書評検索結果

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「XCNクロスチェック付きなぜなぜ分析」鶴田明三著

投稿日 2017/07/20

エアバッグのリコールで経営が立ち行かなくなったタカタなど、市場品質問題は突然企業に降りかかります。本書では、多数提案されている未然防止の方法を、筆者が三菱電機在職中に統合考案した仕組みが示されます。

端的に言えば、機能展開となぜなぜ分析、外乱のリストを組み合せたもので、個々の手法自体は広く使われています。しかし品質工学のパラメータ設計をしようにも、基本機能や誤差因子をどう選択すればよいのか、初心者には難しい作業です。

本書で示された手順とノウハウに留意しながら進めることで、一定レベル以上の成果が期待されます。しかもこの方法に準拠した表計算シートが付録に付いていますから、一度試してみない手はありません。。

設計のフロントローディング化に悩む、技術・品質部課長さんにおススメの一冊です。

「売れるもマーケ 当たるもマーケ」A・ライズ、J・トラウト共著

投稿日 2017/07/05

ビジネスには多くの原則やフレームワークが存在しており、ものづくりドットコムでもそれらの多くを提供しています。提案されている原則があらゆる場合に有効とは限らないことは明らかですが、だからといって常に無手勝流では成功がおぼつきません。
本書もマーケティング戦略の大家である二人の著者が、過去の膨大な事例から機能的に導き出した法則ですから、参考にするなら損はないでしょう。製品企画担当者はもちろんですが、研究開発部門の技術者も一読の価値があります。
以下にいくつかの原則抜粋を要約します。
1.一番手の法則 ・・・ はじめて行うことに価値がある。
2.カテゴリーの法則 ・・・ 一番手でないなら、新セグメントを作れ。
3.心の法則 ・・・ 人の心が変わる時は一気に変わる。
4.知覚の法則 ・・・ どう思われているかが問題である。
5.集中の法則 ・・・ たったひとつの言葉を顧客に植え付けること。
6.独占の法則 ・・・ 2つの会社が顧客に強く訴えることはできない。
8.二極分化の法則・・・市場競争は、長期的には二頭の馬のレースとなる。
9.対立の法則 ・・・ 二番手は一番手と反対のものを提供すべき。
11.遠近関係の法則・・・値下げは金銭価値、製品ライン拡張はブランド価値を下げる。
17.予測不能の法則・・・未来にプラスになることを傾向から考える。
18.成功の法則 ・・・ 成功は「自らが正しいこと」ではない。
21.成長促進の法則・・・長期にわたってブランドを育てる。
22.財産の法則 ・・・ 結局のところ金が必要だ。
この要約だけでも大きな効果が期待できます。

「実践マーケティング塾 」成毛真・日経MJ著

投稿日 2017/05/24

本書は日経MJ編集部が、15年前に元マイクロソフト社長の成毛氏のインタビュー記事を再編集してまとめたものです。

当時自己責任型コンサルティング会社を経営していた著者は、製造業を含めてマーケティング感覚のない日本の問題点を指摘し、社会にあふれる好例、悪例を紹介しています。ITが得意分野であるものの、その矛先は小売り、サービス、観光、金融業にまで及び、鋭い目の付け所は製造業にも参考になります。

優れた技術を持ちながら、どうも業績が優れないとお悩みの、企画、開発担当者におススメの一冊です。

日本のものづくりを救う「最強のすり合わせ技術 」津曲公二・酒井昌昭著

投稿日 2017/05/09

 本書は、「日本のものづくりを救う」という副題を持ち、かつて日産とソニーに在籍していた二人のコンサルタントが、日本ものづくりを観察した一冊です。

 一時期、日本製造業悲観論が充満していましたが、このところ見直されてきたように感じます。利益率や効率、原価というドライな指標では他国に負けてしまうものの、壊れない、遅れない、何とかする(?)という「粘り腰」のDNAは新興国や、西欧にも真似できません。

 本書ではその根源を「すり合わせ」と表現し、世界において日本が活かすべきポジショニングと提起します。
 そこを軸として、新入社員からベテラン、開発から事務方、営業まで、製造業に関わる全ての人が
自分の仕事に誇りを持ち、これからの指針とするためのあれやこれやが、二人の経験談を元に展開されます。

 日々の雑事に追われて自我を亡くしそうな時に、一服の清涼剤としておススメします。