ものづくり工場の日常管理のしくみ(その2)

更新日

投稿日

 工場管理前回のその1に続いて解説します。組織における決め事、ルールというのは、その組織のノウハウの結晶であるはずです。過去に様々な問題や失敗を体験してきた結果、こういう時はこう対応する、これは決してしてはならない、といったことが「ルール」として伝承されてきているはずです。ところがルールの精度も上がらず、本来ルールとして受け継がれるべき大切な情報も失われて、ろくでもないルールが残ってしまっている組織では、将来の成長は望めないでしょう。成長し続ける組織・チームを実現するために組織のルールは、次の点を考慮して制定すると共に、定期的に見直しされることが重要です。
 

1.経営計画書

 
 顧客視点の経営理念を掲げ、経営トップの意思が下位層の作業員まで伝わる仕組みを作ることです。経営計画書の内容は、企業のそもそもの存立意義、顧客に対して、どのような製品サービスを提供していくのかを示す「経営理念」、それに向かっていつまでに、何をどの様に具体的に進めて行くかを「経営方針」「経営目標」として具体化し全社員へ明示し徹底します。
 

2.業務計画書

 
 経営目標は、部署別に、その役割に応じて分担され、達成すべき目標値を定め、これを実現する方策を講じます。この活動内容を半年、ないしは1年の業務計画書にまとめ、それに従って、P,D,C,Aサイクルを回します。
 

3.日常業務管理

 
 部署ごとの業務の内容、責任範囲を明確にして業務フロー・業務マニュアルを作成します。その中で日常管理しなければならない「管理項目」と「手順」「管理点」を、4Mに分類し、だれが、いつ、どのように管理するのかを決めます。また、成果を示す特性値(QCDの指標)の達成目標を定め、その達成度を常に監視し、達成できなかった場合の原因究明と対策案の立案を行います。このような日常業務の基本的活動を行うための仕事の基本ルールを定め、一人一人にこれを守ることを周知徹底させましょう。
 
 ・組織を決め役割、権限を明確にすること(組織図、業務役割分担表)
 ・組織間の横断的情報交換の仕組みを作ること(会議体、情報フォーマット等)
 ・組織の活動指標を見える化し管理する仕組みを作ること(管理グラフ、月報等)
 ・基本ルールの見直しを定期的に行う仕組みを作ること(少なくとも一年周期)
 ・必要な人材の育成、登用、信賞必罰の仕組みを作ること
 
 個人商店的経営の場合は、上記の内容はすべて社長の頭の中にあり、また社員の一人一人のそれぞれに違った考えがありますが、組織の小さいうちは社長の指示のもとで日常業務が処理されていきます。ところが、これでは永遠に個人商店から脱皮することは難しく、組織...
 工場管理前回のその1に続いて解説します。組織における決め事、ルールというのは、その組織のノウハウの結晶であるはずです。過去に様々な問題や失敗を体験してきた結果、こういう時はこう対応する、これは決してしてはならない、といったことが「ルール」として伝承されてきているはずです。ところがルールの精度も上がらず、本来ルールとして受け継がれるべき大切な情報も失われて、ろくでもないルールが残ってしまっている組織では、将来の成長は望めないでしょう。成長し続ける組織・チームを実現するために組織のルールは、次の点を考慮して制定すると共に、定期的に見直しされることが重要です。
 

1.経営計画書

 
 顧客視点の経営理念を掲げ、経営トップの意思が下位層の作業員まで伝わる仕組みを作ることです。経営計画書の内容は、企業のそもそもの存立意義、顧客に対して、どのような製品サービスを提供していくのかを示す「経営理念」、それに向かっていつまでに、何をどの様に具体的に進めて行くかを「経営方針」「経営目標」として具体化し全社員へ明示し徹底します。
 

2.業務計画書

 
 経営目標は、部署別に、その役割に応じて分担され、達成すべき目標値を定め、これを実現する方策を講じます。この活動内容を半年、ないしは1年の業務計画書にまとめ、それに従って、P,D,C,Aサイクルを回します。
 

