高齢ドライバーの特性評価と運転支援システムの開発
開催日 |
10:00 ~ 17:00 締めきりました |
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主催者 | 株式会社 技術情報協会 |
キーワード | 自動車技術 人間工学一般 人体計測・センシング |
開催エリア | 東京都 |
開催場所 | 【品川区】技術情報協会セミナールーム |
交通 | 【JR・地下鉄】五反田駅 【東急】大崎広小路駅 |
若年者と高齢者ドライバーの運転特性、
危険認知・反応にはどのような違いがあるのか?
高齢者の特性に対応する、運転支援システムの設計方法を徹底解説!
セミナー講師
1. 関西福祉科学大学 健康福祉学部 学長補佐 教授 博士(人間科学) 木村 貴彦 氏
2. 信州大学 医学部保健学科 作業療法学専攻 教授 博士(医学) 小林 正義 氏
3. 名古屋大学 未来社会創造機構 モビリティ社会研究所 特任教授、企画戦略室長 博士(工学) 青木 宏文 氏
セミナー受講料
1名につき60,000円(消費税抜き・昼食・資料付き)
〔1社2名以上同時申込の場合1名につき55,000円(税抜)〕
セミナープログラム
<10:00〜11:30>
1.認知心理学的手法による高齢ドライバの特性評価
関西福祉科学大学 木村 貴彦 氏
【講演概要】
我が国における高齢者が関わる交通事故は増加の傾向にあり、今後さらに顕著となる高齢化を見据えた安全・安心な交通社会の構築は喫緊の課題である。現在の自動車はドライバーによる操作が必須のため、ドライバーの認知・判断・操作の誤りが危険に直結する。したがって、ドライバーの諸特性をどのように評価して理解するのかという点がドライバーを含めたシステムとしての自動車を考える上で極めて重要となる。実験心理学は、従来から人間や動物の知覚・認知など外界から取り入れる情報処理に関するメカニズムを明らかにすることに焦点をあててきた。さらに、近年では実験心理学的手法によるアプローチをより実際的な側面に適用する動きが拡大されている。
本セミナーでは、自動車の運転に関わる人の認知特性について、実験心理学・認知心理学的な手法を用いて検討した知見について概観していく。
【プログラム】
1.ドライバーの認知・行動特性
2.認知心理学に関連する検討課題
3.認知心理学的手法について
3-1 刺激と反応に関わる問題
3-2 注意特性に関わる問題
【質疑応答】
<12:20〜13:50>
2.高齢者の危険認知を評価する模擬運転テストの開発研究
信州大学 小林 正義 氏
【講演概要】
2017年の道路交通法改正(警察庁、2017)では、高齢運転者への対策として免許更新時の認知機能検査で「認知症のおそれあり」と判定された場合、違反行為の有無に関わらず医師による診断書作成が必要となった。しかし、医療機関で高齢者の運転可否を判断する基準は整備されておらず、実際には運転の可否を判断することは難しいとされている。自動車運転認知行動評価装置は、あらかじめ撮影された運転映像をモニターに提示し、被検者に映像の動きに合わせて模擬運転操作を行わせ、ハンドル、アクセル、ブレーキの操作反応と、手掌部発汗反応(Palmar Sweating Response:PSR)、皮膚電位反射(Skin Potential Reflex:SPR)を測定するもので、被験者の危険認知(Hazard Perception)、危険予測(Hazard Prediction)機能を評価することができる。本装置を用いた模擬運転テストの実装により、高齢ドライバーの運転事故防止に貢献できる可能性がある。
【プログラム】
1.高齢ドライバーの運転事故
1-1 高齢ドライバーの運転事故の原因は?
1-2 高齢者講習の問題点
1-3 どのような対策が可能か?
2.「自動車運転認知行動評価装置」(特許第5366248号)の特徴
2-1 手掌部発汗反応(PSR)と皮膚電位反射(SPR)
2-2 危険認知・危険予測の評価指標としてのPSRとSPR
2-3 模擬運転テストの開発
2-3-1 視線動作解析
2-3-2 実車運転との比較
2-4 危険場面と危険予測場面の手掌部発汗反応・皮膚電位反射と前頭前野の酸素化ヘモグロビン(oxyHb)濃度変化
3.模擬運転テストによる高齢者の応答特性
3-1 認知機能の低下による影響
3-2 危険場面・危険予測場面のブレーキおよび手掌部発汗反応(若年者と高齢者の比較)
4.模擬運転テストの実装に向けて(将来展望)
【質疑応答】
<14:00〜17:00>
3.高齢ドライバー時代における運転支援システム開発
名古屋大学 青木 宏文 氏
【講演概要】
高齢ドライバー人口の増加に伴う交通事故の削減向けて、認知・視覚・身体機能などの人間特性や、運転行動(自家用車、試験車、ドライビングシミュレータ)の実データ300人2000項目から構成される高齢ドライバーデータベース「Dahlia」の構築、分析し、運転支援システムの企画・開発を行っています。これらの取り組み内容ご紹介することで、新たなシステムやサービス開発にお役に立てれば幸いです。
【プログラム】
1.はじめに
1-1 日本および世界の高齢化状況
1-2 高齢ドライバーの交通事故
1-3 高齢者が元気になるモビリティ社会を目指した取り組み
2.高齢ドライバーの人間特性と運転特性
2-1 高齢ドライバー人間・運転特性データベース「Dahlia」
2-2 Dahliaから見えてきた高齢ドライバーの人間特性の傾向
2-3 Dahliaから見えてきた人間特性と運転特性の関係
2-4 一時停止交差点における高齢ドライバーの運転特性と人間特性
3.高齢ドライバーの誤操作による事故と対策
3-1 高齢ドライバーの誤操作による事故状況
3-2 ペダル誤踏みに関するペダルレイアウトおよび足位置の考察
3-3 高齢ドライバーの誤操作に対するHMI効果検討
4.体調急変検知技術と自動停止システム
4-1 運転中の体調不良
4-2 ドライバーの体調急変による交通事故
4-3 運転中の体調モニタリング研究および実用例
4-4 ドライバの体調不良検出による自動退避システム紹介
5.ドライバーエージェントシステムによる高齢ドライバ支援
5-1 高齢ドライバーの運転と自己認識
5-2 従来のドライバーエージェントコンセプト
5-3 即時支援と運転振返りの組み合わせによるドライバーエージェントシステム
5-4 実用化に向けた取り組み
【質疑応答】