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東電福島第一原発事故と東京都の海抜ゼロメートル地帯における水害対策を参考例として,企業等でBCPを策定するポイントをわかりやすく解説!
セミナー趣旨
2011年3月の東日本大震災の発生後,企業等ではBCP(事業継続計画)の策定が急増しました。BCP(事業継続計画)とは,被害発生防止に向けたリスクマネジメントの実施を踏まえて,実際に被害が発生した際に,被害の拡大防止と早期回復に向けたダメージコントロールを迅速かつ的確に実施できるよう,事前に計画するものです。
東京電力福島第一原子力発電所は,地震と津波に対するリスクマネジメントの実施が先送りされた結果,東日本大震災で生じた地震と津波により電源系統に大きな被害を受け,被害の拡大防止に向けたダメージコントロールに失敗して,爆発を伴う最悪の炉心溶融事故を引き起こしてしまいました。このような想定外の事故の発生を受けて東京都は,2011年6月から2012年8月にかけて,都の東部5区に広がる海抜ゼロメートル地帯における水害対策施設(堤防,水門,排水機場等)について,地震と津波に対するリスクマネジメントを実施し,改善を要すると判明した点については,今日に至るまで着実に対策を推進しています。
そこで,企業等でBCP(事業継続計画)を策定する際の具体的な参考事例として,東電福島第一原発事故と東京都の海抜ゼロメートル地帯における水害対策を取り上げ,大規模災害等の発生に備えた事前対応のプロセスであるリスクマネジメントと,大規模災害等の発生時の事後対応のプロセスであるダメージコントロールについて,わかりやすく説明します。
受講対象・レベル
- 企業の内部統制部門・危機管理部門等で,リスクマネジメントやBCP(事業継続計画)に携わっている方
- 自治体等の官公庁の危機管理部門等で,リスクマネジメントやBCP(事業継続計画)に携わっている方
- リスクマネジメントやダメージコントロールの取り組み方に関心のある方
- 東電福島第一原発事故の発生原因について関心のある方
- 東京都の東部5区に広がる海抜ゼロメートル地帯の水害対策について関心のある方
セミナープログラム
- 1. リスクマネジメントとダメージコントロール
- リスクマネジメントは事前対応のプロセス
- ダメージコントロールは事後対応のプロセス
- BCP(事業継続計画)のキーポイントはリスクマネジメントとダメージコントロール
- 2. ダメージコントロールに大失敗した東電福島第一原発事故
- リスクマネジメントの先送りにより地震と津波に無防備
- 東日本大震災でダメージコントロールにことごとく失敗
- 地震による外部電源喪失
- 津波による全電源喪失
- 被害拡大防止できず爆発を伴う炉心溶融事故が発生
- 東電福島第一原発事故の教訓〜BCP(事業継続計画)の視点から
- 3. 東京都の海抜ゼロメートル地帯における水害対策
- 東京都のアキレス腱は,東部5区に広がる海抜ゼロメートル地帯
- 海抜ゼロメートル地帯を水害から守る三本柱の対策
- 集中豪雨による洪水への対策
- 高潮への対策
- 地震と津波への対策
- 2019年の台風19号に耐えた「集中豪雨による洪水への対策」
- 堤防高が荒川より5.6m低い隅田川を氾濫から守った岩淵水門
- 約3,500万m3を貯水して荒川の氾濫を抑えた荒川第一調節池
- 1959年の伊勢湾台風を想定した「高潮への対策」
- 海岸や河川に3m高の高潮に耐える堤防を整備
- 堤防を設けられない水路や陸路に水門や陸こうを整備
- 1703年の元禄関東地震を想定した「地震と津波への対策」
- 1.6m高の津波への対策
- 最大震度6〜7への対策
- 海抜ゼロメートル地帯における東京メトロの水害対策
- 完全防水型出入り口・トンネル坑口防水ゲート・換気口用浸水防止機等を整備
- 全駅で「洪水時の避難確保・浸水防止計画」を策定
- 4. 東日本大震災を契機として東京都が実施したリスクマネジメント
- 地震・津波に伴う水害対策のあり方に関する提言
- 地震・津波に伴う水害対策に関する都の基本方針
- 都が実施した水害対策施設のリスクマネジメントで残された課題
- 都が実施した水害対策施設のリスクマネジメントの教訓〜BCP(事業継続計画)の視点から
- 5. BCP(事業継続計画)とは?
- 東日本大震災後にBCP(事業継続計画)の策定が急増
- リスクマネジメントに基づくダメージコントロールの実施計画
- ダメージコントロールに欠かせない「トップダウンにより全体最適を図る取り組み方」
◎ 質疑応答
セミナー講師
澤田 雅之 氏
澤田雅之技術士事務所 所長
技術士・電気電子部門
略歴
1978年に京都大学(院)工学研究科修士課程を修了し,警察庁に入庁。警察大学校警察情報通信研究センター所長を退職後に技術士資格(電気電子部門)を取得して,2015年に技術士事務所を開業。
35年間にわたって勤務した警察では,東京,兵庫,大阪,宮崎,茨城,宮城,福岡,愛知,神奈川の各都府県において,警察情報通信施設の整備・維持管理・運営の業務に従事した。この際,警察情報通信施設が地震や津波,山火事などの脅威に晒された事例や,自動車衝突による破損や侵入による損壊などを被った事例を,否応なく幾度も経験した。それゆえ,被害発生防止に向けた事前対応のプロセスであるリスクマネジメントと,実際に被害が発生した際に,被害の拡大防止と早期回復を図る事後対応のプロセスであるダメージコントロールについて,実務を通じた多くの知見を蓄積することができた。そこで,技術士事務所開業後は,このような知見を体系化することにより,講演等を通じてノウハウを発信している。
セミナー受講料
25,000円(消費税込)※テキスト代を含みます。