面積原価(その2)

更新日

投稿日

 
 SCMのあるべき生産性の評価指標を検討するために、SCMの本来の目標は何か、もう一度振り返って考えてみることにしましょう。サプライチェーンとは、マーケティング・製品開発部門で決められたデリバリー条件を満たす製品をお客様に効率よくお届けすることです。したがって、その目的は、デリバリー条件を満たす商品を最大の効率でお客様にお届けすること、と定義してもよいでしょう。問題は最大の効率とは何かです。
 
                        SCM
 
 最大の効率とは、サプライチェーンへ最小の投入資源で、デリバリー条件を満たす商品をお客様にお届けすることと定義できます。さらに、ここでは投入資源の定義を、下記のような投入コストに時間軸を考慮した面積原価で評価します。私が今回提案するあるべきSCMの評価指標は、利益を面積原価で除した面積原価利益率です。
 
                   SCM
 
 面積原価の概念を取り入れると、下記のようなメリットが得られます。
 
                          SCM
 
 通常、多くの企業では、売上高利益率での商品評価を行っていますが、その利益はどれだけの資本をどれだけの時間投入して得られたものであるかが分かりません。面積原価によって、その利益がどれだけの資本をどれだけの時間投入して得られたものであるかが明らかになります。
 
                  SCM
 
 また、現状ではSCMの適切な評価指標がないために、SCMモデルの評価ができません。面積原価利益率はSCMの生産性を示すKPIであり、SCMモデルの評価指標として活用できます。
 
                  SCM
 
 現状では、最適在庫という言葉はよく用いられますが、何をもって最適在庫とするかの明確な定義はありません。面積原価は時間軸も含めた在庫そのものです。したがって、面積原価利益率を最大化する面積原価が、最適在庫と言うことになります。
 
                 SCM
 
 また、近年、日本の現場力の低下が問題視されており、中国、東南アジア諸国と差が無くなってきていることが指摘されています。この様な現場改善活動の停滞をもたらしている原因の一つに改善の評価指標の問題があると考えています。現場は、前述したトレードオフのある現場指標にたいして試行錯誤を繰り返しながら実践するもののその成果が現れにくく、またそれがトップマネジメントから見えないことが大きな問題です。面積原価は各部門とマネジメントが握ることのできる共通指標であると考えられるので、面積原価を軸とした改善活動の全社での見える化が可能になります。
 
                   SCM
 
 さらに、各部門における日常オペレーションは部分最適に陥っていると言っても過言ではありません。例えば物流部門では、コンテナの充填率を上げるためにコンテナ一杯の製品の到着を待って輸送を行うとリードタイムが延びます。各部門の面積原価を最小化するオペレーションで全社最適なオペレーションを行う事ができます。
 
                  SCM
 
 面積原価の導入によって、SCM自体を評価し改善する仕組み:SCMのPDCAをSCMの内部に組み込むことが可能となるのです。現在、支援中の製造業では、面積原価の導入によって、全製品の面積原価利益率と面積原価管理図の見える化を実現されました。現在、生産性の改善に向けてSCMの改善に取り組まれています。
 
                            SCM
 
 以上、面積原価をご説明して参りましたが、最後に下記の面積原価管理導入のメリットをまとめさせて頂きました。
 
                           SCM
 
 面積原価は、必ず貴社の生産性向上のお役に立てると確信しております。
 
 
...
 
 SCMのあるべき生産性の評価指標を検討するために、SCMの本来の目標は何か、もう一度振り返って考えてみることにしましょう。サプライチェーンとは、マーケティング・製品開発部門で決められたデリバリー条件を満たす製品をお客様に効率よくお届けすることです。したがって、その目的は、デリバリー条件を満たす商品を最大の効率でお客様にお届けすること、と定義してもよいでしょう。問題は最大の効率とは何かです。
 
                        SCM
 
 最大の効率とは、サプライチェーンへ最小の投入資源で、デリバリー条件を満たす商品をお客様にお届けすることと定義できます。さらに、ここでは投入資源の定義を、下記のような投入コストに時間軸を考慮した面積原価で評価します。私が今回提案するあるべきSCMの評価指標は、利益を面積原価で除した面積原価利益率です。
 
