ノイズ発生をどう対策するか、無線ノイズ対策のコツ

 

◆ノイズ発生をどう対策するか(ノイズ除去の事例)

電気回路設計をする際に、ノイズが発生するとは誰も考えるハズがありません。しかし、なぜか設計して動作させてみるとノイズが発生しているという事はありがちな状態です。元々、ノイズ源発生が見込まれる場合、例えば、スイッチング電源やマイクロプロセッサが搭載された回路ではノイズが発生しやすいです。そんな場合でも、回路設計時にノイズフィルタなどで対策したハズなのに、ノイズが除去しきれていないという事も実際に起こりうることです。

 

これが、通信回路や無線回路で使われるとしたときは、要注意です。自分の回路内で発生したノイズを自分で拾ってしまう(受信してしまう)という事もあり得るからです。

 

では、こうしたノイズが存在するかもしれないというときに、どういう対策をすれば、どういう回避策を考えておけばよいでしょうか。このコラムでは、そういった状態を事前回避できるためのコツをお伝えします。

 

【目次】

◆関連解説記事:無線機の電源に発動発電機を使ったら、無線機使用不可能? 

 

1. ノイズ源はどこにある

まず、ノイズを定義すると、電気回路に限らず「不必要で必要な信号ではないもの」、これをノイズとします。その結果、ノイズがあるために「正規な信号が正常に伝送されない、不安定動作状態」です。例えば、きれいな正弦波や矩形波そのものであれば問題ないですが、計測器(オシロスコープなど)で観測すると、大体ギザギザしたものが、あちらこちらに観測されることがあります。

 

 

別のブログ「ノイズの正体」でも記述していますが、必要以上の信号強度や不整合があるとノイズになりやすいです。特にデジタル回路の場合はノイズが多めに出やすい状態が多いです。これは、デジタル回路では、デジタル的なスイッチング動作をするがために起こりやすくなっています。アナログ回路では、スイッチング電源の様にアナログ的なスイッチングでも発生しやすくなっています。イメージ的には、何らかの周波数成分を持っているとその信号のスイング時に勢いあまって他に漏れ出すというイメージで考えてもらうとわかりやすいかもしれません。

 

これは、大体はアース電位を基準に信号が動作するのですが、アース電位が安定せずふらつくことにより、信号の揺り返しの様なものが周囲に影響して信号をバタつかせ、ノイズとして発生しやすくなるからです。このように、アース電位が安定しないこともノイズ発生の原因になりがちです。これは、割と単純な状態なので、プリント基板のアース部分を大きくとる、具体的には表面積的に広く取ることでノイズ発生や不安定動作を回避することが可能です。

 

2. ノイズ対策方法の考え方

上記にアース部分を大きくとるとしました。実はこれが一番重要です。電気信号は基準となるアース電位が安定していることが重要なポイントです。例えば、住宅で考えてみましょう。土台が弱い住宅、歩くと床がフラフラする様なところの場合、誰かが歩けば住宅で地震が来たように揺れるのではないかと思います。それと同じで、土台や床が安定していないところで人が歩く=信号が伝送されると考えれば、歩くと床が揺れて安定しません。

 

つまり、土台が安定しているからこそ人が安心して歩けます。アースを大きくとる、ということはそれと同じようなことを意味しています。電気的に安定的な動作とするためには、アース電位が安定していることが必要になります。

 

ノイズがある場合は、不要な電気的な成分が存在します。これを除去するために、ノイズフィルタで除去することが一般的です。ノイズフィルタは、不要な成分だけをそのフィルタで通したい信号以外を外に逃がすことをさせます。フィルタで主信号伝送路から外へ排除させます。この時にアースを伝わって外に排出されるのですが、この時も同じく、アースが大きく、安定性を保っていないと、不要成分は外に排除できません。例えば、住宅内で人が飛び跳ねているとしたとき、床が頑丈だと周りへの影響は少ないと思います。反対に床が薄いと階下へバタバタした音が筒抜けになります。床が頑丈だから、人が飛び跳ねている時の振動は厚い床で吸収され、階下に伝わりません。

 

このように、電気的な安定性というのは、床の振動の様に物理的な現象と同じと考えるとわかりやすく、イメージしやすくなります。他にシールドを使うとノイズの放射や侵入を防ぐことができます。シールドでノイズから隠す、ノイズを隠すということでノイズが電気信号に混入しにくくなるという意味合いが強いですが、アースを強化するという点でもシールドの効果は高いです。

 

3. ノイズ対策事例

プリント基板の内部だけで対策できれば良いですが、多くのプリント基板で構成されている装置などは、単一のプリント基板だけでなく、複合的に相互にノイズが干渉することもあります。例えば、CPUなどのマイクロプロセッサが搭載されているプリント基板が多い場合、自分自身のプリント基板内では問題にならないが、他のプリント基板に影響するということもあり得ます。こうした場合になぜ他のプリント基板に影響するかというと、一般にノイズが混入するプリント基板自体のインピーダンスが高いという事が考えられます。同じ電力だとすると、P=V2/R なので、電圧V=√PR となります。これは、電圧はインピーダンスの平方根に比例するということです。インピーダンスが高いと電圧が高い、つまりノイズ電圧が高くなる傾向にあるということです。

 

