事例:メッキ厚不良

 

 ある中国企業の鉄加工製品が顧客の受入検査で不合格となりました。不良項目はメッキ厚で不良率は50%を超えていました。

 メッキの種類は溶融亜鉛メッキ、メッキ厚の規格はmin65μm、平均膜厚85μm以上というものでした。溶融亜鉛メッキの場合、場所によりメッキ厚がバラツクので、このような規格を設定します。

 顧客の検査データを見ると、不良の多くは平均膜厚が85μm以下になっていたのですが、中にはminである65μm以下になっている箇所もありました。

 メッキは外部のメッキ業者にやらせていました。もちろん中国企業です。

 加工業者もメッキ済み品の検査は行っていましたが、メッキ厚不良は発見されずに出荷され、顧客側で発見されるという事態を招いてしまいました。

 メッキ業者では、今回の不良に対する責任は認めましたが、メッキ厚がマイナスになった原因についての報告はいまだ出てきていません。加工業者側も賠償させることに注力したこともあり、原因を究明して再発を防止するということに考えが及んでいなのです。

 メッキ業者の管理状況から原因を考えてみました。このメッキ業者では、使用する亜鉛の量を少なくするために総経理の指示で規格下限を狙ってメッキしていました。しかもメッキを多く付けた場合、作業者に罰金を課すことをしていました。下限狙いの度が過ぎたことが原因のひとつと思われます。

 別の原因として、メッキ厚規格を十分理解していなかった、勘違いしたのではないかと思われること。加工業者が通常依頼しているメッキ厚規格は、min55μm、平均膜厚65μm以上でした。

 今回のメッキ厚規格は初めてのものでした。当然事前に規格が違うことは説明していたのですが、現場の作業者にまできちんと伝わったのか。このメッキ...

業者は忙しいときは、2直体制にしているので、夜班の作業者にきちんと規格が違うことを理解させていたか疑問です。

 3つ目の原因として、メッキ厚測定の場所が違っていたのではないかという問題があります。製品の場所により厚めに付く場所と薄めに付く場所があります。厚めに付く場所だけを測定していたために検査では問題なかった可能性があることがわかりました

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