メールマガジン バックナンバー

TRIZシンポジウム報告(2011/09/17配信)

*******************************************************************
  ものづくり工学通信    2011年 9月17日号
*******************************************************************

ものづくりに日夜奮闘されている皆様、

機会あって9月7日に、外務省支援事業のロシア中小企業経営者訪日グルー
プに設計品質向上の講師を担当しました。半日だけでしたのであまりお話
もできませんでしたが、英語を使える人も多く、なによりこれから発展し
ていくのだ、という意気込みが強く感じられました。
一方国内では20年に渡り経済の停滞が続いていますが、そのロシアを始め
世界市場はまだ成長しており、最近のビジネス誌でも開拓すべき市場とし
ての新興国関連記事が目立ちます。
分かっていてもつい国内を基準に考える心理的惰性を振り払い、グローバ
ル視点で物事を考える習慣が必要です。

*******************************************************************
今号の内容
 1.TRIZシンポジウムの報告
 2.開発設計革新プロセスセミナーの案内
 3.関西地区品質工学シンポジウム
 4.技法解説:#12 TRIZ(7)ARIZ
 5.書籍紹介「おはなし新商品開発」
*******************************************************************

 1.TRIZシンポジウムの報告
9月8日から10日にかけて東芝研修センターにて開催された第7回TRIZシンポ
ジウムは、震災の影響で海外からの参加者が減ったものの、国内からは例
年同様の参加者と発表数を集め盛況でした。
熊坂は初日午後のテーマ講演「課題解決におけるTRIZの位置づけ」にて、
ものづくり重要項目の歴史的変遷から、設計品質の重要性とTRIZなどの技法
活用による生産性向上の必要性を提起しました。
40件の発表の中では日立グループがQFD、TRIZ、QEに加えてKT法を課題解決
に活用している報告や、長年QFDとQEを活用してきたオリンパスが近年TRIZ
を加えて、忙しい設計部門でも効果が出るように工夫している件などが参
考になりました。
 http://www.triz-japan.org/Symposium07.html

 2.関西地区品質工学シンポジウムのお知らせ
今年で9回目となる関西地区の3研究会(京都・滋賀・関西)合同によるシ
ンポジウムが10月7日(金)10時から17時に滋賀県大津市のコラボしが21にて
開催されます。
品質工学会谷本勲副会長による「東日本大震災と品質工学(仮題)」講演
の他、MT法、CAE応用、パラメータ設計の効率実施など、バラエティーに富
むプログラムが用意されています。
  http://kaz727.cool.ne.jp/%8A%D6%90%BCQE.html

 3.開発設計革新プロセスセミナーのご案内
10月14日(金)10時~17時に半蔵門の新技術開発センター研修室にて、QFD、
TRIZ、品質工学を中心とした講座を開催します。開発設計生産性の向上に
有効と分かってはいるが敷居が高くて使っていない方、手を付けてみたも
のの勝手が分からず挫折した方などへ、原理と手順、実例を解説し、自前
の課題に実績のあるエクセルシートを適用して即戦力を養成します。エク
セルファイルは持ち帰り、職場での使用が可能です。
講師割引がありますので、希望者は熊坂を通してお申込み下さい。
  http://www.techno-con.jp/item/17034.html

 4.技法解説:#12 TRIZ(7)ARIZ
TRIZの体系にはこれまで説明したように多彩なサブツールが含まれるため、
自分の課題に対してどのツールをどんな順番で使うのかという問題が当然
発生します。
アルトシュラーはその問題に対する一般解をARIZというアルゴリズムで提
供しました。例えば最終版のARIZ-85では、(1)問題の把握、(2)技術的矛盾
の定義、(3)理想的最終結果の明確化、(4)物理的矛盾の定義、(5)物理的矛
盾モデルの作成、(6)資源の活用、(7)問題解決ツールの活用という順番が
規定されています。
これを全て実行すると相当な作業になりますので、重大テーマ以外は柔軟
に適用した方が良いように思います。
 http://en.wikipedia.org/wiki/TRIZ#ARIZ_-_algorithm_of_inventive_problems_solving

 5.書籍紹介「おはなし新商品開発」
日本規格協会の「おはなし」シリーズは、専門外分野の人が容易にその知
識を習得できるようにというコンセプトで、35年にわたり100点以上が出版
されてきました。本書は2007年発行ですから、かなり新しい方です。
普通の「入門書」風が多いシリーズ中で、本書は文字通りの「おはなし」
=小説仕立てになっており、中小企業の悩める2代目がコンサルティング
やセミナーを通じて、TOC思考プロセス、SWOT、QFD、FMEA、FTA、DR、コン
カレントエンジニアリングといった開発ツールとプロセスを学んでいくス
トーリーの中で、主人公と一緒に理解を進めます。
筆頭著者である東工大の圓川教授はTOCの大家でもあることから、ゴールド
ラットの「ザ・ゴール」シリーズスタイルを踏襲したのかもしれません。
http://www.webstore.jsa.or.jp/lib/lib.asp?fn=/story/sty07_001.htm

*******************************************************************
9月4日に佐渡国際トライアスロン大会に参加し、何とかトータル234キロを
完走してきました。(台風の影響でスイムが2キロに短縮、バイク190キロ、
ラン42キロ)タイムは見事に6年前の前回参加と変わらず。今シーズン初め
から、制限時間15分前±15分になるように、ロバスト設計で最少時間で効
率的な練習をしてきました。それでも一流コーチがついた「行列相談所チ
ーム」に負けなかったのが嬉しいです。
バイクとランのウェアには来月設立予定の会社名をアイロンプリントして
走りましたので、テレビに映るかもしれません。明日21時からの放送が楽
しみです。

 メールマガジン「ものづくり工学通信」