そのため、信号伝送の電圧にノイズがのりやすくなりノイズが混入しやすくなります。そこで回路はできる限り低いインピーダンスになるように工夫します。大体のインピーダンスの目安は、周波数がオーディオ帯であれば、600Ω、高周波回路だと50Ωです。マイクロプロセッサ搭載基板はあまりインピーダンスを考えませんが、それでも10kΩより低くしたいですね。最近の高速伝送回路(SERDESなど)では、信号伝送部は終端して使うことが多く、150Ω~600Ω程度にすることが多いです。

 

他に、装置を収める箱(きょう体)でも工夫が必要になります。きょう体を金属体として、銅やアルミで覆ってしまうのも方法です。きょう体がプラスチックなどの非導体の場合は、できる限り、金属メッキや金属箔で覆う様にした方が良いです。金属体で覆うことにより、アースを強化することにつながります。そうすることで、信号ラインにもしノイズがのってしまった場合、フィルタで除去しますが、金属体の接触をとることでノイズフィルタが有効に働くことができます。間違っても「フィルタだけ」でノイズを除去させるという事は考えない方が良いです。上述していますが、ノイズフィルタはアースがあって初めて効果が出ます。必ず、アースにノイズを逃がすということを忘れないようにしないといけません。

 

4. ノイズを入出力させない方法

根本的には、回路内でノイズ発生を避けることですが、それでもノイズが発生を避けられない場合もあり、そう簡単ではありません。ノイズが発生してしまった場合は、極力発生源の近傍で除去することを考えてください。アースを強化し、シールドで隠し、ノイズフィルタでノイズ除去することが基本です。

 

複数のプリント基板で構成されている装置などは、他のプリント基板同士での干渉を避けるために、電気的な接続部分で配慮します。基本は、シールド線、ノイズフィルタ、インピーダンスマッチングです。そうすることで、ノイズの影響は極力低減することができます。

 

チョットした工夫ですが、プリント基板上で信号伝送線をアースパターンで仕切るという方法も有効です。

 

 

プリント基板の表面にもできる限り留意した方が良いです。上述した、プリント基板のインピーダンスが高い箇所があると、そこがアンテナになってノイズを拾いやすくなります。いくらプリント基板のインピーダンスを下げる工夫をしても、必ずヌケがあります。ノイズはそういう箇所に飛び込んできます。そこで、プリント基板の多層板を利用します。

 

よく多層板では、アースパターン主体とした層と電源パターン主体とした層があります。電源パターン(直流電源)は、交流的にはアースと同等なので、これらをうまく配置することで、アースやシールドで囲まれた状態と等価状態を作り出すことが可能です。プリント基板での工夫もあります。完成されたものでないとなかなかできませんが、信号線を内層に通して一番外側をアースパターンなどにすれば、シールドに囲まれたプリント基板とすることができます。

 

 

5. ノイズに強い装置とは

結局のところ、ノイズに強い装置というのは、アースが強固であることが大前提になります。一般に、電気信号が流れた時には、その強さ故に土台が揺れると電気信号が流れる導体が揺さぶられます。住宅を例に説明しましたが、別の言い方をすれば、車、トラック、電車、船舶でもその大きさが大きいほど、乗り物で運ぶものが揺れてもびくともしません。アースが強いという事は、その上で流れる電気が安定することなので、ノイズを希望しない振動と見れば少々のことでは問題になることはありません。

 

ノイズが生じるのには、様々な要因があります。電気信号伝送での不整合、余計な電流(エネルギー)、行き先の不明な迷走電流などが発生すると、不要なエネルギーとなって、そこに留まろうとするも、電気的な下り坂へ向かって流れ始めて、行き止まりや支流に流れる川の流れのごとく周りを巻き込みながら不必...

要な影響を与え始めます。その時に、様々な問題が顕在化して「何とかしなければならない」自体になります。その際に、土台がしっかりしていることで、堤防や他へと逃がすことが可能になります。

 

堤防や他に逃がすことが「ノイズフィルタ」「シールドケース」の様に対策を取ることが可能になります。アースの弱い電気回路や装置は、問題が起きて対策しても一朝一夕に対策できないモノになります。そのためには、装置のアースはしっかりと取っておく必要があります。アースの弱い装置では、何かあっても対策をすることが難しくなります。

 

装置によっては、アースの弱いモノも存在します。その際には、逆特性の流れを積極的にとることで、流す電気のバランスをとるという考えもできます。シーソーや天秤の様にバランスを取れば、原理的には安定します。そういう装置も中にはあります。例えば、小型船舶や、オートバイなどが該当します。電気の行きだけでなく、帰りを意識すると電気のバランスを取ることができます。

 

6. まとめ

以上、アースが一番の対策という結論ですが、限度もあります。最低限流す電気の10倍くらいの余裕は欲しいところです。しかし、最終的には、バランスの問題に帰結することにもなります。使用するシステムの性格を考慮した上で、電気の行き帰りを考えて、電気が迷走することなく、流れるべくして流れるというものを積極的に設計すればノイズの発生は抑えられると思います。

 

電気の「行き帰り」がしっかり設計されていれば、余計な信号である「ノイズ」はそもそも発生することは無いハズです。電気は片側だけでは流れないものです。+と-があるから電気が流れます。その辺を考えることもノイズの発生を抑制することにもつながります。

 

【出典】コスモICT HPより、筆者のご承諾により編集して掲載。

 

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