ダニエル電池 金属材料基礎講座(その55)

 

◆ ダニエル電池の仕組み

 ボルタ電池は腐食モデルとしては良いのですが電池としての性能は悪く実用的ではありません。

 ボルタ電池は次第に電圧が低下して電流も低下します。これは銅電極から発生した水素ガスが電極表面を覆うため水素イオンが電極に近づけなくなるためです。水素側の反応が止まれば、亜鉛側の反応も止まります。

 これを改善して実用的な電池にしたのがダニエル電池です(図1参照)。

図1.ダニエル電池

 

 電極は銅と亜鉛ですが、電解質を改善しています。

 ダニエル電池は銅には硫酸銅溶液、亜鉛には硫酸亜鉛溶液を使用して、二つの溶液を素焼きの板などで分けます。その様子を図1に示します。アノード反応では亜鉛が2個の電子を失い亜鉛イオンになり溶液中に溶出します。電子は導線を通って銅側に移動します。カソード反応では2個の電子と銅イオンが結合して銅が析出(せきしゅつ)します。このようにして、亜鉛電極は亜鉛が少なくなり、銅電極は銅が増加していきます。

 反応が進むとそれぞれの溶液のプラスイオン、マイナスイオンのバランスが崩れますが、素焼きの板で仕切られているため...

、イオンの移動が起こります。亜鉛イオンは銅側に移動し、硫酸イオンは亜鉛側に移動します。このようにして電気的中性を保っています。

 

 次回は、イオン化傾向を解説します。

 

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

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