クリーン化による安全と作業ミスの関係事例

 今回は“安全と作業ミス”の関係について、“プラグの差し込み”を例に説明します。これは過去訪問した工場での、設備修理中に起きた事故事例です。

 ある保全マンが設備の電源プラグを抜いてから修理を始めました。修理中に設備が動作して事故が起きることもありますので、これは鉄則ですね。ところが、周囲には知らせずに修理を始めてしまいました。その近くを職場の上司が通ったところ、プラグが抜けているのに気がつき、なぜ抜けているのか確認せずに差し込んでしまいました。その結果、修理していた保全マンが感電したと言う事例です。

 たまたま100Vでしたので、大事には至りませんでしたが、工場で使用する設備は200Vのものも沢山ありますから、安易な判断での行動はできません。感電したと言うのは事故、災害の発生です。誰にも言わず、また上司も知らない中で、自分の判断だけで修理を始めると言うのは、周知ミスです。上司の行動を見ても、なぜ?を確認しないでプラグを差し込んでしまったと言う、確認ミスです。ミスが重なって起きてしまった事故と言えます。これが、主題にある安全(事故・災害)と作業ミスの関係です。

 こういう作業をする時に、どのように周知徹底しどういう手順で進めるかは、ルールや標準に則ってやるのが普通ですので、それらがないならば至急見直し徹底していただきたいものです。

 安全の専門家等の話を聞いてみますと、ちょっとだけと思って行動したことが事故に繋がると言うケースも多いようです。雑談の中では、こんな例も聞きました。ある会社で現場を3Sをしていたオペレータが、床に無造作に這っている電気の配線を見つけ、不要なものだと思い込み、ペンチで切ったところ、その線には200Vの電気が来ていた。本人も飛ばされ、ペンチも変形したと言う話です。

 こう見ると、身の回りには沢山の危険が潜んでいるように感じますが、個人の判断に委ねるのではなく、事前に情報を出し、標準化する等きちんと対応すれば防げる事故もかなりあるものです。安全教育や徹底した指導が必要です。

 

 主題からは少し外れますが、私が入手したこんな話も紹介しておきましょう。ある会社の役員が、本社から自分の担当の工場に出掛けると言う例です。その役員は、国内の工場を幾つか担当していて、一つの工場に頻繁に巡回はできないので、時々とか、定期的に巡回するようにしていたようです。

 その役員が自分の工場に来ると言う情報が入ると、最初は現場の監督者に、3Sをきちんとしておくようにと言う指示が入り、さらにその日が近づいて来ると、今度はその上の管理職や職制が、大丈夫かと工場に良く入るようになります。そして、直前になると工場長が巡回を始めると言うようになるそうです。いずれも、担当役員に指摘されたくない、叱られたくないと言う心理はあると思います。

 その過程で、あの電気のコードは束ねておいた方が良い。とか、あの設備のカバーは外したままだけど、きちんと取り付けておきなさいと言うように、色々な着眼点で指示が入る訳です。これらの行動の繰り返しで、工場は綺麗になり、微小災害の芽が摘まれる...

と言うことになります。

 現場の安全担当者の話では、担当役員が本社から良く足を運び、工場に入る場合は、微小災害が減少し、逆に担当役員が交代し、担当であってもなかなか工場に出掛けて来ない、あるいはほったらかしの場合には、微小災害が増える傾向があると言うのです。事前に情報が入ると言うことは、現場としては、不具合は直す、隠すと言うこともできますが、こういうメリットもあるんですね。

 工場に足を運ばない、あるいは、工場に足を運んでも現場には入らない役員は、どんなことも数字のみで判断してしまう傾向があります。こうなると、現場で努力している人達は、淋しい、空しい感じがするでしょう。現場とのパイプが太くなるか、疎遠になるかは、こんなところにも原因があるのでしょうね。

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