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経営品質特別企画セミナー報告(2011/06/19配信)

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  ものづくり工学通信    2011年6月19日号
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ものづくりに日夜奮闘されている皆様、

先日日本工業大学MOT客員教授浪江氏の「超高収益企業のビジネスモデル」
という講演を聞く機会がありました。営業利益率40%を超えるキーエンス
を例に、要件と原則を分解してみるといずれも既知の項目ばかりであり、
徹底して実践することが競争力の源泉であり、それが容易ではないという
講師の言葉に奥深いものを感じました。
「分かってはいるんだが」という言葉を呑み込み、一歩踏み出すことで
新しい世界が見えてくるかもしれません。

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今号の内容
 1.静岡品質工学研究会講演会の報告
 2.経営品質特別企画セミナーの報告
 3.ものづくり寄席の報告と次回案内
 4.品質工学研究発表大会せまる
 5.CCPMソフトウェア『BeingManagement3』新発売
 6.技法解説:#6 TRIZ
 7.書籍紹介「超発明TRIZシリーズ」
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 1.静岡品質工学研究会講演会の報告
6月3日は恩師森先生が主宰する静岡研究会の総会、発表会、講演会に参加
してきました。
22日からの学会で13件を発表する静岡研の課題は、効率の高い実験と容易
な習得であり、この日は過飽和直交表と平均二乗対数型SN比に関する報告
がありました。続く統計数理研究所の河村博士の講演は、従来の二乗和型
SN比を平均二乗対数型にした時の合理性解説で、これまでほぼ盲目的に使
用していたSN比に関して数理的な理解が深まりました。

 2.経営品質特別企画セミナーの報告
6月9日甲府市かいてらすにて、山梨県経営品質向上研究会主催の講演会に
参加しました。元リコー田村氏のお話は、Gショックなど相変わらずのネタ
が続出で、私は何度も聞いていますが毎回元気が出ます。
200人以上の参加があり盛況でしたが、関係者とお話しすると積極的に活
動される地元企業はまだ少数のようです。山梨県でも日本経営品質賞のフ
レームワークを利用した産業大賞を設定している事もあり、今回の講演を
きっかけにして、うまく活用して元気になる企業が増えてくれるように期
待します。
http://www.pref.yamanashi.jp/sangyo-shien/sangyo-taisho/boshu.html

 3.ものづくり寄席の報告と次回案内
6月9日のものづくり寄席はMMRC岸特任助教による『転換期を迎えた中国で
のものづくり』でした。安価な労働集約型生産基地だった中国は、中間所
得層の増加によって世界最大の市場になりつつあり、労務費の上昇、労働
者権利拡大などの変化に伴い、新たな生産戦略構築が必要となりつつある、
という内容でした。
30年前の日本と似た部分があるものの、権利意識の強さや離職率の高さは
むしろ米国型に近く、インテグラル型や高度開発型製品では今後も日本の
優位性が残る印象を受けました。
今後も、30日ダニエル・ヘラ―先生の『日・欧自動車産業における生産技術
者(部門)の役割と責任』、7月7日新宅純二郎先生の『ブラジルにおける
日韓企業のものづくり』と続きます。
 http://merc.e.u-tokyo.ac.jp/mmrc/topics/yose.html

 4.品質工学研究発表大会せまる
1年に1度の大会が近付きました。6月22・23日(水・木)大井町駅前きゅり
あんでの開催です。電気、機械、化学、ソフトウェア等広い分野で、100を
超える開発生産効率化、最適化の事例が聞けて、意見を交換できる機会は
多くありません。プログラムをチェックして、関心のある発表に立ち合い、
自らの業務プロセスを改革しましょう。
 http://www.qes.gr.jp/meeting/index.htm

 5.CCPMソフトウェア『BeingManagement3』新発売
株式会社ビーイングは、TOCを応用しプロジェクト日程の遵守と管理の容易
化を両立するCCPMソフトウェア『BeingManagement3』を販売開始しました。
今回のバージョンアップでは、複数プロジェクトの実行管理支援機能を搭載
し、リソース・タスク管理機能を強化し、操作性と視認性も向上したため
組織パフォーマンス向上に貢献します。
TOC提唱者E.Goldratt氏は6月11日に永眠されましたが、その遺志を産業発展
に活かす事が故人への追悼と思います。
 http://www.toc-ccpm.net/

 6.技法解説:#6 TRIZ
1940年代にロシアの発明家であり特許審査官でもあったG.アルトシュラー
が、多数の特許に触れるうちに一連のアイデア発想の共通点を見出だし、
それらを法則化してまとめたものがTRIZです。
技術課題へのアイデアが出ない場合はもちろん、既にある場合でもより多
くの良質なアイデアの中から選択する事で、開発設計の後戻りによる無駄
を防止する事が可能となります。
旧来のTRIZは10個ほどのサブツールから成り立ち、必要なアイデアに応じ
て使い分けるのですが、現在ではそれらを包含した支援ソフトが発達して
おり、それらを使うのが一般的です。
次回からは主要なサブツールを説明します。
 http://www.triz-japan.org/

 7.書籍紹介「超発明TRIZシリーズ1~6」
TRIZが日本に紹介されたのは1996年頃であり、翌年日経BP社から発刊され
たこのシリーズが果たした役割は大きいものがあります。これらはアルト
シュラーがロシアで活動していた時代のパンフレットとその解説からなっ
ており、現代のソフトウェアと比べるとかなり原始的に見えますが、それ
だけに本来のTRIZの生い立ちを感じる事ができます。
残念ながらすべて絶版になっていて、その後出版された多くの解説書は、
著者による何らかの脚色(工夫)が加えられているため、オリジナルの雰囲
気を感じるにはこれらにあたる必要があります。
ただし「超発明」と命名してしまったため、誰でも魔法のようにアイデア
が生まれると誤解された弊害も指摘されています。
 http://techon.nikkeibp.co.jp/free/nmc/kiji/triz/book/book.html

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前期講義も、はや3分の2を過ぎてしまいました。9月のケーススタディ
発表に向けて、ものづくり革新手法紹介のサイト立ち上げも順調に進んで
います。多くのWeb制作会社の方とお話して、機能と構成が少しずつ固まっ
てきました。夏休み中には仮オープンしたいと思っています。御期待下さ
い。

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