1枚の基本設計構想図法 【快年童子の豆鉄砲】(その48)

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◆1枚の基本設計構想図法

1.商品化プロセス

これ以降は「夢商品開発七つ道具」の残り6つの説明になるのですが、この6つは「プロシューマ―・アンケート法」で手に入れた「市場創造型商品コンセプト」を、効率よく的確に商品化するためのものです。ただ、商品コンセプトによっては、その企業独特の商品化プロセスが有効な場合もありますので、その場合は、これからご説明する諸手法を参考にされつつ、その商品化プロセスを推進して頂ければよいということを最初に申し上げておきたいと思います。

 

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その47)へのリンク】

 

2.「1枚の基本設計構想図法」とは

これは、表112-1でご紹介した「創造的魅力商品開発七つ道具」の2番目にある「一枚の魅力ある基本設計構想図法」に相当するものです。

 

 

表112-1 創造的魅力商品開発七つ道具

品種マネジメント

 

長い元のタイトルにある“一枚の”ですが、これは、手法を提唱された諸戸氏が強く主張されたもので、Y7に採用する際残すかどうか大分迷いましたが、残すことにしました。と言いますのは「市場創造型商品コンセプト」の商品化には、多くの部門だけでなく、社外、特に企業とは縁の遠い大学や研究所とのコラボが予想されるのですが、その際、例え、ごく一部の開発を担当する人たちであっても、商品化構想の全貌を把握した上での開発でなければ事はうまく運ばないのです。

 

ところが、関係者全員が商品化構想の全貌を把握するというのは非常に難しいのですが、その全貌を、レポート説明会ではなく、“1枚の”「基本設計構想図」に纏めて配布することにより可能になりますので、“1枚の”に拘ったわけです。その感触を掴んで頂くために、次項で事例を使ってご説明します。

 

3.「1枚の基本設計構想図」の事例

この事例は、ある自動車のメーター製造会社で、プロシューマ―アンケート法で手に入れた市場創造型商品コンセプト「室内用植物栽培キット」の商品化のために作成したものです。

 

技術マネジメント

図121-1 室内用植物栽培キットの1枚の基本設計構想図<< クリックで拡大 >>

 

それぞれのブロックに記載されている内容を下記にご説明します。

 

【「室内用植物栽培キット」の1枚の基本設計構想図】の説明

それぞれのブロックに記載されているタイトルと内容は下記の通りです。詳細は内容が内容だけに明かせませんが、感じは掴んで頂けると思います。

 

①使命

このブロックがこのプロジェクトの「使命」(この事例では「100年企業への挑戦」)を明確にし、その使命達成のための具体的な「商品名」(この事例では「inatel」)と「商品コンセプト」そして、このコンセプトを選んだ根拠ともいえる「市場ニーズ&シーズ」を、社会現象など大局的見地から記載します。

 

②inatelのニーズ&シーズ

最終的な商品コンセプトの詳細決定のカギを握った「ユーザーの立場に立ったニーズ&シーズ」

 

③システム

商品コンセプトが十分機能するための、周辺環境を巻き込んだシステム構想を記載します。

 

④基本構造

上記システムの基本的構造が分かる図などを付けて説明をします。

 

⑤販売戦略

販売ルート(ネット販売、訪問販売、契約販売など)、PR活動、アフターサービスなど販売戦略の説明をします。

 

⑥商品のグレード

顧客ニーズに合わせた商品のグレードをきめ細かく説明します。

 

⑦経営に関わる見通し

ビジネススタディ、売り上げ予想、初期投資、商品コスト、販売価格、利益など、経営に関わる見通しを説明します。

 

⑧スケジュール

プロジェクトのキックオフから販売開始までのスケジュールの説明です。

 

⑨課題/その他

上記を検討する過程で浮かび上がった実現のための課題について、内容と解決方針や方向性の説明をします。

 

4.市場創造型商品...

