受注拡大へのアプローチとは

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  事業戦略
 
 今回は、中小メーカーの1次下請けで、プレス加工・板金加工を主に、条件により機械加工から組立も行い、従業員は、40名前後で推移している下請け企業を想定して、受注を拡大させるアプローチと、従業員から技術営業が出来る人材を育てるにはどうすればよいかなどを解説します。
 

(1) 受注拡大へのアプローチ:自社の強みを知る

 
 まず、顧客が自社になぜ注文をくれるのかを知ることが重要です。顧客が必要性を感じて発注しているため、その必要性(=自社にとっての強み)を知るのです。知る手段としては簡単です、注文をもらった際に、なぜ自社を選んで頂いたかを確認するだけです。その実績を積み上げていくことが、自社を知ることにつながります。簡単にできますので、すぐにでも始めてください。
 
 また必要に応じてSWOT分析を行い、自社の置かれている内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を把握し、自社が対外的にどのような位置付けにあり、弱みや脅威を克服するために、どのような強みを伸ばしていくかを明確にしていきます。顧客が考えている強みと自社の考えている強みのギャップを修正することにもなりますし、短期〜中長期的な観点で自社をどのように伸ばしていくか検討が可能となります。
 

(2) 受注拡大へのアプローチ:強みをPRする

 
 自社の強みを認識できたら、それをターゲット顧客に対してPR(広報)します。つまり、新聞やテレビ、雑誌にプレスリリースとして情報発信し、記事や番組ネタとして取り上げてもらうのです。このプレスリリースを行う場合は、公共性・新規性・話題性などの要素がないと取り上げてもらえないので、自社の強みやPRしたい商品・サービスを如何にアピールするかが重要となります。尚、プレスリリースが取り上げられたら、一時的に自社のホームページのアクセス数が増加し、見積もりや問い合わせが激増しますので、あらかじめホームページなどを見直しておくことも重要となります。プレスリリースは、企業規模には関係なく強みをPR出来ます。
 

(3) 受注拡大へのアプローチ:収益性の高い得意先を絞り込む

 
 またある程度の社会的な認知度があり、注文もある場合、優良顧客を絞り込むことが重要と考えています。売上金額(件数)と利益率で顧客をマッピングし、利益率が高く売上高も高い顧客が優良顧客ですので、この優良顧客内の自社シェアを拡大する方法を検討します。また売上高や利益率の一方が低い顧客には、それぞれ増加するための取り組みを模索することになります。売上高と利益率も低い顧客は、固定費回収などのための受注に限定するなど、自社の負担を少なくするためのとりくみも必要かもしれません。
 

(4) 受注拡大へのアプローチ:技術営業ができる人材育成

 
 (1)〜(3)の取り組みを実践する中で、重要なキーワードが「技術」です。従って、(1)〜(3)の取り組みを技術が分かる従...
 
  事業戦略
 
 今回は、中小メーカーの1次下請けで、プレス加工・板金加工を主に、条件により機械加工から組立も行い、従業員は、40名前後で推移している下請け企業を想定して、受注を拡大させるアプローチと、従業員から技術営業が出来る人材を育てるにはどうすればよいかなどを解説します。
 

(1) 受注拡大へのアプローチ:自社の強みを知る

 
 まず、顧客が自社になぜ注文をくれるのかを知ることが重要です。顧客が必要性を感じて発注しているため、その必要性(=自社にとっての強み)を知るのです。知る手段としては簡単です、注文をもらった際に、なぜ自社を選んで頂いたかを確認するだけです。その実績を積み上げていくことが、自社を知ることにつながります。簡単にできますので、すぐにでも始めてください。
 
 また必要に応じてSWOT分析を行い、自社の置かれている内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を把握し、自社が対外的にどのような位置付けにあり、弱みや脅威を克服するために、どのような強みを伸ばしていくかを明確にしていきます。顧客が考えている強みと自社の考えている強みのギャップを修正することにもなりますし、短期〜中長期的な観点で自社をどのように伸ばしていくか検討が可能となります。
 

(2) 受注拡大へのアプローチ:強みをPRする

 
 自社の強みを認識できたら、それをターゲット顧客に対してPR(広報)します。つまり、新聞やテレビ、雑誌にプレスリリースとして情報発信し、記事や番組ネタとして取り上げてもらうのです。このプレスリリースを行う場合は、公共性・新規性・話題性などの要素がないと取り上げてもらえないので、自社の強みやPRしたい商品・サービスを如何にアピールするかが重要となります。尚、プレスリリースが取り上げられたら、一時的に自社のホームページのアクセス数が増加し、見積もりや問い合わせが激増しますので、あらかじめホームページなどを見直しておくことも重要となります。プレスリリースは、企業規模には関係なく強みをPR出来ます。
 

(3) 受注拡大へのアプローチ:収益性の高い得意先を絞り込む

 
 またある程度の社会的な認知度があり、注文もある場合、優良顧客を絞り込むことが重要と考えています。売上金額(件数)と利益率で顧客をマッピングし、利益率が高く売上高も高い顧客が優良顧客ですので、この優良顧客内の自社シェアを拡大する方法を検討します。また売上高や利益率の一方が低い顧客には、それぞれ増加するための取り組みを模索することになります。売上高と利益率も低い顧客は、固定費回収などのための受注に限定するなど、自社の負担を少なくするためのとりくみも必要かもしれません。
 

(4) 受注拡大へのアプローチ:技術営業ができる人材育成

 
 (1)〜(3)の取り組みを実践する中で、重要なキーワードが「技術」です。従って、(1)〜(3)の取り組みを技術が分かる従業員に担当させ、技術視点で売上拡大アプローチを進めたら如何でしょうか。例えば、顧客先に技術担当(=技術営業)が出向き、なぜ発注してくれたのかを技術担当から聞き出し、それを売上拡大の起爆剤として新たな施策を検討させるのです。これもまずは実践が重要です。初めから大きな成果を期待せず、長い目で人材育成に取り組んでみてください。
 
 まずは(1)の受注時になぜ注文をくれたのか顧客に確認するだけでも効果があると思いますので、ぜひ実践してみてください。
 

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この記事の著者

野中 帝二

労働人口が減少する中、生産性を維持・向上しつつ、収益性を向上するための支援を行います。特に自律的な改善活動の醸成や少子高齢化での経営など労働環境変化に対応した解決策をサポート致します。

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