ロボット塗装条件の最適化

塗装工程は単純作業の繰り返しが多い事から、ロボットで実施されることが多くなっています。しかし複雑な形状に対する塗装条件は勘と経験をロボットに教え込む事が多く、必ずしも最適条件になっていない事が多いようです。

ここでは2010年の品質工学研究発表大会で、アルパインプレシジョン(株)の官藤智行さんらが発表した「ロボット塗装条件の最適化」を見てみます。

最適化の評価項目として一般には塗装膜の光沢や色むら、厚みむらなどの品質項目を複合的に扱いますが、この発表では塗装システムの機能を吐出量に対する塗着量と考え、外乱を与えた環境下でこの両者が比例関係になることを目指しました。

オーバーストローク量、ガン速度、シンナー種類など8つの塗装パラメータをL18直交表に割り付け、外乱としては、被塗装物の塗装場所とパレット内の置き位置とし、吹き付け塗料量を3段階に変化させてサンプルを作りました。

この実験結果の要因効果図からばらつきに対してはガン速度、オーバーラップ量、ガン角度の効果が大きく、吹き付け量に対する塗装重量の比率にはガン距離、オーバーストローク量、霧化圧などの影響が大きい事が判明し、これらの最適条件が求まりました。
この実験の結果、塗膜厚のばらつき...

は±7.5μmが±4μmと約1/2、塗着効率は約1.5倍となり、結果的にパレット当たりの塗装時間が102秒から49秒と半分以下になり、品質と材料効率と生産性の3者が同時に改善されました。

◆関連解説『品質工学(タグチメソッド)とは』

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