物流の目的を知ろう:メーカー物流改善の本質(その1)

 

◆ 物流の目的を知ろう

 サプライチェーン関係者の中には物流事業者の方もいらっしゃれば荷主の立場の方もいらっしゃることと思います。荷主の中でメーカーの方はもちろんのこと、物流事業者の方にも「メーカー物流改善の本質とは何か」ということについて知っていただきたいと考えております。

 多くの方が物流というと真っ先に思い浮かぶのは「トラックを使った輸送」ではないでしょうか。たしかに輸送は物流コストの6割強を占める重要な業務です。一方でトラック輸送がなぜ発生したのかということについての論議をされることは少ないのではないでしょうか。

 輸送が発生するということは拠点と拠点が離れているということです。工場の立地は物流だけの要件で決まるわけではありません。しかしながら物流要件は最重要な検討要件であることに間違いありません。

 工場の立地によって将来発生する物流コストが大きくも小さくもなるのです。人材を採用しやすい、地方自治体の補助がある、将来的な大きな市場となる地域であるなど、さまざまなファクターがあるかもしれませんが、一度立地すると変更が困難です。したがいまして工場立地については慎重に検討すべきであることは言うまでもありません。

 

 輸送というと目につきやすいため、多くの方が物流業の代表格のようにイメージしますが、メーカー物流は輸送以外にも重要な機能がたくさんあります。意外と盲点になりがちなのが「工場内物流」ではないでしょうか。工場は生産の場ですから、機械を設置して生産を行うことばかりに目が行きがちです。

 しかし工場内ではものを生産工程に届けたり、完成した製品を生産工程から引き取ったり、出荷のための準備を行ったり、在庫の管理を行ったりと物流はさまざまな重要機能を持っているのです。

 ここで気を付けなければならないことがあります。それは「物流」という機能にだけ目が行って、その機能の目的が曖昧になってしまうことです。ちょっとわかりにくいのでもう少し具体的に話をしていきましょう。

 工場内物流は生産工程に材料を届けます。この時に供給作業を効率的に行いたいと考えるのは当然です。何度も生産工程に届けに行くことは物流にとっては手間がかかりますので、極力回数を減らしまとめて運びたいと考えることで...

しょう。

 生産工程は生産工程で、ものづくりの効率を重視します。生産工程にあまりにも多くの材料が置かれているとさまざまなロスが発生します。たとえば生産工程で「今使うものを取る時に迷いが発生する」「材料を取る時に歩行が発生する」「余分な材料が置かれているため生産工手のつくりすぎを許してしまう」などのロスが発生しています。

 この状況は実は工場内物流の効率化という言葉の裏に隠されている問題点だと考えるべきなのです。

 

 次回に続きます。

 

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