ものづくりの人材獲得について

 
  
 
 今回は、若くて優秀な人材を獲得する方法、そして採用した新人を早く戦力化する方法について解説します。
 

1. 若くて優秀な人材を獲得する方法

 
 まずは、そもそもどういった人物を採用したいか、明確にされることが重要です。例えば、プレス金型メーカーの例です。次の2点に意見が分かれました。
 
 
 なぜこのような例を挙げたかと言いますと、まず短期的に打つ対策としてハローワーク掲載情報の見直しがあるからです。これにより応募してくる人の質が変わった企業様もあります。これは、商品の販売をするときのマーケティングの考えによく似ています。いわゆる「誰に何をどのように」です。より具体的に決めたターゲットとする人材に、どのようなメッセージなら当社を気にかけてくれるのか、これを考えます。
 
 ある企業では、自社ホームページに記載している社長のものづくりへの想いと応募者へ向けたメッセージに感銘を受けて毎年数名の新卒採用ができている事業者もおられます。このように社長からのメッセージは採用においてとても重要です。
 
 具体的なハローワークの登録情報についてですが、未経験者にも採用枠を広げるのでしたら、あまり専門用語が多すぎる業務説明は、見る人にとってハードルが高く感じ、応募をあきらめるかもしれません。また、今はハローワークの情報はインターネットで閲覧できますので、一度自社の地域で同じ業種のキーワードで検索をかけ、自社の給料の相場を確認していただけるとよろしいかと思います。
 
 この見直しによって応募者の質が変わった企業様もあります。検索する際に賃金の金額欄で「~円以上」と入力して検索することができますので、あまり相場に対して給与額が低いと、応募者がフィルターをかけてしまいます。
 
 ハローワークの登録について整理しますと、①具体的に採用したい人物像を明確にする、②その人が聞きたいであろうメッセージを「備考欄」などに記入する、③賃金項目の金額の見直しを行う、ということになります。
 
 若くて優秀な人材ほど、自らの将来を考え衝動的な行動はとらないと考えます。入社を考えている企業が、業界内でどのような位置づけで、どのような強みを持ち、そして経営者様が顧客や従業員についてどのように考えているか、しっかり見極めて主従関係を結ぼうとするのではないでしょうか。ぜひ40年積み重ねてきたモノづくりへの想いを多くの若者に発信していただきたいと思います。
 

2. 採用した新人を早く戦力化する方法

 
 多品種生産の製造現場の人材育成はご存じのとおりとても難しい課題です。次にその要因を挙げてみますと、次の2点になります。
 
  
 採用人材を早期に育成するということは、上記の課題を解決するということでもあります。その解決方法を順番にみていきたいと思います。
 

(1) 作るものが毎回異なり定型化・標準化しづらい

 
 まず定型化できる作業と、できない作業に分けて考えます。例えば、金属加工の段取り手順は定型化できます。むしろ定型化していないと抜け・漏れが発生しますのでこれは必要な作業です。逆に定型化できないのは、イレギュラーに変化することです。例えば、毎回異なるワーク形状に対するクランプの位置であったり、ワーク形状や材質が変化することによる加工条件などです。これらは定型化できないノウハウになります。
 
 ではどうするかと言いますと、その「考え方」を伝えます。つまり、アルゴリズムになります。例えば、あるベテラン加工者はどうしてそのクランプ位置を選択したのかといった考え方を伝えます。
 
 したがいまして、そもそも教える側にアルゴリズムがはっきりしていないと実は教えられないということになります。例えば、特殊なワーク形状のクランプ位置に対し、なぜここを押さえたのか、なぜこのクランプ治具を使うと判断したのか、教える側が頭の中に決まっていないと教えることができないということです。判断したからには何らかのアルゴリズムがあるはずなので、それを言葉にするだけです。
 
 よく昔の人は「仕事は見て盗んで覚える」と言いますが、私も金型を作っていた頃、金型の凹凸形状をピタッと摺合せ調整をするという作業は、先輩が作業しているところを見て覚えました。光明淡を使って型のクリアランスを見ているのはわかりましたが、付着した光明淡で何を判断しているのか、はっきり理解できないと自分も同じようには作業できませんでした。
 
 このように、一つひとつの手順について「なぜ、こうするのか?」を順番に説明していくと、教えられる側も自分の作業に応用できる知識として蓄積されていきます。
 

(2) 覚えるポイントが多岐に渡り習得の反復効果が低い

 
 そもそもの原因として、中小企業の仕事は規模の経済が効かない多品種少量生産が多いことが挙げられます。このため作業の反復効果が低くなります。
 
 この問題を打開するため、反復効果の高い教育用ルーチンワークを作っている会社もあります。特に金型メーカーはその代表選手です。毎回つくるものが変化し、しかも製造工程は、設計や機械加工、ハンドワークまで種類が多いです。これを通常業務のOJTだけで育成しようとすると、とても長い時間がかかります。ですから、自社業務の中で頻度の高い共通事例を用い、ルーチン化した練習題材をつくり、研修期間にやってもらいます。最初は練習ばかりでお金を生まないので会社として抵抗がありますが、結果、成長の目標地点到達までが早くなります。もしよろしければ参考にしてみてください。
 

3. 教育実施手順

 

(1) 教育内容を精査する

 
 業務内容のアルゴリズムや標準化ができているかの確認をします。
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(2) 教える担当者を決める

 
 教育担当者を決めたら、その者が行う教育スキルを確認します。
 

(3) 教える期間を決める

 
 できるだけ教育内容はルーチン化して同じ品質の教育を繰り返せる仕組みを作ります。
 

(4) 教育時間を生産計画の中に組み込む

 
 材料入荷や工程間のつながりの都合上、隙間時間はできるので、事前に教育時間に見合った教育内容を決めておき、計画の中に教育時間を組み込みます。
 

(5) マニュアルは新人さんにつくらせる

 
 中小企業では、事前の教育マニュアルづくりは負担が大きいので、新人さんが教えてもらったタイミングでそれを後輩や同僚に横展できるマニュアルに仕上げます。そうすることで自身の確認にもなり、教える側の負担も減ります。マニュアルの内容は、例えば、機械の操作手順や留意点、材料の知識や扱う留意点、安全についての注意点などです。以後それを使えば、教える側も抜け・漏れを防ぐ効果もあります。
 
◆関連解説『人的資源マネジメントとは』

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