                   SCM
 
 面積原価の概念を取り入れると、下記のようなメリットが得られます。
 
                          SCM
 
 通常、多くの企業では、売上高利益率での商品評価を行っていますが、その利益はどれだけの資本をどれだけの時間投入して得られたものであるかが分かりません。面積原価によって、その利益がどれだけの資本をどれだけの時間投入して得られたものであるかが明らかになります。
 
                  SCM
 
 また、現状ではSCMの適切な評価指標がないために、SCMモデルの評価ができません。面積原価利益率はSCMの生産性を示すKPIであり、SCMモデルの評価指標として活用できます。
 
                  SCM
 
 現状では、最適在庫という言葉はよく用いられますが、何をもって最適在庫とするかの明確な定義はありません。面積原価は時間軸も含めた在庫そのものです。したがって、面積原価利益率を最大化する面積原価が、最適在庫と言うことになります。
 
                 SCM
 
 また、近年、日本の現場力の低下が問題視されており、中国、東南アジア諸国と差が無くなってきていることが指摘されています。この様な現場改善活動の停滞をもたらしている原因の一つに改善の評価指標の問題があると考えています。現場は、前述したトレードオフのある現場指標にたいして試行錯誤を繰り返しながら実践するもののその成果が現れにくく、またそれがトップマネジメントから見えないことが大きな問題です。面積原価は各部門とマネジメントが握ることのできる共通指標であると考えられるので、面積原価を軸とした改善活動の全社での見える化が可能になります。
 
                   SCM
 
 さらに、各部門における日常オペレーションは部分最適に陥っていると言っても過言ではありません。例えば物流部門では、コンテナの充填率を上げるためにコンテナ一杯の製品の到着を待って輸送を行うとリードタイムが延びます。各部門の面積原価を最小化するオペレーションで全社最適なオペレーションを行う事ができます。
 
                  SCM
 
 面積原価の導入によって、SCM自体を評価し改善する仕組み:SCMのPDCAをSCMの内部に組み込むことが可能となるのです。現在、支援中の製造業では、面積原価の導入によって、全製品の面積原価利益率と面積原価管理図の見える化を実現されました。現在、生産性の改善に向けてSCMの改善に取り組まれています。
 
                            SCM
 
 以上、面積原価をご説明して参りましたが、最後に下記の面積原価管理導入のメリットをまとめさせて頂きました。
 
                           SCM
 
 面積原価は、必ず貴社の生産性向上のお役に立てると確信しております。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

小山 太一

SCMの効率を新しいKPIで見える化し、問題点を明らかにします。 新しいKPI 『面積原価』は、評価に時間軸を含めることで、リードタイム・在庫・原価のトレードオフを解決します。

SCMの効率を新しいKPIで見える化し、問題点を明らかにします。 新しいKPI 『面積原価』は、評価に時間軸を含めることで、リードタイム・在庫・原価のトレ...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その7)

第7回 道具5「物流評価シート」(上) 前回のその6に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.物流評価の目的を理解し...

第7回 道具5「物流評価シート」(上) 前回のその6に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.物流評価の目的を理解し...


荷姿の考察 物流改善ネタ出し講座 (その4)

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...


海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その8)

第8回 道具5「物流評価シート」(下) 前回のその7に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.海外工場の物流設計評価...

第8回 道具5「物流評価シート」(下) 前回のその7に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.海外工場の物流設計評価...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流5機能の意味するところ、サプライチェーンの範囲・物流工程設計

  【目次】 1. 物流の地位向上 物流という言葉の意味を教科書的に解釈すると、それは5機能ということになります。「輸...

  【目次】 1. 物流の地位向上 物流という言葉の意味を教科書的に解釈すると、それは5機能ということになります。「輸...


同業他社とのベンチマーク:ベンチマークで実力把握(その1)

  ◆同業他社とのベンチマーク ベンチマーク活動というものがあります。物流でいえばたとえば自社の物流コストが業界の中で競争力があるのかど...

  ◆同業他社とのベンチマーク ベンチマーク活動というものがあります。物流でいえばたとえば自社の物流コストが業界の中で競争力があるのかど...


「今が最低だと思え」という教え 固定観念を捨てて取り組む重要性(その2)

   今回は、物流を物流という単なる点ではなく、サプライチェーンという線で見ていくことについてです。  その1に続いて、例を挙げてみます。その物流部長...

   今回は、物流を物流という単なる点ではなく、サプライチェーンという線で見ていくことについてです。  その1に続いて、例を挙げてみます。その物流部長...