生産管理ソフトの選択とは

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  生産マネジメント
 
 今回は、次の事例から、自社の生産システムにあった生産管理ソフトの選択をどうすべきかを解説します。

1. 想定事例

 電気計測機器の部品と完成品を製造している工場で、従業員は、150名前後。自社の生産システムにあった生産管理ソフトを選択する必要があるのですが、複雑な機能を持ったソフトは使いこなせない場合が出てくると、重荷になると考えています。業務プロセスは明確にしましたが、組織の業務プロセスに合わせて、ベースとなるソフトをカスタマイズして使うのが良いか、パッケージソフトを使うのが良いか、提案されてくる内容を選択するにはどう進めて行けば良いかを解決する事例です。
 

2. 生産管理業務のシステム化

 生産管理をシステムから見ており、業務をあまり理解できていないベンダーが多いように思います。生産管理業務をシステム化するにあたって、まず自社専用に製作するのか、パッケージを購入するかの検討があります、(Make or Buy)工場の規模や業務などから考えると、パッケージを購入するほうが効率的でしょう。
 
 私も、生産管理(生産計画、発注計画、スケジュール管理、進捗管理など)業務の経験を持っています。また、外資系で生産管理ソフトウエア・パッケージの開発・販売に携わりながら、米国生産管理コンサルティング・ファームのオリバーワイト社と提携している会社に在籍していたこともあります。
 
 そのときに、オリバーワイト社の幹部の方たちから、生産管理ソフトウエアは「魔法の杖」ではない、あくまで道具であると言われてきました。それは、自社の生産管理のあり方を理解したうえで、生産管理ソフトに要求すること(要件)を明らかにしておくことです。業務をシステムに合わせるのではなく、システムを業務のためにどこまで使えるかの判断が大切です。
 
 そして、パッケージソフトの場合、自社の要件にあった選定を行うための評価をする必要があります。
 
 私は、「生産管理の活動は、情報の取り扱い方であり、ものづくりのために必要な情報をタイムリーに、必要な場所や社員、作業者などに提供し、収集していくことである。」と考えています。この結果は、以下に挙げます成果に結びつくものであるべきです。
 

(1) 生産性の向上

 これは、生産活動に支障がでないように材料や部品の供給が行われていること、作業が予定通りに行われていることのためなどの情報を収集し、運用できていることです。その結果、就業時間内に1個でも多く作れることです。
 

(2) 在庫量の削減

 生産活動が順調であっても、工場内の在庫が多ければ、資金が寝てしまいます。また、在庫品は、そのまま廃棄することも考えられます。現在多くのメーカーが在庫を持たない方向に進んでいます。
 

(3) 顧客サービスの向上

 顧客が商品を欲しいときに無ければ、売り逃すことだけではなく、将来の購入の選択肢から外れることも考えられます。その一方、在庫を最小限に抑えることが、求められます。この相反する2つの課題を達成することが求められます。
 
 生産管理ソフトは、3つの成果を上げるための手段であり、そのために必要な情報が、どのように構築されているかということです。総論的には、このようなことになるのではないでしょうか。
 
 つぎに各論として、一つ例を考えてみたいと思います。
 
 例えば、実装機を用いて、基板アッセンブリを行っているとします。このときの工程の能力と負荷を考えてみましょう。当然、各工程の日々の仕事量(負...
 
  生産マネジメント
 
 今回は、次の事例から、自社の生産システムにあった生産管理ソフトの選択をどうすべきかを解説します。

1. 想定事例

 電気計測機器の部品と完成品を製造している工場で、従業員は、150名前後。自社の生産システムにあった生産管理ソフトを選択する必要があるのですが、複雑な機能を持ったソフトは使いこなせない場合が出てくると、重荷になると考えています。業務プロセスは明確にしましたが、組織の業務プロセスに合わせて、ベースとなるソフトをカスタマイズして使うのが良いか、パッケージソフトを使うのが良いか、提案されてくる内容を選択するにはどう進めて行けば良いかを解決する事例です。
 

2. 生産管理業務のシステム化

 生産管理をシステムから見ており、業務をあまり理解できていないベンダーが多いように思います。生産管理業務をシステム化するにあたって、まず自社専用に製作するのか、パッケージを購入するかの検討があります、(Make or Buy)工場の規模や業務などから考えると、パッケージを購入するほうが効率的でしょう。
 
 私も、生産管理(生産計画、発注計画、スケジュール管理、進捗管理など)業務の経験を持っています。また、外資系で生産管理ソフトウエア・パッケージの開発・販売に携わりながら、米国生産管理コンサルティング・ファームのオリバーワイト社と提携している会社に在籍していたこともあります。
 
 そのときに、オリバーワイト社の幹部の方たちから、生産管理ソフトウエアは「魔法の杖」ではない、あくまで道具であると言われてきました。それは、自社の生産管理のあり方を理解したうえで、生産管理ソフトに要求すること(要件)を明らかにしておくことです。業務をシステムに合わせるのではなく、システムを業務のためにどこまで使えるかの判断が大切です。
 
 そして、パッケージソフトの場合、自社の要件にあった選定を行うための評価をする必要があります。
 
 私は、「生産管理の活動は、情報の取り扱い方であり、ものづくりのために必要な情報をタイムリーに、必要な場所や社員、作業者などに提供し、収集していくことである。」と考えています。この結果は、以下に挙げます成果に結びつくものであるべきです。
 

(1) 生産性の向上

 これは、生産活動に支障がでないように材料や部品の供給が行われていること、作業が予定通りに行われていることのためなどの情報を収集し、運用できていることです。その結果、就業時間内に1個でも多く作れることです。
 

(2) 在庫量の削減

 生産活動が順調であっても、工場内の在庫が多ければ、資金が寝てしまいます。また、在庫品は、そのまま廃棄することも考えられます。現在多くのメーカーが在庫を持たない方向に進んでいます。
 

(3) 顧客サービスの向上

 顧客が商品を欲しいときに無ければ、売り逃すことだけではなく、将来の購入の選択肢から外れることも考えられます。その一方、在庫を最小限に抑えることが、求められます。この相反する2つの課題を達成することが求められます。
 
 生産管理ソフトは、3つの成果を上げるための手段であり、そのために必要な情報が、どのように構築されているかということです。総論的には、このようなことになるのではないでしょうか。
 
 つぎに各論として、一つ例を考えてみたいと思います。
 
 例えば、実装機を用いて、基板アッセンブリを行っているとします。このときの工程の能力と負荷を考えてみましょう。当然、各工程の日々の仕事量(負荷)は、変化をするでしょう。負荷>能力、負荷<能力があり、これを平準化できる機能を備えたソフトがあるとします。
 
 日々の作業スケジュールを作成している担当者には、役立つ機能のように思えます。しかし、作業スケジュールをソフトに委ねてしまうと、従来担当者が作業の効率を考えていた意思は反映されなくなります。つまり、計算や検索などコンピュータの得意な分野を活用しながら、その情報をもとにした意思決定や判断を人間がするという役割を忘れないことではないでしょうか。また、カスタマイズは、判断基準の一つとして、コンピュータが得意とする分野、人間が得意とする分野と効率で検討することです。
 
 そしても一つ見落としがちなことは、情報の入力方法です。これを考慮しないと、生産管理のための情報入力のために増員を要求されたり、使えないシステムといわれるようになるのです。
 

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この記事の著者

間舘 正義

製品を切り口に最適コスト追求のためのコスト・ソリューションを提供します。

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