
流体解析(CFD)の基礎と攪拌装置設計への活用法
CFDによる攪拌所要動力、混合性能、伝熱性能、固液分散性の性能の評価と検証
攪拌翼の性能と最適化、CFDを活用したスケールアップの考え方
セミナー趣旨
攪拌装置はプロセス産業などの分野で反応機や混合機として広く用いられていますが内部挙動は極めて複雑であることから近年は実験に代わり数値流体力学(CFD)の手法を用いて現象把握や設計検討の試みがなされています。本講習会ではまず、撹拌の全般に関し基礎的事項を中心に理解を深め、攪拌装置内部挙動の解明および設計にCFDの手法が活用される事例を通して、その利活用法について理解いただくことを主旨とします。
習得できる知識
・撹拌技術の基礎知識
・撹拌装置選定のための各種性能評価法
・攪拌CFDの実施方法
・攪拌槽内の基礎的な流動機構とCFD予測の妥当性(検証)について
・CFDによる性能評価
・CFD援用スケールアップの考え方
セミナープログラム
1.撹拌の目的と装置の概要
(1) 撹拌の目的
a.撹拌装置の分類
b.撹拌の形態と操作目的
(2) 撹拌装置の概要
a.撹拌翼の種類と適用範囲
b.邪魔板(バッフル)の機能と種類
(3) 各種撹拌翼の特長と流動状態(フローパターン)
a.低粘度液と高粘度液の境界
b.ハイドロフォイル翼、プロペラ翼など(軸流)
c.タービン翼、平パドル翼など(放射流)
d.傾斜パドル翼(放射流+軸流)
e.多段翼(各種翼の組み合わせ)
f.大型翼(パドル系、格子系)
g.アンカー翼
h.リボン翼系
i.槽底への設置翼
j.その他(同軸翼、ノンシール翼等)
2.撹拌性能の評価
(1) 攪拌所要動力と撹拌翼の吐出流量
a.動力数Npと撹拌レイノルズ数ReMの関係
b.単位体積当たりの撹拌所要動力Pv[W/m3]
c.動力数の相関式
d.Npと吐出流量係数Nqによる撹拌翼の特性評価
(2) 混合性能とフローパターン
a.混合性能の評価指数(混合時間TMと無次元混合時間n・TM)
b.混合過程と混合時間の測定
・着脱色法
・電気伝導度法
c.混合時間の相関と性能曲線(ReM vs. n・TM)
(3) 伝熱性能
a.撹拌伝熱方式
b.局所熱伝達係数と総括熱伝達係数
c.撹拌伝熱の無次元相関
d.壁面の流速に及ぼす粘性係数変化の影響
(4) 固液分散性能
a.固液撹拌の目的
b.固液撹拌の具体例(可視化実験)
c.浮遊限界速度の評価
d.浮遊限界回転数の評価
3.攪拌CFDの基礎
(1) 計算の目的
(2) 攪拌CFDの適用に関する先行研究事例
(3) 支配方程式
a.運動量の輸送方程式
b.スカラー量(物質・エネルギー)の輸送方程式
(4) 直接数値計算と乱流モデル
a.DNS
b.RANS
c.DES
d.LES
(5) 攪拌CFDの特徴と必要な機能
(6) 代表的な境界条件、初期条件
(7) 解析ソルバー
(8) モデル作成の留意点
(9) 計算機
(10) CFD利活用にあたっての留意点
4.CFDによる攪拌流動の解析と検証
(1) ランキン渦の解析と可視化(実測との比較)
(2) バッフル付き攪拌槽の乱流流動解析
a.液面の考慮
b.乱流モデルによる予測結果の相違
(3) リボン翼等の層流流動解析
(4) 攪拌性能の評価と検証
a.槽内流動の基本情報(フローパターンと体積平均流速)
b.攪拌所要動力
c.混合性能
d.伝熱性能
e.固液分散性
f.液面からのガス巻き込みの影響
5.設計・適用検討の事例
(1) 攪拌所要動力の予測
(2) 傾斜パドル翼の最適化
a.攪拌トルクおよび吐出流量に及ぼす翼枚数の影響
b.吐出効率の評価
(3) 撹拌装置の高効率化(投影面積を増大させた大型翼の性能と最適化)
a.混合性能に及ぼす翼の配置の影響
b.混合性能に及ぼす翼の回転投影面積の影響
c.翼の吐出バランスの調整
d.既存技術との比較例
(4) CFD援用のスケールアップ
a.スケールアップの基礎(幾何学的相似の条件)
b.撹拌所要動力のスケールアップCFDに基づく相関
c.混合時間を一定にするスケールアップの考え方
d.Pv一定とするスケールアップに関する考察
6.総括(今後の課題等も含めて)
【質疑応答】
セミナー講師
高田 一貴 先生 呉工業高等専門学校 機械工学科 教授
■職歴
1989年3月 九州大学大学院工学研究科 化学機械工学専攻博士後期課程修了(工学博士)
1989年4月 神鋼ファウドラー株式会社入社(現 株式会社神鋼環境ソリューション)
従事業務:撹拌装置をはじめ環境装置、冷却塔等の研究・開発・設計業務
海外プラントプロジェクト・マーケティング業務
2015年3月 同上退職
2015年4月 呉工業高等専門学校 機械工学科教授
担当講義:熱力学、伝熱工学、冷凍工学、熱機関、設計製図、工学実験、プロジェクトマネジメント
2021年より 広島大学客員教授
現在に至る
■専門分野
熱流体の移動現象、分離工学
セミナー受講料
1名につき 55,000円(消費税込、資料付)
〔1社2名以上同時申込の場合のみ1名につき49,500円〕
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