ムダの見つけ方とは:物流スタッフの効果的育成法(その3)

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サプライチェーンマネジメント

 

◆ ムダの見つけ方

 私たちは物流業務を実施してお客様からお金をいただいています。お客様が私たちに対して仕事の対価をお支払いいただく際に何のためらいもなくお支払いいただけるかという観点に立って考えてみましょう。物流事業者の場合、荷主会社から常に「値引き要請」を受けています。この背景には荷主会社が支払物流費を下げたいと考えていることがあるのでしょう。ではそれは根拠のない値引き要請なのでしょうか。もちろん、そういった意味合いでの要請があることも事実です。

 一方で物流事業者側がムダな仕事の仕方をしており、そのムダに対する対価は支払いたくないという気持ちがあることもまた事実です。改善スキルの中でも最初に身につけなければならないのが「ムダの見つけ方」です。理想とのギャップがムダだというお話をしましたが、もう一つ別の視点から考えてみましょう。

 私たちはこの「お客様がお金を払いたくない」と感じる業務を修正するべきなのです。たとえばピッキング時の「迷いや場所探し」「長距離歩行」などはどうでしょうか。お客様としてはこういった行為に対してお金を払いたいとは思わないのではないでしょうか。私たち自身が客観的にお客様の立場になって考えてみれば自ずとわかってくることではないでしょうか。

 

 つまりこの「お客様がお金を払いたくない業務」こそがムダであるという見方があるのです。この視点でもう一度業務を見てみましょう。そこから多くの改善ポイントが見つかるものと思われます。

 もう一つの「ムダの見つけ方」がJIT(Just in Time)の7つのムダでしょう。それは以下の7つです。

  • つくりすぎのムダ
  • 手待ちのムダ
  • 運搬のムダ
  • 加工そのもののムダ
  • 在庫のムダ
  • 動作のムダ
  • 不良をつくるムダ

 この7つが物流現場にないかどうかをチェックすることで改善のポイントが見えてきます。

 いかがでしょうか。この3つの手法を使えば誰でもムダを見つけることはできるのではないでしょうか。物流スタッフがあまり接することの無い改善スキルについてもう少し話を進めていきましょう。これは改善手法の一つになりますが「稼働分析」というものがあります。

 

 次回に続けます。

 


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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