3.日常業務管理

 
 部署ごとの業務の内容、責任範囲を明確にして業務フロー・業務マニュアルを作成します。その中で日常管理しなければならない「管理項目」と「手順」「管理点」を、4Mに分類し、だれが、いつ、どのように管理するのかを決めます。また、成果を示す特性値(QCDの指標)の達成目標を定め、その達成度を常に監視し、達成できなかった場合の原因究明と対策案の立案を行います。このような日常業務の基本的活動を行うための仕事の基本ルールを定め、一人一人にこれを守ることを周知徹底させましょう。
 
 ・組織を決め役割、権限を明確にすること(組織図、業務役割分担表)
 ・組織間の横断的情報交換の仕組みを作ること(会議体、情報フォーマット等)
 ・組織の活動指標を見える化し管理する仕組みを作ること(管理グラフ、月報等)
 ・基本ルールの見直しを定期的に行う仕組みを作ること(少なくとも一年周期)
 ・必要な人材の育成、登用、信賞必罰の仕組みを作ること
 
 個人商店的経営の場合は、上記の内容はすべて社長の頭の中にあり、また社員の一人一人のそれぞれに違った考えがありますが、組織の小さいうちは社長の指示のもとで日常業務が処理されていきます。ところが、これでは永遠に個人商店から脱皮することは難しく、組織力も強化されません。毎日の業務をどのように組織的に行うのか、そしてその成果をどのような尺度で図り、問題があればどのように改善していくのか、まず、基本を定め、それをベースに活動していく必要があります。
 
 基本ルールは、企業の成長に伴いレベルアップし、最も効率的に、安価で品質の良い製品やサービスを生み出すよう最適化します。そこには、企業独自のノウハウが結晶となって積み重なっていきます。
 
 次回は、その3として、三現主義の定着についてです。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

濱田 金男

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に取り組んでいます。

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
技術者による商品開発法 儲かるメーカー改善の急所101項(その93)

  7、これからのモノづくり経営  前回の儲かるメーカー改善の急所101項(その92)新しい分業スタイルに続いて、解説します。 ◆ 技...

  7、これからのモノづくり経営  前回の儲かるメーカー改善の急所101項(その92)新しい分業スタイルに続いて、解説します。 ◆ 技...


中国工場の実状を知る 中国工場の品質改善(その49)

   前回のその48に続いて解説します。 【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方 【3.14 中国工場での従業員教育の進め方】  ...

   前回のその48に続いて解説します。 【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方 【3.14 中国工場での従業員教育の進め方】  ...


中国工場の実状を知る、部品・材料について 中国工場の品質改善(その24)

【第2章 中国工場の実状を知る】 【部品・材料】  前回のその23に続いて解説します。 ◆ 対応策(1) 品質改善(言い続け、要求し続けること)...

【第2章 中国工場の実状を知る】 【部品・材料】  前回のその23に続いて解説します。 ◆ 対応策(1) 品質改善(言い続け、要求し続けること)...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
中国式ショット数管理・会社規定との乖離 中国企業の壁(その25)

         前回ある中国工場(中国企業)での金型のショット数管理が中国式管理になっていたと書きました。日本で行われている金型のショット数管理と...

         前回ある中国工場(中国企業)での金型のショット数管理が中国式管理になっていたと書きました。日本で行われている金型のショット数管理と...


製造工場における、効果的な朝礼の実施について

        今回は、一般的な製造業の工場での、効果的な朝礼の実施について、どのような情報発信・取り組みを行っていて、朝礼の場を有効活用しているの...

        今回は、一般的な製造業の工場での、効果的な朝礼の実施について、どのような情報発信・取り組みを行っていて、朝礼の場を有効活用しているの...


現場主義の一例 技術者の対応

 現場主義に関するお話、今回は技術者(技術・品質等)の対応の事例を紹介します。  現場で技術的な問題や品質問題が発見され、技術者(技術、品質)に連絡が入...

 現場主義に関するお話、今回は技術者(技術・品質等)の対応の事例を紹介します。  現場で技術的な問題や品質問題が発見され、技術者(技術、品質)に連絡が入...