創エネ :新環境経営 (その23)

 今回から、創エネについて解説します。
 
 創エネというと、太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電、小水力発電等が浮かびますが、政策の影響を受けて予算がつかず技術開発が停滞していた時期がありました。3.11の原発事故を受けて、再生可能エネルギーによる創エネの重要性が再確認されました。まずは、今もっとも普及が進んでいる太陽光発電から紹介します。
 

1. 太陽光発電

 創エネで普及が最も先行しているのが太陽光発電で、家庭の屋根に搭載が始まってから20年以上経過しました。導入初期は太陽光発電システムが高価でしたので、多額の国の補助金が当てられ、導入推進がなされました。一時、国の補助金がなくなり足踏み状態になりましたが、世界的な地球温暖化問題により補助金が復活し、かつ「余剰電力買取制度」の導入により再び勢いがつき、紆余曲折を経て、近年は急激に普及が進んでいます。又、企業では、3.11の原発事故を契機に「全量買取制度」が始まり、1MW以上のパネルで大規模に発電するメガソーラーへの参入が進んでいます。
 

2. 余剰電力買取制度

 10KW未満の発電に適用され、自家使用で余った電力を、電力会社が買い上げることが義務化付けられた制度です。売電契約時の価格で10年間売電することができます。売電価格は制度の開始時は48円/KWhでしたが、毎年見直しがされ、年々下がってきています。電力会社は、買い上げた電気代金を電力利用者から回収することになっており、賦課金の形で電気料金に上乗せされています。売電価格は、太陽光発電システム導入する消費者がインセンティブを持てる価格で、かつ、賦課金の負担感の兼ね合いで決められています。
 

3. 全量買取制度(固定価格買取制度)

 10KW以上の発電システムに適用され、発電電力の全量を、20年間、固定価格で電力会社が買い上げることを義務付けた制度です。海外ではこの制度の採用で、創エネ(太陽光発電、風力発電等)の普及が進んだことを受け、日本でも平成24年7月から始まりました。大規模メガソーラー事業者の参入を喚起するため、売電価格を40円/KWh(税抜き)と高めに設定した結果、参入が相次ぎメガソーラーの用地確保と送電線の容量確保が問題となりました。多くの事業者が参入したことは目論見通りでしたが、一方では、高い固定価格の権利は確保して、工事は先送りで利ザヤを稼ごうとする悪質業者も現れ、所定期間内に着工しない場合は権利取り上げの対応も必要となりました。「全量買取制度」は、メガソーラーのみならず、10KW以上から対象となるため、小規模事業者や家庭用でも増えてきています。一方、農地の上に太陽光パネルを設置し、営農を続けながら売電の副収入を得るソーラーシェアリング(太陽光を作物と発電で分け合う)も始まりました。狭い国土の有効利用に繋がり、後継者不足問題を抱える農家の経済的自立支援になるため、全国に広がりつつあります。
 

4. 太陽光発電の将来

 太陽光発電システムは電化製品で必ず壊れます。適切にメンテナンスをしながらできるだけ長く利用し続ける努力が必要です。システム導入当初は太陽光パネルの架台の取り付けの問題で、屋根の水漏れトラブルが頻発しましたが、今...
は防水技術、施工技術の改善でクレームが激減しています。太陽光パネルは20年以上持つといわれてますが、部分的な日陰によって発電電圧のアンバランスが生じ、破損する事例が出ています。又、ロウ付けや、半田付けの接続部はそれ以前に劣化します。直流を交流に変換し、系統に接続するためのパワコンは半導体でできているため10年で交換が目安です。システムの利用の過程で発生する様々なトラブル情報を共有して、未然防止に繋げる取り組みが重要です。太陽光発電は、50年前の半導体の発明から派生し、個人がエネルギーを作れるようになった画期的なシステムです。是非、これからも技術開発の成果を取り込みながら、エネルギー自給自足の一手段として大切に育てていきたいものです。
 
 次回は、風力発電について解説します。
 

↓ 続きを読むには・・・

新規会員登録


この記事の著者