同様の考えはフィードバック制御、計測器の校正、工程診断、フィードフ
ォワード制御、予防保全、安全システム確認などに設定され、やや異なる
考えで検査をしなくても良い臨界不良率を求める検査設計があります。
まさに製造コストを扱うため、比較的事例発表は少ないのですが、マツダ、
エプソン始め、多くの企業の製造工程で活用されています。

 4.書評:「ベーシックオンライン品質工学」田口玄一/横山巽子
この本は'89年に刊行され当時ほぼ唯一のオンライン解説書だった「製造
段階の品質工学」(田口玄一)を改訂し、単語や事例、演習問題も一新し
て'09年に発行された比較的新しい書籍です。
田口氏が考案したオンライン公式を網羅し、丁寧に解説しているため、こ
れ以外の書籍は不要でしょう。現に上述の「製造段階~」以外に類書を見
たことがありません。
オフライン品質工学やMTシステムに比べると数式が極めて簡単で、この
本を読めば容易に使えますので、製造部門には是非常備してほしい1冊で
す。
http://www.webstore.jsa.or.jp/lib/lib.asp?fn=/quality/qty09_03.htm

 5.製造業向け特別セミナーのお知らせ
今回の震災によって緻密に築き上げられた製造業のサプライチェーンが一
気に壊滅し、回復までにはまだしばらくかかりそうです。だからといって
各所に部品在庫を積み上げていては、厳しい競争に勝てるわけがありませ
ん。
5月17日と6月21日の2回に渡りゴール・システム・コンサルティング(株)
の村上悟社長が、TOC(制約条件の理論)に立脚して、製造業の今後の
変化と具体的な対応策を提案します。
会場は同社(神田)のセミナー室、参加費は無料です。
 http://www.goal-consulting.com/services/seminar/seminar_153.html

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先週から、私が教えている大学と教わっている大学院両方の新学期が始ま
りました。前者は先期の1時限目から2時限目に変わったせいか、教室が満
員になり、全員熱心にメモを取っています。
後者では一人毎に違った背景と経歴を持っている新しい社会人学生が入学
し、刺激的な議論、意見交換が始まりました。

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