東レ ~ FCV用CF増産、航空機からシフト 水素エネルギー社会(その4)

更新日

投稿日

燃料電池自動車

◆水素エネルギー社会 連載目次

 

♦ CF生産~航空機から燃料電池自動車用途へ

 東レが炭素繊維(CF)の生産割合を航空機用途から燃料電池自動車:FCVの高圧水素タンク用へ変える計画のようです。

 ボーイング787は機体の大半がCFRPであり、主要部位を三菱重工、川崎重工、スバル等の日本のメーカーが製造しています。当然、東レの炭素繊維も大量に使われてきたところです。しかし2020年は、新型コロナウイルス蔓延(まんえん)の影響で航空機需要が大幅に落ち込み、東レにとって大打撃かと思っていた矢先、FCVの高圧水素タンク用へのシフトの発表がありました。

 トヨタはこの2020年末、FCVの新型MIRAIを発売予定で本格的に市販を始めます。すでにこのための高圧水素タンク製造工場を同社の下山工場に設置しました。下山工場はエンジン工場でしたが、その工場をスクラップして、FCV車用のタンク工場を造ったわけです。

 三菱重工は、2020年2月にボーイング787用主翼の1000号機向け出荷セレモニーを実施したところですが、生産数の鈍化は残念なところです。ただ、需要回復は数年、あるいは十数年かかるかもしれない状況で、東レのFCV高圧水素タンク用へのシフトの決断はごく当然のことでしょう。

 写真は私がサイクリング途上に撮影した写真です。三菱重工の大江工場(ボーイング787用の主翼の1000号機向け出荷セレモニー実施)と東レの名古屋第1工場です。

 FCV

FCV


 三菱重工大江工場のほぼ対面には、写真の東レの名古屋第1工場があります。ここには、A&Aセンターが併設されています。

 A&Aセンターは、次の2つから成ります。

 ・アドバンスドコンポジットセンター(ACC)
     基材・成形技術開発

 ・オートモーティブセンター(AMC)
     自動車向け先端材料ならびに成形・設計関連の総合技術開発

...

燃料電池自動車

◆水素エネルギー社会 連載目次

 

♦ CF生産~航空機から燃料電池自動車用途へ

 東レが炭素繊維(CF)の生産割合を航空機用途から燃料電池自動車:FCVの高圧水素タンク用へ変える計画のようです。

 ボーイング787は機体の大半がCFRPであり、主要部位を三菱重工、川崎重工、スバル等の日本のメーカーが製造しています。当然、東レの炭素繊維も大量に使われてきたところです。しかし2020年は、新型コロナウイルス蔓延(まんえん)の影響で航空機需要が大幅に落ち込み、東レにとって大打撃かと思っていた矢先、FCVの高圧水素タンク用へのシフトの発表がありました。

 トヨタはこの2020年末、FCVの新型MIRAIを発売予定で本格的に市販を始めます。すでにこのための高圧水素タンク製造工場を同社の下山工場に設置しました。下山工場はエンジン工場でしたが、その工場をスクラップして、FCV車用のタンク工場を造ったわけです。

 三菱重工は、2020年2月にボーイング787用主翼の1000号機向け出荷セレモニーを実施したところですが、生産数の鈍化は残念なところです。ただ、需要回復は数年、あるいは十数年かかるかもしれない状況で、東レのFCV高圧水素タンク用へのシフトの決断はごく当然のことでしょう。

 写真は私がサイクリング途上に撮影した写真です。三菱重工の大江工場(ボーイング787用の主翼の1000号機向け出荷セレモニー実施)と東レの名古屋第1工場です。

 FCV

FCV


 三菱重工大江工場のほぼ対面には、写真の東レの名古屋第1工場があります。ここには、A&Aセンターが併設されています。

 A&Aセンターは、次の2つから成ります。

 ・アドバンスドコンポジットセンター(ACC)
     基材・成形技術開発

 ・オートモーティブセンター(AMC)
     自動車向け先端材料ならびに成形・設計関連の総合技術開発

 

