書評検索結果

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「血の巡りを良くする手法の連携活用」VCP-Net研究会

投稿日 2014/08/21

本書は、日本規格協会を中心に各種の手法専門家が集結し、開発戦略策定プロセスと開発実行プロセスの整流化を目指すVCP-Net(価値創生実践知開発ネットワーク)のWG1成果として出版されました。

構成としてはBSC,SWOTから品質管理7つ道具、新7つ道具、QFD、TRIZ、品質工学といった主だった37手法を一定のフォーマットで表現したのち、各々の手法を目的の主語述語のマトリクスで分類したり、手法間の連携を検討したり、果ては新しい手法の必要性や出現可能性にまで言及し、徹底的に手法を「深掘り」しています。

VCP-Netで抽出した300技法の内の37だけを分析した中間報告という扱いになっていますが、料理方法はかなり研究が進んでいるように見受けられ、ものづくり革新ナビのシステム改善にも大いに活用できそうです。

136Pと薄手の装丁ながら、中身の濃い一冊です。

「統計的思考による経営」吉田耕作著

投稿日 2014/08/05

本書では、80年代から90年代にかけてデミング博士と共に米国で活動してきた筆者が、日本と米国の良いとこ取り経営論を展開します。

全編を通じて「競争ではなく協調」の重要性を提起し、それを実現させるための方法として、従来のQCサークルからその衰退原因となった問題点を改善したCDGM(Creative Dynamic Group Method)と呼ぶ活動を紹介しています。

60年代からデミングが日本で教えようとしていたのは、QC(品質管理)ではなく実はQM(経営品質)だったと聞く事があり、本書を読むとそれが真実だったのだろうと思えてきます。

業績が不振で重苦しい雰囲気が漂っている企業の経営者、管理者に強くお勧めする一冊です。

「コア・コンピタンス経営」G.ハメル&C.K.プラハラード 著

投稿日 2014/04/16

経営戦略論においてコアコンピタンスという単語は頻繁に出てきます。「企業の核となる優位事項に集中して経営する」というやや保守的なイメージで本書を読み始めましたが、原題はCompeting for the futureで、むしろ没落した一流企業を顧み、現状に満足することなく将来の優位性を獲得するための学習に投資し、戦略的に努力する必要性を説く内容でした。

1994年の出版という事で、日本企業を持ち上げる場面が多いのですが、そこで取り上げた一流企業が今や陥落していく様は、日本企業でも同じであることが証明されているわけです。その点ではクリステンセンの「イノベーションのジレンマ」や、コリンズの「衰退の5段階」に通じる観察があります。

すでに状況が悪化した企業よりは、今絶好調の企業経営人こそが進んで読むべき一冊と言えるでしょう。

「イノベーションへの解」クリステンセン 著

投稿日 2014/04/02

Amazon.comのジェフ・ベゾスCEOが、経営幹部に必ず読ませるビジネス書3冊はゴールドラットの「ザ・ゴール」、ドラッガーの「経営者の条件」、そしてこのクリステンセンの「イノベーションの解」だそうです。

前作「イノベーションのジレンマ」は、一流企業が優秀なだけに陥る破滅への道程を見事に説明していますが、本書でその力を逆に使い、成功企業をひっくり返して自らが勝者となる方策を導き出しています。

それは顧客の選び方、製品の考え方、組織の構成/選抜、資本の投じ方、経営者の役割など多岐に及び、理解したからと言って実行が難しいのは世の常ですが、知ると知らないの差は大きいものがあります。

製造業の管理者、経営者は一読する意義があるでしょう。うまくすればAmazon並に成長できるかも?しれません。