異種接着・接合技術を中心とした自動車のマルチマテリアル化・軽量化・生産技術と信頼性向上

★有機系接着剤と金属系接合材の両方について基礎から解説!

★接着メカニズム、使用方法等の基本から、異種材接着用途への応用や開発動向等について紹介!

★軽量化技術の必要性を再確認しつつ、企画・性能面での考え方とそれを支える生産技術について解説!

セミナープログラム

第1部 異種材料の接着、接合技術とそのメカニズム

【11:00-12:15】

群馬大学 大学院理工学府 准教授 博士(工学) 井上 雅博 氏

【講演主旨】
異種材料接合技術を議論する場合、界面での結合状態を理解することが重要です。実際の接着界面近傍の化学的状態は複雑であるため、支配的な因子の特徴を掴んだ見通しの良いモデル化を行うことが必要となります。本講演では、金属/有機高分子間の接着界面のモデル化に重点を置き、種々の接合方法における界面形成メカニズムについて解説します。

【キーワード】
化学結合論、接着理論、界面層、表面活性化接合、ナノスケール・インターロッキング

【講演ポイント】
古典的接着理論から異種材料接合の先端技術に至る、さまざまな接着・接合技術における界面形成メカニズムを考えるうえでの基本的な考え方を説明する。

【習得できる知識】
接合界面の設計や解析を行う際に必要な界面現象のモデル化に関する学術的基礎を学ぶことができる。

【プログラム】

  1. 最新の異種材料の接着・接合技術を理解するために
    1. 微細接合技術の研究の全体像
    2. 界面相互作用の3つのレベル
    3. 接着強度を決める諸因子
  2. 有機高分子系接着剤を用いた接着
    1. 濡れ性を理解するための物理モデル
    2. van der Waals力や水素結合とは何か?
    3. van der Waals力や水素結合形成に基づく接着理論
    4. 拡張Fowks式と酸・塩基説~実は同じ現象を別の視点からモデル化したもの~
    5. 接着界面の強度特性はいつ生み出されるか?
    6. カップリング剤~相溶性と化学反応性の2つの考え方~
    7. 分子接着技術への展開
  3. 有機高分子/有機高分子間の接着・溶着
    1. 有機高分子/有機高分子界面での拡散現象~界面層の形成~
    2. ポリマーアロイの熱力学
  4. 金属/有機界面形成に関する先端技術
    1. 表面活性化接合
    2. ナノスケール・インターロッキングとナノアンカー効果
  5. まとめ

【質疑応答】


第2部 マルチマテリアル接着技術 ~適材適所と応用事例~

【13:00-14:15】

セメダイン(株) 技術部 開発グループ 研究第五チーム 矢野 慎吾 氏

【講演キーワード】
異種材接着 マルチマテリアル化 構造用接着剤

【講演のポイント】
接着に関する基礎知識から異種材接着への応用まで幅広く解説する。さらに、最近の接着剤開発動向の一例として、異種材構造用への適用を目的とした高強度化、高弾性化について紹介する。

【習得できる知識】
接着剤による接合のための基礎知識、接着剤の選定方法および軽量化のための異種材接着方法

【講演主旨】
カーボンニュートラルの実現に向け、CO2削減が求められる中、輸送機器等の軽量化に向けたマルチマテリアル化が進んでいる。マルチマテリアル化の取組においては、異種材料の接合が課題となる中で、接着技術が注目されている。
本セミナーでは接着メカニズム、使用方法、主な接着剤種とその適用事例といった基本から、異種材接着用途への応用や開発動向等について紹介する。

【プログラム】

  1. 接着剤の基礎知識
    1. 接着とそのメカニズム
    2. 接着剤の種類と適切な接着剤の選択、接着前処理方法
    3. 接着剤の耐久性と劣化要因
    4. 種々接合方法との比較、メリット・デメリット
    5. 溶接、機械接合から接着接合への代替または両接合併用事例の紹介
  2. マルチマテリアル化のための接着事例
    1. 異種材接着の課題
    2. 被着材の濡れ性、SP値について
    3. 被着材の線膨張係数差への対応
  3. マルチマテリアル化に応用可能な接着技術の最新動向
    1. エポキシ樹脂による変成シリコーン樹脂系弾性接着剤のハイブリッド化
    2. エポキシ樹脂/変成シリコーン樹脂系弾性接着剤の性能および採用実績
    3. 異種材構造用接着剤への適用検討
  4. まとめ

