ゼオライトの触媒作用〜美しい構造と化学的性質の関係〜
開催日 |
10:30 ~ 16:30 締めきりました |
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主催者 | 株式会社 情報機構 |
キーワード | 化学反応・プロセス |
開催エリア | 東京都 |
開催場所 | 【北区】北とぴあ |
交通 | 【JR・地下鉄】王子駅 【都電】王子駅前 |
ゼオライトの機能、主に触媒作用について基礎から解説
講師
鳥取大学 工学部附属GSC (Green Sustainable Chemistry)研究センター 教授 片田 直伸 先生
講師紹介
■ご略歴:
1990.3 名古屋大学大学院工学研究科応用化学および合成化学専攻博士前期(修士)課程修了
1990-1992 株式会社日本触媒勤務
1990 鳥取大学助手に採用、講師、助教授、准教授を経て、2011から
現職(鳥取大学教授、工学部附属GSC研究センターおよび大学院工学研究科応用化学分野)
■ご専門および得意な分野・研究:
固体触媒化学(固体酸触媒の原理と応用、吸着、イオン交換、活性点の化学機能解析、
表面設計、ゼオライト化学、メタンの高価値化学製品への転換、石油中の重質成分の
高価値化学製品への転換)
■本テーマ関連学協会でのご活動:
2014-2016触媒学会理事
2012-現在 日本ゼオライト学会理事(2014から庶務理事)
2018 国際石油・ガス協力機関/石油学会 クウェート派遣団長
2016-現在 International Zeolite Association, Catalysis Commission, Joint Research Leader
2006 ZMPC (International Symposium on Zeolites and Microporous Crystals) Secretary
2002-2005 JSTさきがけ研究者
2017-現在 JST CREST研究代表者 など
受講料
1名43,000円 + 税、(資料・昼食付)
*1社2名以上同時申込の場合 、1名につき33,000円 + 税
※消費税につきましては講習会開催日の税率にて課税致します。
*学校法人割引 ;学生、教員のご参加は受講料50%割引。
セミナーポイント
■はじめに
ゼオライトは無リン洗剤、放射性汚染水処理、排ガス処理、デシカント冷房、酸素製造、
二重窓の曇り止め、重質油から高価値炭化水素、樹脂原料の合成などの分野で
環境・エネルギー・資源問題の解決に貢献し、石油文明を実現させ、PETの製造法をもたらすなど、
実力ある機能性物質である。その機能は細孔による形状選択性とイオン交換特性(酸性質)に由来している。
近年これらの特性が精密な構造によって発現していることがわかり、具体的な応用分野に対して
どのようなゼオライトを用いるべきかという指針も確立されつつある。少し昔には謎と思われたことが、
簡単な知識で理解できるようになっており、新規ビジネスへの展開も急である。
このようなゼオライトの機能、主に触媒作用について、基礎から解説する。
■受講対象者:
・本テーマに興味のある方なら、どなたでも受講可能です。
■必要な予備知識や事前に目を通しておくと理解が深まる文献、サイトなど:
・大学の共通教育(教養)課程における物理や化学の知識。
・石油精製、地球環境問題、福島第一原発の汚染水浄化について学んでおくとより理解が深まる。
・書籍「化学マスター講座: 触媒化学」(江口浩一編著・丸善出版・2011/6)
■本セミナーで習得できること:
・固体触媒、吸着、イオン交換の基礎知識、研究動向
・石油精製、化学プロセス、環境浄化に関する基礎知識、研究動向
・化学プロセスの開発に対する環境問題の影響の動向
・ゼオライトに関する基礎知識、研究動向
セミナー内容
1.本講義のハイライトを先取り説明
1)10 pmの分子構造の違いを見分けるゼオライトが、PETボトルの時代を実現した!
2)10 pmの原子位置の違いが、石油時代をもたらしたゼオライトの触媒活性の由来であった!
2.固体酸触媒
1)背景
a) BronstedとLewisは対立していた!?
b)酸はどのような反応を触媒として促進するか、どのような酸がどのような反応に対して活性か
2)資源・環境問題を解決する固体酸触媒
a)固体酸触媒による手品のような無廃棄物プロセス
b)ガソリン・ナフサは原油から取りだすのではなくゼオライトを触媒とする
化学反応によって創り出されている
c)物価はゼオライトの働きで決まっている!?
3.ゼオライトおよび類縁化合物
1)ゼオライトの用途
a)イオン交換: 無リン洗剤、放射性汚染水浄化、熱帯魚の水槽浄化、畜産の防臭、土壌再生
b)吸着: デシカント冷房、酸素(窒素)製造、ガス分離、二重窓の曇り止め、
溶剤の脱色・脱水、鉄道模型の砂利
c)石油精製での触媒: 軽油から高価値炭化水素、重油の水素化分解、難脱硫性化合物の分解、
ベンゼン誘導体の相互転換、ナイロン・スチロール樹脂・フェノール・PET原料の合成
d)化学工業での触媒: 廃棄物を出さない各種機能材料の製造
e)触媒担体: メタンの高価値物質への転換、ガソリン・ディーゼル排ガスの浄化、
燃料電池用オンサイト燃料製造
2)いろいろなゼオライト
a)ゼオライトの生成・合成
b)昔ながらの役立つゼオライトと、芸術家が創る役立たないゼオライト類縁化合物: シリカライト、
メタロシリケート、AlPO、SAPO、MeAPO、PCP-MOF、メソポーラス物質
c)ゼオライトの命名は行き当たりばったり!
4.必要な分子だけを製造するシリカ被覆ゼオライト触媒
1)抗体・Molecular Imprinting・PCP-MOF・・・形状選択的触媒作用を目指した失敗の歴史と、
唯一の成功例: ゼオライト
2)化学蒸着(CVD)法によるゼオライト細孔入口径の制御
3)シリカ被覆MFIゼオライトによるPET原料の99.7%選択合成
5.ゼオライトの酸性質と触媒機能
1)アンモニアIRMS-TPD (赤外/質量分析-昇温脱離)法による固体酸性質の解析
2)各種ゼオライトの酸性質と、これらを貫く原則
3)触媒機能の発現機構: どのようなゼオライトを使えばどのような反応が進むか
4)酸性質と担体としての機能の関係