アトリビュート分析 ~ 商品やサービスの差別化手法

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1. アトリビュート分析とは

 「競合より魅力的な商品やサービスを開発するためにはどうすればよいか?」
 開発者を悩ませている問題を解決する手法として、“アトリビュート分析”を活用してみてはいかがでしょうか?

 この手法はコロンビア大学のリタ・G・マグレイス教授とペンシルバニア大学のイアン・マクミラン教授によって提唱され「自社の商品(含むサービス)が、市場のなかで顧客を満足させる特徴を持っているかどうかを、商品特性に着眼して競合他社と比較チェックを行い、見直すための分析ツール」です。

 アトリビュート(Attribute)とは、“特性”、“特質”を意味します。単に個別商品の仕様検討にとどまらず、商品と顧客が関わる場面、すなわち「消費チェーン」の各段階での差別化戦略を考えるための方法論としても有効です。

2. アトリビュート分析のメリット

   アトリビュート分析には以下のメリットがあります。

  1. 売り手側の仕様でなく、顧客側からみた仕様を作ることができる
  2. コスト高になっている無駄な仕様を発見することができる
  3. 顧客仕様の変化が予測でき、次の商品開発戦略に活かすことができる
  4. 商品に対する潜在的ニーズの発見から、廃棄に至る全過程を視野に入れて競合他社との差別化を考えることができる
  5. メンバーの意見が反映されるため、合意が得やすく効果的に実行できる

3. アトリビュート・マトリックスを作成する

 分析には“アトリビュート・マトリックス”を用います(図1参照)。

 自社の商品やサービスを顧客の視点で見た時に、ア)基本的な特性 イ)優勢的な特性 ウ)決定的な特性に対して、それぞれA)肯定的立場 B)否定的な立場 C)中間的立場で、評価を行って、8つのセルに記述するという方法です。

図1:アトリビュート・マトリックス

4. アトリビュート・マトリックスを活用する

 ①分析結果を活かし、商品サービスの特性を変更する

 イ)優勢的特性、ウ)決定的特性のうち、B)の否定的立場(顧客が嫌う特性)と交差する領域(⑤や⑥)に当たる場合は、機能不足なら強化、機能欠落なら追加の対策をしなくてはなりません。例えば、どんなに使い勝手に優れたスマートフォンを開発したとしても、バッテリーの持ちがライバルよりも著しく低ければ、対策を施さなくてはなりません。この分析により「省電力モード」をつけるか、「バッテリー容量増大」を図るなどの機能追加を実施するということです。

 ②分析結果を逆手にとったマーケティング戦略を立てる

 ウ)決定的特性とB)の否定的立場(顧客が嫌う特性)の交差領域(⑥)に自社商品やサービスの特性に関して劣っている機能が発見された場合、これから開発を始める場合は特性変更が可能であるが、すでに開発を終えて市場投入がなされている場合には変更が困難です。

 このような場合、決定的特性の否定的立場(⑥)にあるものを、決定的特性の肯定的立場(③)に変えるために、顧客にとってメリットのあるカタチで解釈を変更する手があります。例えば、ペットボトルの緑茶の味を改善しようと抹茶を追加したところ、確かに美味(おい)しくはなったものの、見た目の透明感が失われ、売れ行きが落ちてしまった飲料メーカーがありました。不純物のような印象を消費者が感じたからです。その時のマーケティング担当者が付加した解釈は「濁りは旨み」というものでした。濁りの中にこそ、緑茶の旨みが隠されているというメッセージは、業界のタブーを打ち破り大ヒットとなったのです。

5. ま...

 

1. アトリビュート分析とは

 「競合より魅力的な商品やサービスを開発するためにはどうすればよいか?」
 開発者を悩ませている問題を解決する手法として、“アトリビュート分析”を活用してみてはいかがでしょうか?

