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QUESTION 質問No.36

樹脂ブロックの特性に関して

市場品質品質工学(タグチメソッド) |投稿日時:
大変稚拙な質問で申し訳ありませんが、樹脂に関する特性に関して教えて下さい。

サンモジュールTW-E素材の型(入子)を使用し、アミンガスによる成形。
結果、入子(サンモジュール)が溶解してしまいました。

これは化学反応によるものなのか、もしくは熱変形温度によるものなのか教えて頂けないでしょうか?

成形先の担当者からは、エポキシ系の樹脂「RAKU-TOOL」であれば問題ないと言われました。
(細かい理由は教えて頂けませんでした)

溶解の原因は、素材内の何に化学反応によるものなのか、
もしくは加熱温度のせいなのか、今一つ理解が出来ておりません。

今後このようなアミンガス系の成形を考慮した場合、どのような樹脂ブロックを選出するのが良いのか、
的確なアドバイスを頂きたいと思っております。

どうぞよろしくお願い致します。

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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

管理人の熊坂です。登録専門家の分野ではないため、独自のネットワークで専門家を探して以下の回答を入手しました。もしこの回答者とさらにご相談されたい場合は、その旨ご連絡戴ければご紹介いたします。

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①原因究明対策を考えるにあたって第一に、使用型・サンモジュールTW-Eの素材か゜何であるかを明らかにする必要があります。これは三洋化成工業(株)製のツーリング・マテリアル(合成木材)ですが、同社ホームページでは素材を明記していません。恐らくポリウレタン製ではないかと推察されますから、以下ポリウレタンと仮定して話を進めます。

②発生したトラブルについて、「サンモジュールTW-E素材の型(入子)を使用し、アミンガスによる成形。結果、入子(サンモジュール)が溶解してしまいました。これは化学反応によるものなのか、もしくは熱変形温度によるものなのか教えて頂けないでしょうか?」と書かれています。まず、用語が正しく用いられていないと思いますから、それについて述べます。
溶解とは固体、液体、気体の分子やイオン(溶質)が別の液体分子(溶媒)中に拡散していき、均一な混合物(溶液)が生成する現象で、化学反応ではありません。従って、「アミンガスによる成形の結果、入子(サンモジュール)が溶解してしまいました。」は正しくなく、「アミンガスによる成形の結果、入子(サンモジュール)の外観や形状が損なわれてしまいました。」と言うべきだと思います。
もしサンモジュールTW-Eがポリウレタンでできていれば、ポリウレタンは一般にアミンに対して化学的に弱いことが知られていますから、ダメージ(溶解ではなく、腐蝕と呼ぶべきでしょう)を受けることは充分考えられます。
また、原因として入子の耐熱性不足の可能性も言及されていますが、入子の耐熱性(ガラス転移温度、荷重たわみ温度(最近は熱変形温度ではなく、こちらを使用するのが一般的です)など)と成形時の入子帯の温度の両者が不明ですから何とも言えません。熱によってプラスチックが軟化するのは溶融と言う物理的な現象で、先の化学的な現象である腐蝕とは本質的に異なるものです。
そして、入子(サモジュール)の外観や形状の損傷がアミンガスによる腐蝕に起因するものか、それとも成形時の加jp熱による溶融によるものか(両者による場合もありますが)は今後の対策を考える上で大きな相違が出てきますから、まずどちらであるかを見極めることが非常に重要です。
一般的に、ポリウレタンは熱硬化性樹脂の中では耐熱性が良い方ではありませんので、成形温度との関係で溶融の可能性も考えられます。腐蝕、溶融のいずれが起こっているかは実験によって確認できますが、最も簡単には損傷した入子の目視観察でもわかると思います。

