創造的な可能性とは

更新日

投稿日

1.創造の定義

 私たちが取り組む問題の多くは、解答が一つしかないものではなく幾つもある、つまり創造的な問題です。定型化された問題をいくらスピーディーに解決できたとしても、その人は決して創造的な人とは呼べません。一筋縄ではいかない、解答がいくらでもありそうな問題、そして最もよい解答が何なのかわかりにくい問題を解決できる人こそ、創造的な人といえるでしょう。

 では、創造とは一体どういう意味なのか、ここで定義しておきましょう。創造性の研究者約400名から成る、日本創造学会という学会があります。その会員達は私が「創造とは何か」というアンケートを行い、83名から回答をいただきました。次の定義は、私自身のその回答です。

 『創造とは異質な情報を組合せ統合し、社会や個人にとって新しい価値を生むこと』

 私がこの定義の中でいいたかったことは3つあります。第1には、創造は情報の組合せということです。ここでいう情報は、自分自身のもつ知識ということもありうるし(内部情報)、書物や外で見た現象など(外部情報)ということもあります。これらの情報を組み合わせて、その組合せが最終の答えとして統合されたものであることが第1条件です。

 では「社会や個人にとって新しい価値」という意味は何でしょうか。アブラハム・マズローという心理学者は、創造性を「自己実現の創造性」と「特別才能の創造性」というように区分しています。例えば、子どもにとっての創造性など、大人から見ればチャチなものでしょう。しかし、その子どもにとっては、まぎれもなく新しい価値があるものです。

 人には、それぞれ固有の創造性がありますし、誰でも創造性を伸ばすことは可能です。ですから、創造性を教育の観点から考えると、創造は社会レベルだけでなく、個人レベルでも考える必要があるのです。そして「新しい価値」、つまり従来とは異なった解決策であることが、創造という言葉には含まれています。

 

2.創造性とは可能性

 次に「創造性」というのは、「創造的な可能性」と考えられています。ですから個人で言えば、創造性のある人...

1.創造の定義

 私たちが取り組む問題の多くは、解答が一つしかないものではなく幾つもある、つまり創造的な問題です。定型化された問題をいくらスピーディーに解決できたとしても、その人は決して創造的な人とは呼べません。一筋縄ではいかない、解答がいくらでもありそうな問題、そして最もよい解答が何なのかわかりにくい問題を解決できる人こそ、創造的な人といえるでしょう。

 では、創造とは一体どういう意味なのか、ここで定義しておきましょう。創造性の研究者約400名から成る、日本創造学会という学会があります。その会員達は私が「創造とは何か」というアンケートを行い、83名から回答をいただきました。次の定義は、私自身のその回答です。

 『創造とは異質な情報を組合せ統合し、社会や個人にとって新しい価値を生むこと』

 私がこの定義の中でいいたかったことは3つあります。第1には、創造は情報の組合せということです。ここでいう情報は、自分自身のもつ知識ということもありうるし(内部情報)、書物や外で見た現象など(外部情報)ということもあります。これらの情報を組み合わせて、その組合せが最終の答えとして統合されたものであることが第1条件です。

 では「社会や個人にとって新しい価値」という意味は何でしょうか。アブラハム・マズローという心理学者は、創造性を「自己実現の創造性」と「特別才能の創造性」というように区分しています。例えば、子どもにとっての創造性など、大人から見ればチャチなものでしょう。しかし、その子どもにとっては、まぎれもなく新しい価値があるものです。

 人には、それぞれ固有の創造性がありますし、誰でも創造性を伸ばすことは可能です。ですから、創造性を教育の観点から考えると、創造は社会レベルだけでなく、個人レベルでも考える必要があるのです。そして「新しい価値」、つまり従来とは異なった解決策であることが、創造という言葉には含まれています。

 

2.創造性とは可能性

 次に「創造性」というのは、「創造的な可能性」と考えられています。ですから個人で言えば、創造性のある人とは、創造する可能性を持った人といえます。問題を解決するには、どうしてもこの創造性は欠かせないし、企業もその能力を必要としているわけです。

 問題を事前に発見する力、問題解決に際し多くの角度からヒントを探し出す力、そして解決のために粘り強く挑戦する態度。このように「創造性」という言葉には、思考力から性格、態度といった全人格的な可能性が含まれます。ですから真の問題解決者には、創造性は絶対に欠かせません。

◆関連解説『アイデア発想法とは』

   続きを読むには・・・


この記事の著者

髙橋 誠

企業のイノベーション戦略の構築と実践をお手伝いし、社員の創造性開発を促進し、新商品の開発を支援します!

企業のイノベーション戦略の構築と実践をお手伝いし、社員の創造性開発を促進し、新商品の開発を支援します!


「アイデア発想法一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
何を作ったら良いか分らない状態での新商品開発法とは(その1)

 何を作ったら良いか分らない状態の下で、新商品 ・ 新システムを考え出すための 新商品開発法    (S2D)を 連載で解説...

 何を作ったら良いか分らない状態の下で、新商品 ・ 新システムを考え出すための 新商品開発法    (S2D)を 連載で解説...


何を作ったら良いか分らない状態での新商品開発法とは(その3)

 前回のその2に続いて解説します。   3.新商品開発を進めるための方法(S2D)   (2)10年後の未来素案の作成 &n...

 前回のその2に続いて解説します。   3.新商品開発を進めるための方法(S2D)   (2)10年後の未来素案の作成 &n...


アイデア発想法 【連載記事紹介】

  アイデア発想法の連載記事が、無料でお読みいただけます! 【特集】連載紹介の一覧へ戻る ◆こんな方におすすめ!=アイデア発想法、多様...

  アイデア発想法の連載記事が、無料でお読みいただけます! 【特集】連載紹介の一覧へ戻る ◆こんな方におすすめ!=アイデア発想法、多様...


「アイデア発想法一般」の活用事例

もっと見る
化学分野でのアイデア発想事例(元素と発酵)

1.知人の科学者が話した「ある気体」の正体を見抜いて、化学元素を発見 フランスの化学者 アントワーヌ・ローラン・ド・ラヴォアジエ  1774年秋のこと...

1.知人の科学者が話した「ある気体」の正体を見抜いて、化学元素を発見 フランスの化学者 アントワーヌ・ローラン・ド・ラヴォアジエ  1774年秋のこと...


しつこく繰り返して、発見や発明を生んだ事例2-送り台つき旋盤、電信システム-

1.天文学の科学的知識を背景に、送り台つき旋盤を発明した、イギリスの技術者 ヘンリー・モーズリ    1797年にヘンリー・モーズリが発明し...

1.天文学の科学的知識を背景に、送り台つき旋盤を発明した、イギリスの技術者 ヘンリー・モーズリ    1797年にヘンリー・モーズリが発明し...


-ベッセマー製鋼法、セルロイド- 失敗の繰り返しが発明を生んだ (その4)

【ひらめきの法則 連載目次】 失敗の繰り返しが発明を生んだ (その1) -活字印刷、合成ゴム 失敗の繰り返しが発明を生んだ (その2) -ナイ...

【ひらめきの法則 連載目次】 失敗の繰り返しが発明を生んだ (その1) -活字印刷、合成ゴム 失敗の繰り返しが発明を生んだ (その2) -ナイ...