人間工学とは

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人間工学

 

「人間工学の観点から」とか「人間工学に基づいて」などの言い回しでよく目にする「人間工学」という単語ですが、そもそも人間工学とは何なのか、今回は考えてみましょう。

 

1.人間工学とは

人間工学とは、実際に製品を使う側の人間が自然な状態で使えるように設計・デザインし、また使う環境にそのデザインを活かすための技術体系です。使う人間がミスを犯さない、使いやすい、使う人間の負担を軽減する、こういった概念の中心が人間工学です。

 

人間工学の語源はギリシャ語の「ergonomics」(エルゴノミクス)です。産業革命以降の工業化に伴って労働と健康の関係性の解明が重要になってきたことをきっかけに、人間工学の考え方は生まれ、発展してきました。

 

近年は人間工学の分野でユニバーサルデザインという考え方が浸透してきました。これは製品を使うのが不慣れな人・困難な人にも配慮し、全ての人にとって使いやすい製品とするための一連の科学的な対応です。

 

ここまで見てきたように、全ての中心となるのは人で、その肉体的条件や心理的条件をとらえてそれに合うように物を設計し、全体が一つの繋がりとして能率よく使えるようにするのが人間工学です。

 

2. 人間工学:快適性とは

ヒューマンインターフェースは人間工学に基づいた設計の主要な部分です。ヒューマンインターフェースの快適さの側面では、製品から人間へのフィードバックが重要な役割を果たします。

 

人間工学に基づいた適切なフィードバックによる快適なヒューマンインターフェースを備えた製品は、大変高性能だったり高品質な素材でできていたりするかのように感じます。逆に人間工学に基づかないものだとヒューマンインターフェースの快適さが感じられず、性能や品質に対する評価も低くなってしまいます。

 

このようにより良い人間工学の適用は、より良い品質の実現につながります、それは製品を使う人がヒューマンインターフェースの側面で、その価値により快適になることを意味します。

 

3. 人間工学:マルチモーダルとは

現代では多くの製品に情報技術が取り入れられ、機能や使いやすさの向上が図られています。そのような製品と人間との関係において、製品が人間の都合に合わせるようにするにはどうしたらよいでしょうか。その答えとなるインタフェース技術がマルチモーダルインタフェースです。

 

マルチモーダルとは「複数の様式の」という意味で、複数のメディアを用いたインタフェースのことです。通常は音声と映像を組み合わせたインタフェースを指すことが多く、簡単な例では、画面を見ているときだけ音声による入力を許すインタフェースがあります。この音声インタフェースを利用すれば必要な情報だけが音声で入力され、よそに向かって話をしているときは入力が行なわれないようになります。

 

これを実現するには、 音声と画像を機械的に組み合わせるだけでは不十分で、どの音声とどの映像が同期するのか、誰が発声した言葉なのかなど、様々な判断を下す必要があります。会話のコントロールを実現すれば、マルチモーダルインタフェースが真価を発揮したことになります。

 

4. 人間工学:マルチモーダルの必然性

携帯電話やスマートフォンは操作が大変複雑な製品ですが、しばらく使っていると慣れてきて、その複雑さをあまり意識せ...

人間工学

 

「人間工学の観点から」とか「人間工学に基づいて」などの言い回しでよく目にする「人間工学」という単語ですが、そもそも人間工学とは何なのか、今回は考えてみましょう。

 

1.人間工学とは

人間工学とは、実際に製品を使う側の人間が自然な状態で使えるように設計・デザインし、また使う環境にそのデザインを活かすための技術体系です。使う人間がミスを犯さない、使いやすい、使う人間の負担を軽減する、こういった概念の中心が人間工学です。

 

人間工学の語源はギリシャ語の「ergonomics」(エルゴノミクス)です。産業革命以降の工業化に伴って労働と健康の関係性の解明が重要になってきたことをきっかけに、人間工学の考え方は生まれ、発展してきました。

 

近年は人間工学の分野でユニバーサルデザインという考え方が浸透してきました。これは製品を使うのが不慣れな人・困難な人にも配慮し、全ての人にとって使いやすい製品とするための一連の科学的な対応です。

 

ここまで見てきたように、全ての中心となるのは人で、その肉体的条件や心理的条件をとらえてそれに合うように物を設計し、全体が一つの繋がりとして能率よく使えるようにするのが人間工学です。

 

2. 人間工学:快適性とは

ヒューマンインターフェースは人間工学に基づいた設計の主要な部分です。ヒューマンインターフェースの快適さの側面では、製品から人間へのフィードバックが重要な役割を果たします。

 

人間工学に基づいた適切なフィードバックによる快適なヒューマンインターフェースを備えた製品は、大変高性能だったり高品質な素材でできていたりするかのように感じます。逆に人間工学に基づかないものだとヒューマンインターフェースの快適さが感じられず、性能や品質に対する評価も低くなってしまいます。

 

このようにより良い人間工学の適用は、より良い品質の実現につながります、それは製品を使う人がヒューマンインターフェースの側面で、その価値により快適になることを意味します。

 

3. 人間工学:マルチモーダルとは

現代では多くの製品に情報技術が取り入れられ、機能や使いやすさの向上が図られています。そのような製品と人間との関係において、製品が人間の都合に合わせるようにするにはどうしたらよいでしょうか。その答えとなるインタフェース技術がマルチモーダルインタフェースです。

 

マルチモーダルとは「複数の様式の」という意味で、複数のメディアを用いたインタフェースのことです。通常は音声と映像を組み合わせたインタフェースを指すことが多く、簡単な例では、画面を見ているときだけ音声による入力を許すインタフェースがあります。この音声インタフェースを利用すれば必要な情報だけが音声で入力され、よそに向かって話をしているときは入力が行なわれないようになります。

 

これを実現するには、 音声と画像を機械的に組み合わせるだけでは不十分で、どの音声とどの映像が同期するのか、誰が発声した言葉なのかなど、様々な判断を下す必要があります。会話のコントロールを実現すれば、マルチモーダルインタフェースが真価を発揮したことになります。

 

4. 人間工学:マルチモーダルの必然性

携帯電話やスマートフォンは操作が大変複雑な製品ですが、しばらく使っていると慣れてきて、その複雑さをあまり意識せずに使えるようになります。この例が示すように人間側の情報処理能力は優れているので、多くの場合に人間が機械の都合に合わせる傾向にあります。しかし人間側が二人以上になると、マルチモーダル技術が必須となります。人間側が二人以上になると情報の流れの制御が必要になるからです。

 

機械と複数の人間がコミュニケーションを行なう場合、様々な情報の流れができます。対話の流れを掴んでおかないと、受け答えが困難になります。そこで機械が情報の流れを認識するための手段が必要になるのです。それを可能にする技術がマルチモーダルインタフェースです。

 

 

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この記事の著者

嶋村 良太

商品企画・デザインとエンジニアリングの両方の視点を統合し、顧客満足度の高い商品開発を実現していきます。

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