③対策ですが、「アミンガスを使用して成形する」ことを前提として考えます。 なおご承知かと思いますが、アミンは脂肪族、芳香族いずれでも毒性が強く(発ガン性があります)、取扱いには細心の注意が必要です。
・トラブルの原因がアミンガスによる腐蝕の場合
 アミンに対して化学的な抵抗力が強い素材の入子に変えることが考えられます。
・トラブルの原因が成形時の加熱による入子の溶融の場合
 成形温度が下げられれば問題ないですが、ダメならばサンモジュールよりも耐熱性の高いi素材に変えることが考えられます。
いずれのケースでも素材の変更は解決策になり、基本的にポリウレタンに比べてエポキシ樹脂はアミンに対して強く、かつ耐熱性も優れているので、書かれているようなエポキシへの変更は対策の一つにはなると思います(ただし、取扱性、成形性、コストなども考えて決めなけれはなりません)。

④トラブル解決に必要な情報の収集について
・サンモジュールTW-E:素材、耐熱性(ガラス転移温度、荷重たわみ温度)、アミンに対する耐薬品性
・RAKU-TOOL:耐熱性(ガラス転移温度、荷重たわみ温度)、アミンに対する耐薬品性
が必要です。まずメーカーに問い合わせてみることですが、入手できない場合は自社で分析や測定をしなければなりません。
なお、分析や測定は公立の研究機関等を利用することも可能です(ただし有料)。




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

もう一名からも回答が届きました。

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1.本質問について、下記のような不明点が多くて明確な回答はできません。(ただし、当方は射出成形での知識の範囲内でのことであることをご了解いただきたい。)

1)サンモジュールTW-Eの型を使用して、アミンガスで成形するとは、どのようなことなのか。
2)これは、通常行われていることであるのか。(初めて行ったことでないとこのような質問は出ないでしょうが。)
3)この成形での成形条件(アミンガスの注入?速度、圧力、温度、注入量、型サンモジュールTW-Eの温度、型の保持圧力など)はどのようにされているのか。
4)使用されるアミンガスの種類は何か。
5)サンモジュールTW-Eの型で何を成形しようとしているのか。
6)溶解とは、部分的な状態なのか、型(入れ子)がなくなったのか。
7)溶解ではなく、溶融ではないのか。
8)成形先の担当者が言われたエポキシ樹脂系の「RAKU-TOOL」あれば問題ないと言われたとのことであるが、その理由は。(理由は教えてもらえなかったとのことであるが。)
9)サンモジュールTW-Eとエポキシ樹脂系の「RAKU-TOOL」の物性(化学的・物理的)の違いは何であるのか。

2.「化学反応か加熱温度(熱変形温度)による溶解か」について
 下記の内容は、失礼に当たればご了承いただきたい。

1)溶解が化学反応によるものであれば、サンモジュールTW-Eの組成とアミンガスの化学反応が起こったことになるので、サンモジュールTW-Eの組成とアミンガスの種類が判らなければ、どのような化学反応が起こったのかは予想できない。
2)熱によって形のあるものの形状が変化するのは、変化の状態によって変わるが、形が少し変わる程度であれば変形、形の一部又は全部が形状を維持していない状態を溶融又は分解と言われる。それ故、加熱によりサンモジュールTW-Eの温度が熱変形温度を少し超えた程度では変形は起こっても溶融は生じないと考える。溶融が起こったとすれば、それ以上の温度となり、熱可塑性樹脂の非晶性樹脂のガラス転移点、結晶性樹脂の融点を超えたような場合に相当することになる。もし、溶融が起こったとすれば、サンモジュールTW-Eの非晶性樹脂に相当するガラス転移点又は結晶性樹脂の融点を持っていることになるが、その温度は何度であるのか。加熱温度が、その温度以上であれば当然溶融は生じることになる。

