顧客の代弁者になろう クレーム対応とは(その46)

 
  
 
 前回のその45に続いて、解説します。
 

1. 改革の先延ばしは顧客離れを誘発する

  【クレーム対応心得】

 
 お客さま相談室が顧客の声を集める最もポピュラーな手法は、マーケティング調査や顧客満足度調査です。アンケート実施時には、相談室のスタッフが知恵を絞り合って、アレコレと質問項目を考えます。
 
 しかし、数多の企業で実施されている顧客満足度調査のアンケートには、大きな設計上の落とし穴があります。
 
 アンケート回収率への認識不足です。アンケートの回収率は、顧客との距離を測る絶好のバロメーターであるにもかかわらず、そうした認識が欠落している企業が多いのです。
 
 つねに顧客との間で良好なコミュニケーションができている企業であれば、顧客のアンケートヘの協力度も高くなります。なぜなら顧客は、アンケートに協力した結果、自分たちの意見が経営や商品、サービスに反映されてきたことをよく認識しているからです。
 
 「この会社は定期的にアンケートを実施して、私たち顧客の意見を取り入れてくれている」
 「この前、アンケートにクレームを記入したら、さっそく改善してくれた」
 
 このように顧客が認識し、アンケートに答えることを楽しみにしているような企業であれば、「顧客と企業を結ぶコミュニケーションーケーブルはしっかりつながっている」と言えるでしょう。
 
 逆に、たまに気まぐれのようにアンケートを実施して、その結果を顧客にフィードバックしていない企業であれば、顧客は疑心暗鬼になります。
 
 「いったい何のためのアンケートなのか」
 「いつも答えさせられているが、ちっともサービスは変わらないじやないか」
 「調査をするなら、結果を知らせるのも義務なんじやないか」
 
 もし、顧客がこのように感じ、「こんなアンケートに答えても意味がない」と回答を拒否するようであれば、顧客は企業を見放して、離脱し始めていると判断すべきです。
 
 顧客は、期待しない企業のアンケートに熱心に回答するほ...
どヒマでもないし、人情家でもないのです。
 
 お客さま相談室が顧客アンケートを実施する際は、アンケートの回答ばかりに関心を持つのではなく、回答率の推移をよくチェックして、「顧客の離脱現象」に十分注意すべきです。とくに30~35%と通常より高い回収率が見込まれる「顧客不満足度調査」には、注目すべきでしょう。
 
 次回に続きます。
 
 【出典】武田哲男 著 クレーム対応、ここがポイント  ダイヤモンド社発行
            筆者のご承諾により、抜粋を連載

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