書評検索結果

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「日本品質で世界を制す」遠藤功著

投稿日 2017/11/16

本書はローランド・ベルガー日本法人会長であり、企業戦略論で名高い著者による「日本品質」論です。

近年日本製造企業による品質問題が多いように感じますが、その原因を筆者は、(1)製品技術の高度化、(2)見えないソフトウェア比重の高まり、(3)日本の常識が通じないグローバル調達、生産の拡大などと分析し、工程の見える化、分散管理などで対策するとともに、問題が発生した際の初動対応重要性を指摘します。

また、問題を起こさないために機能品質を高めるだけでなく、物語性、稀少性、機微性といった「情緒的品質」を高めて世界に攻め込むべきと主張します。

さらには全社的品質管理TQMを、部署間の有機的な連携で

「ものづくり生産現場の社会システム」野渡正博著

投稿日 2017/11/02

本書は、40年に渡り「チームワーク」を追求してきた著者による、生産現場の共同作業研究の集大成です。

私たちは何気に「チームワーク」を口にしますが、往々にして観念的で、象徴として語られることが多い気がします。

本書では国内外15000人に及ぶアンケート調査を通じて、組織軸、業種軸、地域軸などでチームワークの特性を学者ならではの統計ツールを駆使して抽出します。

生産現場における「働き方改革」に悩む現場管理マネージャーにおススメです。

「UX(ユーザー・エクスペリエンス)虎の巻」坂東大輔著

投稿日 2017/10/19

本書は実務で長年UXを経験してきた著者による、現場ですぐに使える実践的なUXノウハウの指南書です。

UXとはユーザーが製品やサービスから得られる体験ですからUXの向上はあらゆる職業人にとって重要であり、特に設計者にとっては必須業務といって良いでしょう。

指南本ですから、実践のための手法から具体事例まで網羅されているのはもちろんのこと、示された手順に沿って進めれば誰にでも効果が実感できるUX向上マニュアルまで用意されています。

また章末のコラムや文章内に書かれた事例に著者の暖かい人格が垣間見れてほっこりするページも多く、まさにUXを体現する一冊に仕上がっています。

「グーグルで必要な事はみんなソニーが教えてくれた」辻野晃一郎著

投稿日 2017/10/05

本書は絶頂期から衰退期にかけてのソニーで22年間新規事業に挑戦したあと、グーグルの日本社長に転身した著者の自叙伝であり、日本電子産業への警鐘と提案です。

イノベーションの先頭を走っていたはずのソニーが規模が大きくなるにつれて動きが取れなくなり、シリコンバレーやアジアの新興企業に置いてきぼりになる様子が、内部経営者の目から描かれます。その後移ったグーグルの自由奔放な業務活動状況と対照的なためにソニーの問題点が浮き彫りになります。

しかし読んでいくうちに、これはソニーだけに限った問題ではなく大企業だけでもなく、中小を含む多くの日本企業に共通するものと分かってきます。さらに深刻なのは、筆者が書くまでもなく、大多数の関係者が既に耳にタコができるほど言われ続けながらそれでも変われないことでしょう。

耳のタコをもう一度刺激して、あらためてイノベーションに挑戦を誓う、企業内戦士たちにおススメの一冊です。