ミラー指数とは 金属材料基礎講座(その23)

 

 

1. 金属材料変形を結晶中の面や方向を表記する方法とは

 金属材料は様々なところに使用されています。金属材料特性を生かした設計する場合、金属の基礎的材料組織を理解することが必要です。そして、これら金属材料の破損は、重大事故が発生します。疲労破壊や腐食は金属の破損・不具合に繋がります。ミクロレベルの小さな欠陥から大きな破損に疲労破壊は大きな変形を伴わずにつながります。

 また腐食は金属の電気化学的反応によって薄肉化や割れなどの問題を引き起こします。そのため、金属材料を適切に扱う場合には、これら金属材料や各種不具合の知識が不可欠になります。この連載では金属材料の基礎知識から各不具合のメカニズムと原因について。そして鉄鋼材料、非鉄材料の特徴、金属材料の分析方法、調査方法などについて解説しています。今回は、ミラー指数についてです。

 金属材料変形を結晶の状態図から理解するには、結晶軸・結晶面、すなわち結晶中の面や方向を表記する方法があります。これが、ミラー指数と呼ばれる表記法です。

 

2.ミラー指数とは 

 今回は、ミラー指数を用いて面や方向をどのように表すかを解説します。金属のすべり面やすべり方向について解説する時に、ほとんどの金属は面心立方構造・体心立構造・六方最密充填構造のいずれかの構造を取るため、以下では立方晶および六方晶について考えます。

図1. ミラー指数の表示方法

 この表示方法では図1(a)のように、一辺がaの立方格子、座標軸、x軸、y軸、z軸上を考えます。そして、各軸の数字:単位長さaに対して、交わる点を結んだ面を表します。例えば、図1(b)の場合、赤く表示した面はx軸、y軸は長さaの位置で軸と交わっています。一方、z軸はaの2倍の長さの位置で軸と交わっています。この時のx:y:zの交点の比は1:1:2です。ここで、ミラー指数の単純な表示方法は、この交差する交点の逆数を取って、それを整数比で表すという決まりがあります。よって図1(b)の面の表示方法は以下のようになります。

  1. x:y:z軸と交わる交点の位置 ⇒ 1:1:2
  2. 1の値を逆数にします       ⇒ 1/1:1/1:1/2
  3. 最小公倍数(この場合2)をかけて整数比にします ⇒ 2:2:1
  4. カッコ (  ) で整数比を表示します  ⇒ (221)

図2. 主なミラー指数の表示例

 従って図1(b)はミラー指数でいうと(221)面ということになります。また、面によってはx軸などと交わらない時もあります。その場合は1.の段階で軸と無限大(∞)で交わるという考えになり、結果的に0と表示します。通常、金属材料のすべり面などを扱う場合に頻出する面を図2に3種類表示します。(110)は体心立方格子のすべり面であり、(111)は面心立方格子のすべり面に...

なります。この(100)、(110)、(111)面はすべり面だけでなく、XRDやEBSDなどの結晶方位を扱う場合に頻出する面になります。

 また、結晶は基本となる立方格子の向きが変わったり、回転するとxyzが入れ替わります。たとえば、(100)、(010)、(001)はそれぞれx、y、zに接する面ですが、相対的な対称性は全て同じになります。これらを等価な面とも言います。そして、これらを一括して総称する時には括弧の形状を変えて{100}のように表しますので注意してください。

 

 

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