書評検索結果

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「アップル帝国の正体」後藤直義,森川潤著

投稿日 2017/12/06

本書は週刊ダイヤモンドの記者である二人が、世界を巡って多くの関係者から集めた証言をもとに書き上げた、企業価値世界一のアップルイメージです。

それは表から見ると、ユーザーの心を捉えるきらびやかな存在ですが、本書では主に裏側の部分を強く描いています。

アップルが描く理想を実現するために、世界中の優れた部品を探し出しては大量購入の力を使って有利な条件で購入し、一方で他社の数倍にあたる利益を得て販売するという傲慢で強欲ともいえる姿です。

世界中で100年企業が最も多い日本では、多かれ少なかれ売り手良し、買い手良し、世間良しという三方よしの

「技術を活かす経営」西口泰夫著

投稿日 2017/09/21

本書は京セラの社長であった著者が、63歳で会長職を辞した後、同志社大学大学院の博士課程で研究した技術経営に関する博士論文を書籍化したものです。

主に電気機器産業で日本企業が低迷する要因を産業の情報技術化への対応不足と分析し、必要な要素として、オープン・イノベーション、市場ニーズの的確な把握、知識経営、人・組織の有機的活用などを挙げ、それらを統合したコンセプトであるOIBMS(Open Integral Business Management System)を提唱しています。

多くの文献、事例、データ解析を駆使し、論理的でありながら、元事業化にふさわしく学術領域に留まらない現実的な推論が見事です。

強いて言うなら、最も難しいOIBMSの具体的実現方法を是非伝授して欲しかったものです。

「最強のMOT戦略チャート」出川通著

投稿日 2017/09/07

本書は、自らがベンチャー起業家であり、多くのMOT解説書を出版した著者によるMOT(技術経営)ワークブックです。

全ページの分をチャート、グラフ、図表で構成し一目でMOTの構造、要点、ツールが理解できるように工夫されています。やや捉えどころのないMOTが、この構成によってぐっと身近に感じられるでしょう。

もともと産学協働ベンチャーを経験していることもあり、その部分やプロジェクトマネジメントなど、著者のお得意分野が充実している点も特徴です。

とにかくさらっとMOTの概要を概観したい大中規模製造企業の開発部長におススメです。

「MOT"技術経営"入門」延岡健太郎著

投稿日 2017/08/23

本書は、日本のMOT界を牽引する一橋大学イノベーション研究センターの所長である著者による技術経営の入門書です。

これは私が7年前MOT大学院に入学した直後、真っ先に購入した一冊でもあります。

MITで最先端のMOTを吸収してきた著者は、価値創造は得意ながら価値獲得は苦手とする日本の技術者と技術系管理職に対して技術経営の構造と近年の傾向、その対処法までを示します。

出版以来10年が経過して、その主張は工業界に浸透し、新鮮さは減じてきたものの、重要性はむしろ高まっています。

もしあなたの書棚にまだMOT関係書がないのなら、基本事項を網羅した本書はおススメの一冊です。