QFDツールが方法・仕組みに変化する QFDを考える(その1)

【QFD(品質機能展開)の考察 連載目次】

 『QFD とは、品質機能展開(Quality Function Deployment) の頭文字を取った日本発の“××”である』

 さて、この××には何を入れればよいのでしょうか? 「ツール」はもちろんのこと、「仕組み」と入れても「考え方」と入れてもよいでしょう。 30年以上もQFDを実践している会社では、「思想」という文言を充ててもおかしくないと考えます。 逆に、適用に日が浅い会社では、「ツール」として用いられることにも理解できます。 いずれにしても、QFDは使い方次第です。

 
昨今では、「教科書通りQFDを実施したが、いまひとつうまくいかなかった」との声を多く聞きます。 話を伺うと、テキスト通り右図および次のような手順で実行されているようです。

① 顧客の声を集め
② シーンを考え、顧客の要求を増やし
③ 書き方を要求品質に統一し
④ グルーピングして要求品質展開表をつくり
⑤ 要求品質の重要度と競合他社の充足度合いを調査して企画をたて
⑥ 品質要素を抽出して品質要素展開表をつくり
⑦ 2元表化して対応関係を付け
⑧ 要求品質重要度を品質要素重要度に変換し
⑨ 設計品質を考える

 方法としては間違えてはいないと思います。しかし、この手順が構築されたのは1990年より前で、日本の製品が「安かろう、悪かろう」と言われた時代に、欧米の品質に追い付こうとして考え出された方法を纏め上げたものです。

 1980年代の車を、今でも乗っていらっしゃる方がいるでしょうか?(いらしたらゴメンナサイ)携帯電話はありましたか? パソコンでさえ現在とは比較できないほど性能が劣っていた時代でした。

 そのようなやり方を現在そのまま使おうとしても、無理があるのはある意味当然でしょうか。 マーケットが成熟して、消費者自身なにが欲しいのかもわからなくなっている時代です。市場の声を聞くにしても工夫が必要です。 要求の構造も変化して、その捉え方には各社さまざまな手法を取り入れており、 それぞれのまとめ方にも知恵が...

必要となってきています。各場面において、工夫し知恵を働かせると「ツール」が 「方法」や「仕組み」に変化するのです。

 QFDを実施する時には、教科書通りに行なうだけでは不十分であることに気づきましょう。

 次回はQFDの意味について考えてみます。

 

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