(反転)機能系統図 新QC七つ道具: 系統図法の使い方(その7)

 
【目次】
序論   ←掲載済
第1章  混沌解明とN7(新QC七つ道具)←掲載済
第2章  挑戦管理とN7の選択←掲載済
第3章  連関図法の使い方 ←掲載済
第4章  親和図法の使い方 ←掲載済 
第5章  マトリックス・データ(MD)解析法の使い方←掲載済
第6章  マトリックス図法の使い方←掲載済
第7章  系統図法の使い方←今回
第8章  アロー・ダイヤグラム法の使い方
第9章  PDPC法の使い方←掲載済
第10章 PDCA-TC法の使い方←掲載済
 

第7章  系統図法の使い方

 

7.4 系統図法の「抽出項目欠落防止機能」について

 
 

7.4.2 事例に見る系統図法の「要実施事項抽出における欠落防止機能」

 
 前回のその6に続いて解説します。
 

(3)「(反転)機能系統図」事例に見る要実施事項の抽出結果

 
 欠落防止型系統図により、発想展開型系統図では抽出できなかった要実施事項を抽出できたところで、改めて、N7事例集をつぶさに点検したところ、同じテーマで、「活動時間確保」と「QCCリーダーのリーダーシップ」に言及した事例に遭遇したので紹介します。出典は、日科技連発行の“管理者・スタッフの「新QC七つ道具」事例集(Ⅱ)”の参考資料の一つ「新しく」(㈱安川電機製作所 横山清)です。
 
 ここでは、「(反転)機能系統図」という新しいタイプの系統図が提唱されているのですが、非常にユニークで、「欠落防止機能」という観点から見ると、「ポジティブ思考」と「ネガティブ思考」の双方を経ることにより網羅性向上が図られているようです。
 
 具体的には、まずテーマである「QCC活動を活発にするには」をネガティブな視点から問題点という形(「QCC活動が活発にならない」)でとらえ、これを特性要因系統図の形で展開した「問題点系統図」を作成し、問題点の全貌を明らかにするとともに、問題の本質を把握します。
 
 次に、その「問題点系統図」を、それぞれポジティブな表現に変え、反転させる形で作成した系統図を「(反転)機能系統図」としています。面白いのは、「問題点系統図」を見ているときに暗澹とした気持ちだっただけに、ポジティブな表現の「(反転)機能系統図」が、生き生きとしたものに感じられることであり、心理的な側面の効果も期待できそうです。
 
 事例として掲載されている「(反転)機能系統図」は、5つの1次展開項目を3次まで展開し、21の末端要因を抽出しているが、注目の2項目についての展開状況は次の通りです。
 
 表7-4(反転)機能系統図における展開状況 
 

【考察】発想展開型での欠落項目を抽出できた理由

 
 言語データのニュアンスからみて、メンバーはスタッフと思われますが、問題点系統図でネガティブ思考を誘発したことにより、現行システム上の実情・問題点に着眼することができ、現実的要因抽出につながり、結果としてQCサークルが直面している問題の抽出につながったものと思われます。
 
 このことから、事例のような現場と深く関わったテーマの場合は、テーマを問題点として展開する「問題点系統図」を起点とする「(反転)機能系統図」の活用が有用といえます。
 
 いま一つは、デザインレビューにFTAやFMEAが有効なように、ネガティブ思考そのものに、物事を検討する上での「欠落防止機能」が内在しているということです。ネガティブからポジティブへの思考の転換がもたらす心理的効果も含め、注目に値する提言といえます。
 
 これは余談ですが、筆者が同じ問題に取り組んだときは、活動母体であるQCサークルを重視する意味で「なぜQCサークル活動が活発ではないのか」をテーマにQCサークルメンバーからデータを採取し「連関図法」で解析...
したことを思い出し、その事例を確認したところ、“活動時間”は俎上に上っていましたが、“リーダーシップ”は抽出されていませんでした。
 
 この結果からすると、活動母体を重視する余り、QCサークルメンバーからのデータに頼りすぎると網羅性に欠け、抽出項目が欠落する可能性のあることを示唆しており、念頭に置く必要があるでしょう。
 
 次回に続きます。
 
【関連解説:新QC七つ道具】

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