 さて、北米における炭素繊維の最大の用途は、高圧タンク容器向けとのことです。昨年のプラスチック成形加工学会の年次大会での、東レの須賀常務(当時)の基調講演からの情報です。今回、東レの炭素繊維の用途シフトは、水素エネルギー社会が動き出していることを象徴する内容です。

 水素エネルギー社会、次回は炭素繊維の地域ごとの消費用途の差についてです。

 

 【出典】技術オフィスTech-T HPより、筆者のご承諾により編集して掲載

◆関連解説『環境マネジメント』

   続きを読むには・・・


この記事の著者

高原 忠良

トヨタ式の ” ち密さ ” をサムスン流の ” スピード ” で! 自動車業界 × 樹脂部品を中心に開発から製造までのコンサルティング

トヨタ式の ” ち密さ ” をサムスン流の ” スピード ” で! 自動車業界 × 樹脂部品を中心に開発から製造までのコンサルティング


「環境負荷抑制技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
JR東日本、水素燃料車両の開発・試験 水素エネルギー社会(その7)

◆水素エネルギー社会 連載目次 1. 燃料電池自動車開発 2. 船舶の次世代エネルギー源 3. 燃料電池自動車開発競争 4. 東レ ~ F...

◆水素エネルギー社会 連載目次 1. 燃料電池自動車開発 2. 船舶の次世代エネルギー源 3. 燃料電池自動車開発競争 4. 東レ ~ F...


水素の安全性 1 水素エネルギー社会(その10)

  ◆水素エネルギー社会 連載目次 1. 燃料電池自動車開発 2. 船舶の次世代エネルギー源 3. 燃料電池自動車開発競争 4...

  ◆水素エネルギー社会 連載目次 1. 燃料電池自動車開発 2. 船舶の次世代エネルギー源 3. 燃料電池自動車開発競争 4...


プラグインハイブリッド型水素燃料自動車 水素エネルギー社会(その14)

  今回は、プラグインハイブリッド型水素燃料自動車に関して、解説します。 【目次】 1. ホンダ 新型水素燃料自動車(...

  今回は、プラグインハイブリッド型水素燃料自動車に関して、解説します。 【目次】 1. ホンダ 新型水素燃料自動車(...


「環境負荷抑制技術」の活用事例

もっと見る
【SDGs取り組み事例】国産竹100%の竹紙や植物油インクで環境配慮型印刷を提供  株式会社アルキャスト

お客様の役に立つ“印刷の技術者集団”に 株式会社アルキャスト(長野県長野市) 目次 1.人財育成と印刷技術の継承に注力2...

お客様の役に立つ“印刷の技術者集団”に 株式会社アルキャスト(長野県長野市) 目次 1.人財育成と印刷技術の継承に注力2...


【SDGs取り組み事例】働きやすい職場づくりと環境保全や社会貢献に努める 美濃工業株式会社

SDGs活動の意味や効果を共有、サステナブルな企業へ 美濃工業株式会社(岐阜県中津川市) 目次 1.アルミダイキャストのリーディングカンパニー2...

SDGs活動の意味や効果を共有、サステナブルな企業へ 美濃工業株式会社(岐阜県中津川市) 目次 1.アルミダイキャストのリーディングカンパニー2...


【SDGs取組み事例】事業性質にとらわれず、“SDGsに貢献可能なものは何か”を皆で考える エスティーティー株式会社(神奈川県秦野市)

目次 1.従業員の意識改革や職場環境の整備などに取り組む2.リサイクル装置設け、有機溶剤のリサイクルを開始3.塗装前処理工程を全自動化4.キャリアア...

目次 1.従業員の意識改革や職場環境の整備などに取り組む2.リサイクル装置設け、有機溶剤のリサイクルを開始3.塗装前処理工程を全自動化4.キャリアア...