【質疑応答】


第3部 自動車の軽量化・マルチマテリアル化に向けた異種材接合技術の動向と課題

【14:30-15:45】

(株)神戸製鋼所 技術開発本部 ソリューション技術センター 研究首席 兼 専門部長 博士(工学) 鈴木 励一 氏

【講演主旨】
自動車の軽量化に有効な素材として、超高張力鋼板やアルミニウム合金、さらにはCFRPの採用が期待されている。これらはいずれも難接合性素材であり、さらにそれらを組み合わせるとなると、異種材接合は非常な重要な技術ポイントとなる。既に欧米においては異種材接合技術の普及期に入って日が経つが、翻って日本はこれからである。異種材接合を知ることは溶接、機械的締結、接着の3分野を比較することに等しい。実用的な異種材技術の特徴と課題を解説する。

【キーワード】
異種材接合、溶接、機械的締結、軽量化、ロボット、自動化

【講演ポイント】
日本において異種材接合の動向、全体像を語れる技術者は極めて少ない。特に学術領域ではなく、産業領域では尚更である。講演者は一般的な金属接合技術は無論、特に異種材接合に強みを持つ数少ない存在である。また、自動車の構造、設計、これらの考え方等にも知見を持ち、適用イメージや実例について聴講者が理解しやすいように、具体的に解説することができる

【習得できる知識】
・実用化されている異種材接合の全体感把握。
・(a)溶接技術、(b)機械的締結技術、(c)接着技術のエッセンス
・構造用素材と各種接合技術の関係性、また長所だけでなく、短所について重点的に理解することが出来る。
・海外と日本の差異

【プログラム】

  1. 接合法の分類
    1. 冶金的接合法-溶接
    2. 機械的接合法-締結
    3. 化学的接合法-接着
  2. 異種材接合の一般的問題
  3. 異種材接合法のメカニズム的分類
    1. 異種金属接合可否
    2. 異種材接合のメカニズムと強度の関係
    3. 主な異種材接合法一覧
    4. 主な異種材接合法用ロボットシステム一覧
  4. 自動車における異種材接合法の種類・特徴と要点
    1. 機械的接合法
      • ボルト・ナット
      • SPR(Self Piercing Riveting)
      • FDS(Flow Drill Screw)
      • Mechanical clinch 等
    2. 機械的接合+溶接法
      • REW(Resistance Element Welding)
      • FEW(Friction Element Welding)
      • EASW(Element Arc Spot Welding) 等
    3. 接着
      • 接着剤の価値と効果
  5. 欧・米・中で実用化されている自動車の異種材接合法の実績
  6. 従来異種材接合法の課題
    1. 性能、適用範囲
    2. コスト
    3. 電食対策
  7. 今後の展望

【質疑応答】


第4部 自動車の軽量化・マルチマテリアル化の取り組みとその生産技術

【16:00-17:15】

トヨタ自動車(株) 先進技術統括部 エリア支援室 室長 岩野 吉宏 氏

【講演主旨】
カーボンニュートラルにより、CO2削減が車両走行だけでなく車両製造時にまで、求められる範囲が拡大されている。車両軽量化を量産車で実現することはC02排出量削減の為に重要であり、運動性能の向上にも寄与する。トヨタでは、低コスト・高生産性が期待できるCarbon-Sheet Molding Compound(C-SMC)をバックドアインナー(Prius PHV)・サイドドアインナー(LC)・ラゲージドアインナー(LC)に採用し、Prius PHVにおいてはアルミドア比(意匠樹脂部品含む)で40%の軽量化を実現した。
1台あたり200kgの軽量化を実現した場合、2050年頃にはグローバルで年間約300万トンのCO2排出削減が可能という調査があり、自動車の軽量化は大きなテーマになっている。しかし現状では、CFRPなどの炭素繊維の製造時CO2排出量が他材料に比べて多く、カーボンニュートラルの面では課題も残されている。
本セミナーでは燃費に大きく寄与する軽量化技術の必要性を再確認しつつ、企画・性能面での考え方とそれを支える生産技術について解説する。

【キーワード】
・カーボンニュートラル ・CO2削減 ・軽量化 ・燃費向上 ・CFRP

【講演ポイント】
自動車の技術開発におけるボデー設計技術と生産技術の両方を経験し、新技術の製品化に貢献。
多様な開発環境の変化・ニーズ(CN・SDGsなど)に対応した技術開発拠点としての方向性を企画。

