Minitabによる最適値の予測 Minitabによるタグチメソッド(その2)

更新日

投稿日

 

 前回のその1に続いて、解説します。

【 Minitabによるタグチメソッドの分析 】

8.タグチメソッドの分析を選択: Minitabのメニューからタグチメソッドの分析を選択します。

◆関連解説『品質工学(タグチメソッド)とは』

9. 取得データの選択: ノイズ因子と取得データが記入されている列をすべて選択します。

品質工学

Minitabによるタグチメソッドの分析1

10. 表示するグラフの選択: Minitabのデフォルトのままで十分です。

11. 分析の種類の選択: Minitabのデフォルトのままで十分ですが、念のため全部の分析を選択(チェック)します。

12. 分析対象の制御因子の選択: すべての制御因子と、相互作用(石灰石の量と添加物の量)を選択します。

品質工学

Minitabによるタグチメソッドの分析2

13. グラフの表示方法の選択: デフォルトのままで十分ですが、4つのグラフを一つにまとめて表示するのが個人的に好きなので、そのように選択します。

14. オプションの選択: デフォルトのままです。

15. 保存データの選択: N/S比、平均値、標準偏差値をMinitabのワークシートに保存するように選択します。

品質工学

Minitabによるタグチメソッドの分析3

 OKボタンを押すと、Minitabは計算したS/N比、平均値、標準偏差値をワークシートに保存してくれます。また各種グラフを表示してくれます。

 利得の計算は別で行いました。それぞれのS/N比と現行のS/N比37.95との差です(本の中では値が違うが(校正ミス?)本の図3.19中の値を使用)。最大のS/N比(最大の利得)が試験項目の中では最も効果的な制御因子の組み合わせを表しているので、試験項目6番目がそれにあたります。

品質工学

Minitabによるタグチメソッドの分析4

 またMinitabのセッション画面には制御因子と各水準のS/N比や平均値、標準偏差値などが表示されます。また要因効果図等も表示されます。そこから制御因子の最適な組合せは、

  • 石灰石の量(5%)
  • ロウ石の量(多)
  • ロウ石の種類(新規2)
  • 長石の量(10%)
  • 長石の種類(御花山)
  • 添加物の量(5.0%)
  • 廃棄物の再利用(多)
  • 粘土の種類(木節)

 であることが分かります。

品質工学

Minitabによるタグチメソッドの分析5

 では、この最適な制御因子の組合せのS/N比がどのくらいになるのか求めてみましょう。

【Minitabによる最適値の予測】

16.タグチメソッドの結果予測を選択: Minitabのメニューからタグチメソッドの結果予測を選択し、すべての項目を選択します。

品質工学

Minitabによる最適値の予測1

17. 制御因子を選択: 予測の計算で使う制御因子を選択します(すべて選択)。

18: 制御因子の水準を設定: S/N比が最も高かった水準をそれぞれの制御因子で選択します。

 OKを押すと、選択した制御因子の水準で計算したS/N比等の予測値をMinitabが表示します。S/N比の結果は52.12、利得は52.12 – 37.95 = 14.17 となりました。

品質工学

Minitabによる最適値の予測2

 時には難解なタグチメソッドもMinitabを使えば簡単でとても速く結果が得られます。メニューからタグチメソッドを選択して、必要最低限のいくつかの項目をクリックしながら設定するだけなのですからとても簡単です。

 
 
 
 

【タグチメソッドのすごいところ: 手計算でもロバスト設計ができる】

 田口玄一博士がタグチメソッドを開発したのは1940年代後半のことです。これは考えてみると、とても興味深いことです。なぜなら当時はラップトップ・コンピュータ(PC)もなければ、Min...

 

 前回のその1に続いて、解説します。

【 Minitabによるタグチメソッドの分析 】

8.タグチメソッドの分析を選択: Minitabのメニューからタグチメソッドの分析を選択します。

◆関連解説『品質工学(タグチメソッド)とは』

9. 取得データの選択: ノイズ因子と取得データが記入されている列をすべて選択します。

品質工学

Minitabによるタグチメソッドの分析1

10. 表示するグラフの選択: Minitabのデフォルトのままで十分です。

11. 分析の種類の選択: Minitabのデフォルトのままで十分ですが、念のため全部の分析を選択(チェック)します。

12. 分析対象の制御因子の選択: すべての制御因子と、相互作用(石灰石の量と添加物の量)を選択します。

品質工学

Minitabによるタグチメソッドの分析2

13. グラフの表示方法の選択: デフォルトのままで十分ですが、4つのグラフを一つにまとめて表示するのが個人的に好きなので、そのように選択します。

14. オプションの選択: デフォルトのままです。

15. 保存データの選択: N/S比、平均値、標準偏差値をMinitabのワークシートに保存するように選択します。

品質工学

Minitabによるタグチメソッドの分析3

 OKボタンを押すと、Minitabは計算したS/N比、平均値、標準偏差値をワークシートに保存してくれます。また各種グラフを表示してくれます。

 利得の計算は別で行いました。それぞれのS/N比と現行のS/N比37.95との差です(本の中では値が違うが(校正ミス?)本の図3.19中の値を使用)。最大のS/N比(最大の利得)が試験項目の中では最も効果的な制御因子の組み合わせを表しているので、試験項目6番目がそれにあたります。

品質工学

Minitabによるタグチメソッドの分析4

 またMinitabのセッション画面には制御因子と各水準のS/N比や平均値、標準偏差値などが表示されます。また要因効果図等も表示されます。そこから制御因子の最適な組合せは、

