図法活用の効果 新QC七つ道具: マトリックス図法の使い方(その5)

 
【目次】
序論   ←掲載済
第1章  混沌解明とN7(新QC七つ道具)←掲載済
第2章  挑戦管理とN7の選択←掲載済
第3章  連関図法の使い方 ←掲載済
第4章  親和図法の使い方 ←掲載済 
第5章  マトリックス・データ(MD)解析法の使い方←掲載済
第6章  マトリックス図法の使い方←今回
第7章  系統図法の使い方
第8章  アロー・ダイヤグラム法の使い方
第9章  PDPC法の使い方←掲載済
第10章 PDCA-TC法の使い方←掲載済
 

第6章  マトリックス図法の使い方

 
 前回のその4、事例説明2に続いて解説します。
 
 

6.4 マトリックス図法の「検討範囲欠落防止機能」について

 

6.4.2 事例に見るマトリックス図法の具体的な「欠落防止機能」

 

【事例説明3】品質評価体制検討→ 新視点によるシステム効率アップ

 
 説明事例2で立案した戦略を具体化する上でのボトルネックは「評価体制」というのが、メンバーの共通認識でした。
 
 そこで、戦略遂行に必要な評価体制設計に先立ち、現在の評価体制の把握、すなわち、評価項目・試験方法・試験設備についての的確な現状把握が当面の課題となりました。今回は、迷うことなく、試験項目を主軸とした“T型マトリックス図”を使うことにしました。
 
 ただ、評価項目だけは、戦略製品に対する評価を念頭に、製品機能評価に対する網羅性が必須ということになり、製品の品質機能展開(次章で説明する「系統図法」の欠落防止機能の適用)による末端要因を採用することに決めました。
 
 畳半畳くらいの大きさのマトリックス図を前にした実験係長の嘆息「今までの、“現状把握はできている”という認識はあまかったなあ」は実に印象的でした。
 
 このマトリックス図は、交点のマスに現状を黒丸(●)で、将来必要なものを白丸(○)で表わしたのですが、最初に出た意見は、各要因の行や列に表われた●や○の合計数を記入するマスを作り、試験の効率や負荷の評価に使おうというものでした。
 
 その日は、実験係長が、実験係の最終確認の上その意見を反映し清書することで解散しました。ところが、次の会議に実験係長が持ってきたマトリックス図のマス目には、●や○以外に前回話題にならなかった“△”がたくさん入っていたのです。
 
 彼の説明によると、実験係の試験機運転者を含む、主要メンバーによる最終チェックのときに、ベテラン運転者から「この試験の正式評価項目は●を付けたこの3つだが、これとこれは評価の参考にできるのではないか」との意見が出て、皆でそういった観点から、マス目を順次チェックしたところ、参考評価可能項目(△)がこれだけあった、というのです。
 
 これはすごいと思った。なぜなら、筆者は、常々「マトリックス図法の利点は、すべてのマス目についてチェックすることによる、漏れ防止と新たな視点の入手」と思っていたのですが、マス目のあまりの多さ(1万を超えた)に端からやる気が失せて口にしなかったことを、彼らは、専門知識によりある程度絞り込み得たとはいえ、それをやってのけ、見事に“新たな視点の入手”すなわち、“参考評価項目(△)”という視点をものにしたのです。
 
 この発想は、正式な採用(顧客との品質保証契約上の採用)には至らなかったのですが、自主開発プロジェクトの評価には大きく貢献するとともに、次の試験設備には、その項目も評価できる工夫を採り入れるなど、評価体制のシステム効率アップにつながったのです。
 
 このようにして完成した「品質評価体制マトリックス図」の概略を図6-1に示す。
 
図6-1品質評価体制マトリックス図(注6-2)    
          
 (注6-2) この事例は、筆者らの活動成果として「管理者・スタッフの新QC七つ道具」(日科技連出版、P.152)に紹介されたもので、今回、同書では紹介できなかった内容にも言及しました。
 

【考察】

 
 本事例に見る「マトリックス図法の効用」この事例は、マトリックス図法活用の“効果”とし...
ては上記説明の通りなのですが、“効用”という観点からレビューしてみると、本章の課題「挑戦計画策定」にとり示唆に富む効用といえ、それぞれに対する説明と、効果・効用についてのまとめを次回、解説します。
 
 次回に続きます。
 
【関連解説:新QC七つ道具】

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