社内で妄想した商品開発は、顧客との乖離を生む

 

 今回は商品企画の上流工程である企画案構築について、商品開発を社内で妄想しても顧客乖離する典型的な事例から、有効な企画案構築方法について解説します。

 ◆事例:「車の新機能」の考案

 中期製品計画において、新しい企画案を出さなければならなくなりました。企画案のテーマは「車の新機能」を考案せよ、という命題です。

 開発担当者は以下の点で企画を練りました。

 1.自動車展示会で新技術を片っ端に探しました。

 2.新技術から何が役に立つかを考え、今後、自動運転が普及するので運転者が暇になると想定して、新しい仮説を考えました。

 3.自動運転が普及すると、運転車が暇になるので、ステアリングハンドルにテーブルを付ける仮説を考えました。

 4.ハンドルにテーブルを付ける人はどんな人か、配送のドライバーさん、営業のドライバーさん、などペルソナを作成しました。

 5.企画書にまとめて上司に提出しました。

 6.企画書は却下され、再検討となりました。

 7.理由は画期的な企画案ではないからでした。

 上記の例は極端かも知れませんが、私はよく耳にする内容です。ここでの問題は、

 ・顧客不在であること。
 ・技術のみの固守していること。
 ・仮説は新機能ではない。
 ・仮説が顧客要望か否かが検証できていない。

 特に問題なのは顧客要求は全く活かされていないことです。

 私ならば、

 1.車を運転している運転者を観察します。

 2.観察だけではもったいないので、ビデオ撮影をします。

 3.運転者の行動や発言から事実を列挙します、問題点や要望も入れておきます。

 4.運転者の事実から改良すべき気づきを列挙します。

 5.気づきから改善、改良できる仮説案を考えます。

 6.運転者数人に同じことを繰り返し、仮説案をなるべくたくさん出すように心がけます。

 7.仮説案が数十案出てきたら、その仮説を評価する評価用語と総合評価を検討します。

 8.仮説評価をアンケートなどを活用して顧客に評価...

してもらいます。

 9.顧客評価を元に仮説案を数字化します。顧客要求の優先順位を決め、企画案に落とし込みます。

 ここでの特徴は

  • 顧客の行動観察により不満点を探っている点。
  • 顧客要望から仮説案を出している点。
  • 仮説案を数字化し、その検証を行っている点。

 この方法に変えるだけで、前のやり方から劇的に企画案は変わるはずです。顧客要求を捉えた企画案を構築されたらいかがでしょうか。

【関連解説:商品企画七つ道具】

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