  • 石灰石の量(5%)
  • ロウ石の量(多)
  • ロウ石の種類(新規2)
  • 長石の量(10%)
  • 長石の種類(御花山)
  • 添加物の量(5.0%)
  • 廃棄物の再利用(多)
  • 粘土の種類(木節)

 であることが分かります。

品質工学

Minitabによるタグチメソッドの分析5

 では、この最適な制御因子の組合せのS/N比がどのくらいになるのか求めてみましょう。

【Minitabによる最適値の予測】

16.タグチメソッドの結果予測を選択: Minitabのメニューからタグチメソッドの結果予測を選択し、すべての項目を選択します。

品質工学

Minitabによる最適値の予測1

17. 制御因子を選択: 予測の計算で使う制御因子を選択します(すべて選択)。

18: 制御因子の水準を設定: S/N比が最も高かった水準をそれぞれの制御因子で選択します。

 OKを押すと、選択した制御因子の水準で計算したS/N比等の予測値をMinitabが表示します。S/N比の結果は52.12、利得は52.12 – 37.95 = 14.17 となりました。

品質工学

Minitabによる最適値の予測2

 時には難解なタグチメソッドもMinitabを使えば簡単でとても速く結果が得られます。メニューからタグチメソッドを選択して、必要最低限のいくつかの項目をクリックしながら設定するだけなのですからとても簡単です。

 
 
 
 

【タグチメソッドのすごいところ: 手計算でもロバスト設計ができる】

 田口玄一博士がタグチメソッドを開発したのは1940年代後半のことです。これは考えてみると、とても興味深いことです。なぜなら当時はラップトップ・コンピュータ(PC)もなければ、Minitabのような一般人が使える統計ソフトウェアもありませんでした。電卓すら無かったはずです。恐らく田口玄一博士は、紙と鉛筆を使ってタグチメソッドを完成させたのではないかと思います。

 一方、1990年代以降に発達したリーンシックスシグマのDOEや統計的手法(ロバスト設計/最適化)は、PC上で統計ソフトウェアを使うことが前提になっています。トレーニングではもちろんPCと専門ソフトウェアを標準で使います。

 リーンシックスシグマのDOE(統計的手法を含めて)の方が精度の高い最適化をより簡単に速く行えることができるからといっても、タグチメソッドとは時代背景も前提条件も違うのですから、単純に比較することができません。むしろ手計算であって十分実用的な精度の最適値が得られるタグチメソッドは素晴らしいと思います。

◆関連解説『品質工学(タグチメソッド)とは』

   続きを読むには・・・


この記事の著者

津吉 政広

リーンやシックスシグマ、DFSSなど、問題解決のためのフレームワークを使った新製品の開発や品質の向上、プロセスの改善を得意としています。「ものづくり」に関する問題を一緒に解決してみませんか?

リーンやシックスシグマ、DFSSなど、問題解決のためのフレームワークを使った新製品の開発や品質の向上、プロセスの改善を得意としています。「ものづくり」に関...


「品質工学(タグチメソッド)総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
SN比と感度の総括 品質工学の動特性における安定性評価について(その3)

 品質工学の動特性における安定性評価について【 目 次 】    【その1】     1. 動特性とは    2. 繰り返しデータの事例でのSN比と感...

 品質工学の動特性における安定性評価について【 目 次 】    【その1】     1. 動特性とは    2. 繰り返しデータの事例でのSN比と感...


改善メカニズムの解明 品質工学による技術開発(その20)

  1. PDSAサイクルのSに位置付けられる改善メカニズムの解明 本解説シリーズの(その15)独自技術事業化を目指した技術開発からLI...

  1. PDSAサイクルのSに位置付けられる改善メカニズムの解明 本解説シリーズの(その15)独自技術事業化を目指した技術開発からLI...


ほんまもんの技術者とは (その1)

1.はじめに  今回は、ものづくりCOMでの初めての発言です。皆さまからのご意見を頂ければ幸いです。  私が品質工学の道にはいって約20数年になります...

1.はじめに  今回は、ものづくりCOMでの初めての発言です。皆さまからのご意見を頂ければ幸いです。  私が品質工学の道にはいって約20数年になります...


「品質工学(タグチメソッド)総合」の活用事例

もっと見る
TRIZを含む科学的アプローチの推進 ~全社的な開発力向上と事業貢献を目指した取り組み

♦開発期間短縮、課題解決力向上などに成果  今回は2019年に創立100周年を迎え、グローバルカンパニーとして世界シェア70%の消化器内視鏡...

♦開発期間短縮、課題解決力向上などに成果  今回は2019年に創立100周年を迎え、グローバルカンパニーとして世界シェア70%の消化器内視鏡...


科学的手法(TRIZ,QFD,タグチメソッド)の社内展開:オリンパスの事例

 2011年のTRIZシンポジウムでオリンパス株式会社の緒方隆司さんが発表し、参加者投票 「私にとって最もよかった発表」で表彰された、「TRIZを含む科学...

 2011年のTRIZシンポジウムでオリンパス株式会社の緒方隆司さんが発表し、参加者投票 「私にとって最もよかった発表」で表彰された、「TRIZを含む科学...


品質問題を未然防止するタグチメソッドの適用事例 

  1.  タグチメソッド ~ 仕組み以前にコンセプトが理解しにくい  以前3回にわたって「考え方」「機能性評価」「直交表」につい...

  1.  タグチメソッド ~ 仕組み以前にコンセプトが理解しにくい  以前3回にわたって「考え方」「機能性評価」「直交表」につい...