
光渦の基礎と光渦による最新のレーザープロセス技術を概説するとともに、その将来展望を紹介します。
セミナー趣旨
物体や現象がその鏡像と重ね合わせることができない性質であるキラリティーは、自然界で数多く見られます。分かりやすいキラルな構造の一つに、らせんがあります。DNAのような生体物質からうず潮のような流れまで、らせんは、数多く自然界に存在します。「ナノ物質を階層的に配列してらせんなどの構造を創れば、自然界の物質の機能を超えたキラルな新奇物質を創成できるはずだ。」それは、物質科学研究者の長年の思いであり夢でした。これまでの常識では、光でナノ物質を階層的に配列してらせんを創ることなど、到底、不可能だと考えられてきたのです。最新レーザー技術が、連続的で螺旋を描く波面を持つ光である光渦を誕生させました。光渦で加工すると、金属、半導体、有機材料などの様々な物質がねじれて螺旋構造に変形します。また、レーザー結晶化技術に光渦を応用すると結晶の特定の鏡像異性体だけを創成することもできます。さらに、インクジェットプリンターを超える高い分解能で様々な物質をフレキシブルな基板に印刷できます。
本講演では、光渦の基礎と光渦による最新のレーザープロセス技術を概説するとともに、その将来展望を紹介します。
必要な予備知識
・光の基礎知識
習得できる知識
光科学の歴史、光渦、レーザー加工技術、レーザー印刷技術
セミナープログラム
1. 光科学の歴史
・回折現象
・空間分解能
・顕微鏡
・光圧
2. 光渦
・位相特異点
・波動方程式
・様々な光渦
・光渦の発生法
・空間変調器
・光とトポロジー
・円偏光と光渦
・角運動量
・軸対称偏光
・光スキルミオン
3. キラリティーと物質科学
・自然界におけるキラリティー
・光とキラリティー
・螺旋・渦・キラリティー
・キラルな物質
4. 光渦の応用例
・光マニピュレーション技術
・顕微鏡技術
・光通信技術
・レーザー加工
・光重合技術
・結晶化技術
・プリンティング技術
5. まとめ
セミナー講師
千葉大学 分子キラリティー研究センター 教授 博士(工学) 尾松 孝茂 先生
■ご略歴
1983年 東京大学工学部物理工学科卒業
1992年 東京大学大学院工学研究科物理工学専攻 博士(工学)
1992年 千葉大学工学部助手
1996年 千葉大学自然科学研究科助教授
2006年 千葉大学融合科学研究科教授
2018年 現職
■ご専門
レーザー光学、非線形光学、特異点光学、レーザープロセッシング
■本テーマ関連学協会でのご活動
応用物理学会フェロー、Optica Fellow、SPIE Fellow
Editor in Chief, Optics Continuum (Optica)
CLEO Steering Committee Chair
セミナー受講料
1名41,800円(税込(消費税10%)、資料付)
*1社2名以上同時申込の場合、1名につき30,800円
*学校法人割引;学生、教員のご参加は受講料50%割引。
受講について
- 配布資料は、印刷物を郵送もしくはメール送付のどちらかを検討中です。
お申込みは4営業日前までを推奨します。
それ以降でもお申込みはお受けしておりますが(開催1営業日前の12:00まで)、
テキストが郵送となった場合、資料の到着がセミナー後になる可能性がございます。 - 受講にあたってこちらをご確認の上、お申し込みください。
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→こちらをご確認ください
受講料
41,800円(税込)/人
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