トヨタ自動車とセブンイレブンのサプライチェーンマネジメント

1. 少ない在庫のモデル企業

 決算期末の製品在庫が6日しかないトヨタ自動車、店頭在庫が11日分しかないセブンイレブンは全く違う業界でありながら、両社とも日本を代表する高収益企業です。トヨタ生産システムはカンバンシステムをシンボルとして製造工程間同期化の世界的経営プラクティスのモデルとなっており、セブンイレブンはチームマーチャンダイジングという製造業と小売業のアライアンス(同盟関係)のモデルとなっています。トヨタは前後の工程の間に挟まれた仕掛在庫に焦点を当て、セブンイレブンは仕入と販売の間にはさまれた店頭在庫に焦点を当てたサプライチェーンマネジメントです。

2.在庫管理の本質は業務の速度制御

 在庫は「罪庫」とばかり、ゼロになるまで在庫を削減することが理想と考える短絡的な在庫管理経営論に振りまわされてはいけません。在庫ゼロのリ-ンマニファクチャリングのカンバンシステムは人間疎外だと論評した経営評論家がいました。セブンイレブンは在庫を削減して高収益をあげたとする単純な在庫性悪説にしたがって、在庫を減らしたにもかかわらず倒産した店がありました。在庫とは連なって流れる車の(業務)の車間距離のようなもので、運転技術(業務速度制御能力)を無視して短縮(在庫削減)すると衝突の危険(品...

切れ)があるのと同じように、在庫管理だけでは危険なのです。在庫削減運動が欠品を生じて限界に突き当たったときこそ、次の改善テーマが浮き彫りになってきます。トヨタの成功やセブンイレブンの成功は、在庫に焦点を当てることで、連動する連鎖業務の速度を制御するマネジメントにあると言えるでしょう。

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