品質とは何か 品質保証概論(その1)

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【品質保証概論 連載の目次】

 

◆ 品質とは何か

【目次】
1. 品質の定義
2. 事前期待と顧客満足
3. 求められる3つの要素(QCD)

 

 1. 品質の定義

商品・サービスの「品質」とはどのようなものでしょうか。

 

JIS(日本工業規格)では、1999年まで品質を「製品やサービスが使用目的を満たしている程度」と定義していました。これは「正常に機能するか否か」ということであり、モノ中心の古い考え方に基づいています。つまり「壊れてなければいいでしょ」ということで、今日では到底受け入れられるレベルではありません。

 

現在では、「品質」とはお客様満足(CS:Customer Satisfaction)の観点からより広い意味で、「製品やサービスがお客様の事前期待を満たし、お客様に満⾜いただけた程度」という解釈が一般的です。

 

2. 事前期待と顧客満足

我々は、消費者として様々な商品やサービスを利用する際に「品質が良い」とか「質の良いサービスだった」と感じることがありますが、自身が感じる「品質」の基準を明快に答えられる人は多くないでしょう。実はこの基準は、上記の品質の定義にも含まれている言葉である「事前期待」に基づいています。

 

商品やサービスの提供を受ける際に、我々は意識せずに過去の経験や関連する情報に基づいて「事前期待」を抱きます。当然ながら「500円のワンコイン・ランチ」と「フランス料理のフルコース」に期待する水準は異なりますが、いずれの場合でも満足を感じたり、不満足を感じたりします。

 

「店も古かったし、あんまり期待していなかったけど結構ボリュームがあっておいしかった。」という場合もあるでしょうし、「有名な店だし結構な値段したけれど、それほどでもなかった。」という感じです。

 

つまり、お客様が満足を感じるかどうかは、「お客様の事前期待を上回る商品やサービスが提供できるか否か」であると言えます。

 

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図.事前期待と顧客満足の関係

 

3. 求められる3つの要素(QCD)

お客様に受け入れられる商品・サービスの条件として、次の3つの要素が揃っていることが必要になります。

 

  • お客様の求める品質(Q:Quality)
  • 適正な価格(C:Cost)
  • 欲しい時に手に入る(D:Delivery)

 

お客様の求める品質を備えていなければ、提供する商品やサービスはお客様に見向きもされません。また、いくら品質が良くてもお客様の認める...

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【品質保証概論 連載の目次】

 

◆ 品質とは何か

【目次】
1. 品質の定義
2. 事前期待と顧客満足
3. 求められる3つの要素(QCD)

 

 1. 品質の定義

商品・サービスの「品質」とはどのようなものでしょうか。

 

JIS(日本工業規格)では、1999年まで品質を「製品やサービスが使用目的を満たしている程度」と定義していました。これは「正常に機能するか否か」ということであり、モノ中心の古い考え方に基づいています。つまり「壊れてなければいいでしょ」ということで、今日では到底受け入れられるレベルではありません。

 

現在では、「品質」とはお客様満足(CS:Customer Satisfaction)の観点からより広い意味で、「製品やサービスがお客様の事前期待を満たし、お客様に満⾜いただけた程度」という解釈が一般的です。

 

2. 事前期待と顧客満足

我々は、消費者として様々な商品やサービスを利用する際に「品質が良い」とか「質の良いサービスだった」と感じることがありますが、自身が感じる「品質」の基準を明快に答えられる人は多くないでしょう。実はこの基準は、上記の品質の定義にも含まれている言葉である「事前期待」に基づいています。

 

商品やサービスの提供を受ける際に、我々は意識せずに過去の経験や関連する情報に基づいて「事前期待」を抱きます。当然ながら「500円のワンコイン・ランチ」と「フランス料理のフルコース」に期待する水準は異なりますが、いずれの場合でも満足を感じたり、不満足を感じたりします。

 

「店も古かったし、あんまり期待していなかったけど結構ボリュームがあっておいしかった。」という場合もあるでしょうし、「有名な店だし結構な値段したけれど、それほどでもなかった。」という感じです。

 

つまり、お客様が満足を感じるかどうかは、「お客様の事前期待を上回る商品やサービスが提供できるか否か」であると言えます。

 

QC

図.事前期待と顧客満足の関係

 

3. 求められる3つの要素(QCD)

お客様に受け入れられる商品・サービスの条件として、次の3つの要素が揃っていることが必要になります。

 

  • お客様の求める品質(Q:Quality)
  • 適正な価格(C:Cost)
  • 欲しい時に手に入る(D:Delivery)

 

お客様の求める品質を備えていなければ、提供する商品やサービスはお客様に見向きもされません。また、いくら品質が良くてもお客様の認める価値以上に高価だったり、欲しい時に手に入らなければ、お客様は容易に他社の商品に流れてしまうでしょう。我々が提供する商品を手に取っていただくためには、品質(Q)、価格(C)、供給(D)が、ひとつも欠けることなく同時に満たされる必要があるのです。

 

次回に続きます。

 

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この記事の著者

今澤 尚久

「商品を買う側(小売業)」と「商品を作る側(製造業)」の両方の業界経験をベースに実効性のある経営戦略を策定します。現場・現物・現実の三現主義で現状把握から施策立案・課題解決までの全工程を支援します。

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