-1 QCによる「新型コロナ危機への対応・・第2波入口戦略」(その4)

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 <QCと「リスクマネジメント」の基本に立ち返って考える>

一石三鳥;感染拡大防止と医療従事者の負荷軽減と経済復興

1.「リスクマネジメント」の理解と実行がカギ

 (その3)で、新型コロナウィルスの特徴は無症状感染者の中に感染力の強いスーパー・スプレッダーがいて、この見えない感染者が出歩いて多くの人に接触し、感染拡大を引き起こしていることが根本問題であり、QCの基本である源流検査を応用した「全員検査」でこの見えない感染者を見付けて隔離することで感染拡大を防止し、経済復興が実現されることを考察しました。

 然(しか)るに政府や東京都の対策は、緊急事態宣言発令・解除、東京アラート発令・解除、新型コロナ特措法・休業補償、10万円一律給付、GoToキャンペーンなど、第一波襲来後の対症療法を内閣府・総務省・厚労省・国交省・専門家委員会など夫々がやっているため、QCでいえば不良が発生しクレームが出てから各部が勝手に動いているようなもので、“船頭多くして何とやら”です。

 ここで危機管理とリスクマネジメントの違いを明らかにしておきたいのですが、危機管理は起ってしまった危機を最小限に抑えることで、「リスクマネジメント」は危機が起る前に手を打ってリスクを最小限にすること(戦略)です。QCでいえば危機管理は不良発生後の対策で、「リスクマネジメント」は不良が発生する前に異常を検知して手を打つ(新型コロナ危機では無症状の見えない感染者を早期に見付けて隔離する)「源流検査」です。

 折から東京の新規感染者は300名に達する勢いで、特に問題なのは感染経路不明者が連日100人を超えていることです。児玉龍彦・東大先端科学技術研究センター名誉教授は参院予算委で「今や新宿が感染の震源地・エピセンターになっています。このエピセンターを早急に制圧しないと大変なことになる」と指摘*しています。*詳しくは「エピセンター新宿」で検索し、YouTubeをご覧下さい。

 新たに発足した政府の「新型コロナウィルス感染症対策分科会」には、第2波が目の前で大きなうねりを見せ、児玉名誉教授が「エピセンター新宿を全員検査で制圧することが急務」と提言をしているにも拘らず、リスクマネジメントの考えが全く見えません。平時なら委員会の多数決でいいが、非常事態(言葉は適切でないかもしれないが「戦時」)には(台湾が首相より上の対策の権限を持つ指揮センターを設置したように)真の「第2波入口戦略になるリスクマネジメント」を実行する司令塔が必要です。

 この司令塔を何らかに形で作って「エピセンター新宿を全員検査で制圧」することが出来れば、一石三鳥;感染拡大防止と医療従事者の負荷軽減と経済復興が実現できます。

2.主要18ヶ国の志望者推移(フォローアップ)

 5/16(その1)から2ヶ月たった7/15現在のアジア欧米主要18ヶ国の死亡者の推移です。アジアでは5/16は日本が人口百万人当り5.7人で最下位でしたが、その後インドネシアが経済優先策を取って死亡者が急増し百万人当り14.4人、日本が百万人当り7.7人でワー...

 <QCと「リスクマネジメント」の基本に立ち返って考える>

一石三鳥;感染拡大防止と医療従事者の負荷軽減と経済復興

1.「リスクマネジメント」の理解と実行がカギ

 (その3)で、新型コロナウィルスの特徴は無症状感染者の中に感染力の強いスーパー・スプレッダーがいて、この見えない感染者が出歩いて多くの人に接触し、感染拡大を引き起こしていることが根本問題であり、QCの基本である源流検査を応用した「全員検査」でこの見えない感染者を見付けて隔離することで感染拡大を防止し、経済復興が実現されることを考察しました。

 然(しか)るに政府や東京都の対策は、緊急事態宣言発令・解除、東京アラート発令・解除、新型コロナ特措法・休業補償、10万円一律給付、GoToキャンペーンなど、第一波襲来後の対症療法を内閣府・総務省・厚労省・国交省・専門家委員会など夫々がやっているため、QCでいえば不良が発生しクレームが出てから各部が勝手に動いているようなもので、“船頭多くして何とやら”です。

 ここで危機管理とリスクマネジメントの違いを明らかにしておきたいのですが、危機管理は起ってしまった危機を最小限に抑えることで、「リスクマネジメント」は危機が起る前に手を打ってリスクを最小限にすること(戦略)です。QCでいえば危機管理は不良発生後の対策で、「リスクマネジメント」は不良が発生する前に異常を検知して手を打つ(新型コロナ危機では無症状の見えない感染者を早期に見付けて隔離する)「源流検査」です。

 折から東京の新規感染者は300名に達する勢いで、特に問題なのは感染経路不明者が連日100人を超えていることです。児玉龍彦・東大先端科学技術研究センター名誉教授は参院予算委で「今や新宿が感染の震源地・エピセンターになっています。このエピセンターを早急に制圧しないと大変なことになる」と指摘*しています。*詳しくは「エピセンター新宿」で検索し、YouTubeをご覧下さい。

 新たに発足した政府の「新型コロナウィルス感染症対策分科会」には、第2波が目の前で大きなうねりを見せ、児玉名誉教授が「エピセンター新宿を全員検査で制圧することが急務」と提言をしているにも拘らず、リスクマネジメントの考えが全く見えません。平時なら委員会の多数決でいいが、非常事態(言葉は適切でないかもしれないが「戦時」)には(台湾が首相より上の対策の権限を持つ指揮センターを設置したように)真の「第2波入口戦略になるリスクマネジメント」を実行する司令塔が必要です。

 この司令塔を何らかに形で作って「エピセンター新宿を全員検査で制圧」することが出来れば、一石三鳥;感染拡大防止と医療従事者の負荷軽減と経済復興が実現できます。

2.主要18ヶ国の志望者推移(フォローアップ)

 5/16(その1)から2ヶ月たった7/15現在のアジア欧米主要18ヶ国の死亡者の推移です。アジアでは5/16は日本が人口百万人当り5.7人で最下位でしたが、その後インドネシアが経済優先策を取って死亡者が急増し百万人当り14.4人、日本が百万人当り7.7人でワースト2位。欧米の死亡者は7ヶ国計で、5/16ー6/15の418人増に対し6/16ー7/15は197人増で増加人数は半減しているものの、経済政策優先の米国と集団免疫政策を進めたスウェーデンでは依然として高いレベルにあります。

 日本も(経済を優先して)、「リスクマネジメント」をしっかりと認識して実行しないと第2波の大波に呑まれて、医療崩壊を起こし、死亡者数が急増してしまうことになりかねません。

 次回のQCによる「新型コロナ危機への対応・・第2波入口戦略」(その4)-2に解説を続けます。


※スーパー・スプレッダー…感染症を引き起こす病原体に感染したホストのうち、通常考えられる以上の二次感染例を引き起こす者。

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この記事の著者

鈴木 甫

「生き残る」のは “強いもの” でも “賢いもの”でもなく「変化に対応できるもの」!「ポストコロナ『DX』の激変する環境に対応する企業支援」に真剣に取り組んでいます!            E-mail: h.suzuki@dr-practice.com

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