3.調査結果
 上記の疑問点を確認するため、調査を行った。

1)サンモジュールTW-Eについて
 本材料は、三洋化成工業(株)より発売されている「合成木材」といわれるもので、帯電防止性を有し、鋳造用及び真空成形型のマスターモデル、検査治具、耐熱成形型として使用されている。
その物性値は別表のような値である。
販売は、厚みの異なる定尺サイズで行われている。
なお、本材料の組成は、主成分はポリウレタン樹脂とのことである。
2)アミンガスについて
 アミンガスを用いる成形としては、鋳造における砂型作成における成形法の一つである「アミンコールドボックス法」がある。
本方法は、砂とフェノール樹脂とイソシアネート樹脂を混合して、型内に入れ、触媒として第三級アミンであるトリエチルアミン(TMA)やジメチルエチルアミンがガス状態で通気される。
この第三級アミンは、フェノール樹脂の末端基とイソシアネート樹脂の末端基を反応させるための触媒として作用するものである。
この反応によって砂が固まり、鋳造型が作成される。これが質問に記載されている「アミンガスによる成形」のことではないかと推察する。
この反応条件としての温度については、型加熱を必要としない常温硬化型であり、そのため形材としては、木型、樹脂型、アルミ型、鋳鉄型などが用いられる。
この樹脂型として今回問題となっているサンモジュールTW-Eが使用されているのではないか。

3)RAKU-TOOLについて
① RAKU-TOOLの概要
木材料は、ドイツで開発された素材で、モデル製作用素材として販売されている。
これは、ベース材料のエポキシ樹脂、ウレタン樹脂が使用され、それに充填剤が混合されて、厚みの異なる定尺の板材として成形されている。
用途としては、検査治具、各種マスターモデル(鋳造用も含む)などがある。
② RAKU-TOOLの物性(モデル製作用素材:グレードMB-0720)
上記のサンモジュールTW-Eとほぼ同等の物性のグレードである。  

4)ウレタン樹脂のリサイクルとして、その分解によるケミカルリサイクルが検討されているが(既に実施されているかもしれないが。)、その分解剤としてジエタノールアミンが使用されている事例があり、その際の温度条件としては150~180℃で行われている。分解されると原料であるポリグリコールとイソシアネートになる。

4.サンモジュールTW-Eでのアミンガスによる溶解(?)について
上記のアミンガスを使用しての成形方法が、鋳造型作成「アミンコールドボックス法」での使用であるして、検討した結果をまとめてみました。(これが間違っておれば以下の内容は適切ではないことになりますが。)

1)溶融については、アミンガス使用での成形温度は、通常は常温硬化であるので熱変形温度の関係より溶解はないものと考えるが、今回の成形作業での温度が不明なので明確には判断できない。今回使用されたサンモジュールTW-Eの主成分がポリウレタンであれば、200℃以上になれば分解が始まる。

2)サンモジュールTW-Eの組成が、ポリウレタン樹脂が主成分であれば、上記のアミン類により系の温度が高ければ分解反応が起こるので、今回使用されたアミンガスの種類にもよると思うので明確には言えないが、アミンガスにより溶解(分解)したのではないかと考えられる。
今回の状態は、サンモジュールTW-Eに対してアミンガスが温度との関係で、化学反応を起こしたか又は溶剤として作用したことによるものと考えられる。

3)成形先の見解として、「RAKU-TOOLであれば問題ない」とのことは、RAKU-TOOLは素材としてエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂をベースとしているが、エポキシ樹脂をベースにしたものであれば、薬品(溶剤等も含む)では、溶融、溶解しにくいことが判っているからではないか。

5.アミンガス使用での成形による「樹脂ブロック材:入れ子材」について
アミンガスによる成形は、鋳造型の作成として1970年代より行われているようである。そして上記のように、この反応条件としての温度については、型加熱を必要としない常温硬化型であり、そのため形材としては、木型、樹脂型(サンモジュールTW-Eはこれに相当か)、アルミ型、鋳鉄型などが用いられる。
今回の成形での温度が高かったのであれば、常温での成形を行なえば、分解反応が起こらないのではないかとも考える。