仕事

 

◆1枚の基本設計構想図法

1.商品化プロセス

これ以降は「夢商品開発七つ道具」の残り6つの説明になるのですが、この6つは「プロシューマ―・アンケート法」で手に入れた「市場創造型商品コンセプト」を、効率よく的確に商品化するためのものです。ただ、商品コンセプトによっては、その企業独特の商品化プロセスが有効な場合もありますので、その場合は、これからご説明する諸手法を参考にされつつ、その商品化プロセスを推進して頂ければよいということを最初に申し上げておきたいと思います。

 

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その47)へのリンク】

 

2.「1枚の基本設計構想図法」とは

これは、表112-1でご紹介した「創造的魅力商品開発七つ道具」の2番目にある「一枚の魅力ある基本設計構想図法」に相当するものです。

 

 

表112-1 創造的魅力商品開発七つ道具

品種マネジメント

 

長い元のタイトルにある“一枚の”ですが、これは、手法を提唱された諸戸氏が強く主張されたもので、Y7に採用する際残すかどうか大分迷いましたが、残すことにしました。と言いますのは「市場創造型商品コンセプト」の商品化には、多くの部門だけでなく、社外、特に企業とは縁の遠い大学や研究所とのコラボが予想されるのですが、その際、例え、ごく一部の開発を担当する人たちであっても、商品化構想の全貌を把握した上での開発でなければ事はうまく運ばないのです。

 

ところが、関係者全員が商品化構想の全貌を把握するというのは非常に難しいのですが、その全貌を、レポート説明会ではなく、“1枚の”「基本設計構想図」に纏めて配布することにより可能になりますので、“1枚の”に拘ったわけです。その感触を掴んで頂くために、次項で事例を使ってご説明します。

 

3.「1枚の基本設計構想図」の事例

この事例は、ある自動車のメーター製造会社で、プロシューマ―アンケート法で手に入れた市場創造型商品コンセプト「室内用植物栽培キット」の商品化のために作成したものです。

 

技術マネジメント

図121-1 室内用植物栽培キットの1枚の基本設計構想図<< クリックで拡大 >>

 

それぞれのブロックに記載されている内容を下記にご説明します。

 

【「室内用植物栽培キット」の1枚の基本設計構想図】の説明

それぞれのブロックに記載されているタイトルと内容は下記の通りです。詳細は内容が内容だけに明かせませんが、感じは掴んで頂けると思います。

 

①使命

このブロックがこのプロジェクトの「使命」(この事例では「100年企業への挑戦」)を明確にし、その使命達成のための具体的な「商品名」(この事例では「inatel」)と「商品コンセプト」そして、このコンセプトを選んだ根拠ともいえる「市場ニーズ&シーズ」を、社会現象など大局的見地から記載します。

 

②inatelのニーズ&シーズ

最終的な商品コンセプトの詳細決定のカギを握った「ユーザーの立場に立ったニーズ&シーズ」

 

③システム

商品コンセプトが十分機能するための、周辺環境を巻き込んだシステム構想を記載します。

 

④基本構造

上記システムの基本的構造が分かる図などを付けて説明をします。

 

⑤販売戦略

販売ルート(ネット販売、訪問販売、契約販売など)、PR活動、アフターサービスなど販売戦略の説明をします。

 

⑥商品のグレード

顧客ニーズに合わせた商品のグレードをきめ細かく説明します。

 

⑦経営に関わる見通し

ビジネススタディ、売り上げ予想、初期投資、商品コスト、販売価格、利益など、経営に関わる見通しを説明します。

 

⑧スケジュール

プロジェクトのキックオフから販売開始までのスケジュールの説明です。

 

⑨課題/その他

上記を検討する過程で浮かび上がった実現のための課題について、内容と解決方針や方向性の説明をします。

 

4.市場創造型商品コンセプトの共通認識

この事例の「1枚の基本設計構想図」は、プロジェクトチームメンバーの意思統一のためのものですので全ての要素が入っていますが、使い道によって、項目の取捨選択をして使います。この「1枚の基本設計構想図法」の趣旨は、共通認識の共有が難しい市場創造型商品コンセプトの共通認識ですので、この事例を参考に、趣旨に沿ったものを作って活用して頂ければと思います。

 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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