【習得できる知識】
製品化に向けた生産技術の方向性

【プログラム】

  1. INTRODUCTION
    1. 開発日程&車両コンセプト(PRIUS PHV&LEXUS LC)
    2. PRIUS PHV バックドアのマルチマテリアル化の狙い
    3. LEXUS LC ドア&ラゲージドアのマルチマテリアル化の狙い
  2. BODY ENGINEERING
    1. CFRP開発動向
    2. マルチマテリアルボデー構造
      • ドア
      • バックドア
      • ラゲージドア
    3. マルチマテリアル化による効果
      • 軽量化
      • 部品統合
      • 後方視界
      • NVH(騒音・振動・ハーシュネス)
  3. PRODUCTION ENGINEERING
    1. ボデー工程における生産技術のポイント
      • SPR(セルフピアスリベット)接合
      • 接着
    2. 成形工程における生産技術のポイント
      • C-SMC(Carbon-Sheet Molding Compound)
  4. SUMMARY
    1. 軽量化・マルチマテリアル化に向けた今後の取り組み
      • 部品展開
      • 軽量化材料
      • Co2削減
    2. 今後の課題(多種少量生産)

【質疑応答】

セミナー講師

第1部 群馬大学 大学院理工学府 准教授 博士(工学) 井上 雅博 氏

第2部 セメダイン(株) 技術部 開発グループ 研究第五チーム 矢野 慎吾 氏

第3部 (株)神戸製鋼所 技術開発本部 ソリューション技術センター 研究首席 兼 専門部長 博士(工学) 鈴木 励一 氏
【経歴】
1992 北海道大学 大学院 工学研究科 金属工学専攻 博士前期課程 修了
1992 (株)神戸製鋼所 入社 溶接棒事業部 技術部 配属
2015 (株)神戸製鋼所 溶接事業部門 溶接開発部 専門部長 兼技術開発本部 機械研究所 専門部長
2017 (株)神戸製鋼所 技術開発本部 自動車ソリューションセンター 接合研究室 室長 兼 溶接事業部門 溶接開発部 専門部長
2022 (株)神戸製鋼所 技術開発本部 ソリューションセンター 研究首席 兼 溶接事業部門 溶接開発部 専門部長
【受賞】
1) 日本溶接協会 H18年溶接注目発明賞
2) 発明協会 H18年近畿地方発明表彰 発明奨励賞
3) 溶接学会 H21年溶接プロセス技術奨励賞
4) 日本溶接協会 H21年技術賞 開発奨励賞
5) 溶接学会 H23年溶接法研究委員会 溶接物理・技術奨励賞
6) 溶接学会 H24年溶接法研究委員会 溶接物理・技術奨励賞
7) 溶接学会 H25年溶接法研究委員会 溶接アーク物理研究賞
8) 溶接学会 H26年溶接論文賞
9) 発明協会 H27年近畿地方発明表彰 発明奨励賞
10) 溶接学会 H27年溶接プロセス技術賞
11) 日本溶接協会 H27年技術賞 開発奨励賞
12) 日本溶接協会 H27年溶接注目発明賞
13) 溶接学会 H27年 田中亀久人賞
14) 溶接接合工学振興会 H27年 金澤賞
15) 溶接学会 H29年溶接論文賞
16) 溶接学会 H30年溶接プロセス技術賞
17) 日本溶接協会 H31年技術賞 大賞
18) 軽金属溶接協会 2020年軽金属溶接技術賞
19) 日本溶接協会 2021年技術賞 開発奨励賞

第4部 トヨタ自動車(株) 先進技術統括部 エリア支援室 室長 岩野 吉宏 氏
【経歴】
トヨタ自動車(株)に入社後、
ボデー設計部:クラウン・カムリのボデーシェル設計を担当
試作部:試作車全般の品質&新技術開発(成形&接合)を担当
先進技術統括部:技術エリアの設備・施設における企画管理、本社技術エリアの総務企画
より現在に至る
【受賞】
2018年:第68回自動車技術会賞 技術開発賞受賞
2021年:第71回自動車技術会賞 論文賞受賞
2021年:第15回自動車エンジニアレベル JSAEフェローエンジニア認定
2021年:自動車技術会 秋季大会学術講演会 優秀講演発表賞受賞
2022年:第13回自動車技術会 技術教育賞受賞
【著作】
2021年:「CFRP/CFRTPの界面制御、成形加工技術と部材応用」 共同執筆
2020年:「月刊誌 MATERIAL STAGE」 共同執筆

セミナー受講料

【1名の場合】55,000円(税込、テキスト費用を含む)
2名以上は一人につき、11,000円が加算されます。


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キーワード

自動車技術   複合材料・界面技術   高分子・樹脂加工/成形

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