クリーンマットの色の使い分けについて

 クリーンマットは、除塵マットなどとも呼ばれます。このクリーンマットは、ビニールシートの表面に粘着物が塗布されていて、作業者の靴のゴミや、台車等の車輪に付着するゴミを除去するのが一般的な使い方です。つまり、精密製品の加工現場へのゴミの持ち込みを極力抑えるのが目的です。主にクリーンルーム内やその出入り口などに設置します。
 
           
              写真、エアシャワー前に設置したクリーンマット
 

1.クリーンマットの色

 このクリーンマットには、数種類の色があります。例えば、写真のような青の他に濃い緑、薄水色、白、グレーなどです。他にもあるかもしれません。主題に“色の使い分け”と表現しましたが特にルールはありません。
 
 クリーンマットはいろいろな情報を出してくれるので、ゴミが付着したら剥いで捨てるというだけではなく、その情報を活用しないともったいないです。現場で上手く使い分け、そして得られた情報を整理し活用する。それのみでも立派なクリーン化活動になります。
 

2.クリーンマットの汚れの究明

 事例を紹介しながら、具体的に説明します。上記写真のような場合、青いクリーンマットに、クリーンシューズ(防塵靴)の跡が付着しているのが見えます。埃のようなゴミに見えますが、良く観察すると靴跡の向きが確認できると思います。
 
 この向きから、クリーンルームに入る時にこのクリーンマットでゴミ、汚れが取られるのか、また逆に、クリーンルームから出て来た時に汚れが付着するのかがわかります。つまり外が汚れていて、クリーンルームに持ち込む時にここで汚れが取られたのなら、本来の目的、つまり持ち込み防止が出来ているということです。
 
 逆に、クリーンルームから出て来た時にここで汚れが取られた。つまり靴跡が外向きの場合はクリーンルーム内が汚れているということになります。後者の場合は、クリーンルーム内の汚れの原因を探り、手を打たなければいけません。このような場合は、靴跡の汚れがわかりやすい色として、青、緑、白などがいいでしょう。
 

3.クリーンマットの色の使い分け事例とその成果

 ある会社では、こんなことをしていました。1階と2階にクリーンルームがあり、製品の加工工程順や作業内容によって、どうしても同じ階段を行き来する必要があった。その階段を良く観察したり、綺麗な布で拭いてみると黒いゴミが落ちているのがわかった。
 
 そこで階段の上下に明るい色のクリーンマット(白や薄水色)を設置して様子を見たところ、昇る時と降りる時で、ゴミの落ちる量に違いがあることが分かりました。この時、昇る時と降りる時の靴の変形の仕方による違い、あるいは上の階と下の階の作業エリアの汚れに違いはないかを調べたとのことです。
 
 それにより汚れの多い現場に手を打つことや、クリーンマットの効果的な設置場所を探すことが出来たということです。そのため現場の汚れを少なくでき、また設置場所も少なくできたので、クリーンマットを剥ぐ回数や張り替え回数、その時間が少なくでき、クリーンマットの購入費用も削減できたとのことです。また作業者の負担も軽減されました。
 
 クリーンマットは、汚れやゴミが見やすい色に変更し、た...
だ剥いで捨てるのではなく、良く観察し情報を活用することで、生きたクリーン化活動となります。すなわち、クリーンマットは、汚れたら剥ぐということのみを目的とせず、作業エリアの汚れのバロメータとして活用する。またその費用の削減にも着眼し、お金をかけないでできるクリーン化活動に繋げていく。これも、クリーン化は経営に直結するという部分です。
 
 以上のことは、例え僅かでも、毎日のことなので、その積み重ねで大きな改善になります。色の工夫やそこからわかる汚れの原因究明、対策などは、ゴミを可視化することから始めるので、説得力もあり、難しい理論や理屈よりも活動しやすく、多くの作業者の理解も得やすいでしょう。わかりやすく、楽しい活動は長続きします。それで効果、成果が出ればこんなに良いことはないですね。
 

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