 この手法はコロンビア大学のリタ・G・マグレイス教授とペンシルバニア大学のイアン・マクミラン教授によって提唱され「自社の商品(含むサービス)が、市場のなかで顧客を満足させる特徴を持っているかどうかを、商品特性に着眼して競合他社と比較チェックを行い、見直すための分析ツール」です。

 アトリビュート(Attribute)とは、“特性”、“特質”を意味します。単に個別商品の仕様検討にとどまらず、商品と顧客が関わる場面、すなわち「消費チェーン」の各段階での差別化戦略を考えるための方法論としても有効です。

2. アトリビュート分析のメリット

   アトリビュート分析には以下のメリットがあります。

  1. 売り手側の仕様でなく、顧客側からみた仕様を作ることができる
  2. コスト高になっている無駄な仕様を発見することができる
  3. 顧客仕様の変化が予測でき、次の商品開発戦略に活かすことができる
  4. 商品に対する潜在的ニーズの発見から、廃棄に至る全過程を視野に入れて競合他社との差別化を考えることができる
  5. メンバーの意見が反映されるため、合意が得やすく効果的に実行できる

3. アトリビュート・マトリックスを作成する

 分析には“アトリビュート・マトリックス”を用います(図1参照)。

 自社の商品やサービスを顧客の視点で見た時に、ア)基本的な特性 イ)優勢的な特性 ウ)決定的な特性に対して、それぞれA)肯定的立場 B)否定的な立場 C)中間的立場で、評価を行って、8つのセルに記述するという方法です。

図1:アトリビュート・マトリックス

4. アトリビュート・マトリックスを活用する

 ①分析結果を活かし、商品サービスの特性を変更する

 イ)優勢的特性、ウ)決定的特性のうち、B)の否定的立場(顧客が嫌う特性)と交差する領域(⑤や⑥)に当たる場合は、機能不足なら強化、機能欠落なら追加の対策をしなくてはなりません。例えば、どんなに使い勝手に優れたスマートフォンを開発したとしても、バッテリーの持ちがライバルよりも著しく低ければ、対策を施さなくてはなりません。この分析により「省電力モード」をつけるか、「バッテリー容量増大」を図るなどの機能追加を実施するということです。

 ②分析結果を逆手にとったマーケティング戦略を立てる

 ウ)決定的特性とB)の否定的立場(顧客が嫌う特性)の交差領域(⑥)に自社商品やサービスの特性に関して劣っている機能が発見された場合、これから開発を始める場合は特性変更が可能であるが、すでに開発を終えて市場投入がなされている場合には変更が困難です。

 このような場合、決定的特性の否定的立場(⑥)にあるものを、決定的特性の肯定的立場(③)に変えるために、顧客にとってメリットのあるカタチで解釈を変更する手があります。例えば、ペットボトルの緑茶の味を改善しようと抹茶を追加したところ、確かに美味(おい)しくはなったものの、見た目の透明感が失われ、売れ行きが落ちてしまった飲料メーカーがありました。不純物のような印象を消費者が感じたからです。その時のマーケティング担当者が付加した解釈は「濁りは旨み」というものでした。濁りの中にこそ、緑茶の旨みが隠されているというメッセージは、業界のタブーを打ち破り大ヒットとなったのです。

5. まとめ:顧客視点で評価し、商品の付加価値上げる

   アトリビュート分析の本質はこのように、自社の商品やサービスのどこにフォーカスして新しい特性を見つけたり、新しい解釈を考えたりすべきかを明確にできる点にあります。

 日本企業での導入はあまり進んでいるとはいえませんが、開発者とマーケターなど、多様性のあるメンバーでチームをつくり、自社の立場でなく、顧客の視点で評価を行うことによって、商品やサービスの付加価値を上げることが可能となります。貴社でもぜひ採り入れてみてはいかがでしょうか?

【参考文献】

・株式会社総合コンサルティング オアシス / アトリビュート分析より
・コピーライティング+マーケティング

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この記事の著者

仙石 太郎

品質経営から知識経営へ ~ 戦後復興と高度成長を成し遂げた昭和、グローバル化の波のなか構造改革に挑んだ平成を経て、持続性革命というイノベーションを実現する令和という時代を一緒に切り拓きましょう!

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