トラック合わせ生産 輸送機能の高度化(その1)

投稿日

 
  SCM
 
 輸送は一般的に空間的なギャップを埋める活動といわれています。たしかに北海道で採れた野菜を関東に運ぶ行為は輸送です。地理的な空間的ギャップを埋めていることになります。また輸送はコストとしての認識が大きいと思われます。なぜなら会社の物流コストに占める輸送費の割合はおおよそ6割だからです。したがいまして会社での物流コスト削減の号令の下、輸送費を下げることに必死になる姿をよく見かけます。
 
 真っ先に取り組む活動が輸送料率の値下げ要請です。トラック輸送の場合、世の中に運送会社は約6万3000社ありますから交渉をすれば大抵値段は下がりました。しかし最近はドライバー不足の要因もあり、また一時期の燃料費の高騰も相まって簡単に値段は下がらなくなりつつあります。
 
 このような環境下、私たちは輸送について再考してみてもよいのではないか、と思います。「輸送の再考?」何だそれは、という声が聞こえてきそうです。輸送を再考するとは輸送を単純なコストとしてだけとらえるのではなく、もっと高度な機能を持たせることを意味しています。あまり気づいていない人が多いのですが、実は輸送機能には工夫次第で会社に役立つ内容を含んでいるといえます。
 
 ここでその機能について3つ例を挙げて考えてみたいと思います。その1つ目は「生産管理機能」です。もう少し具体的な表現をするとすれば「トラック合わせ生産」ということになります。工場では生産した製品を顧客に届けて初めて売りが立ちます。その届ける機能は輸送機能として多くの場合トラックが担っています。
 
 トラック合わせ生産とはトラックの出荷時刻をト...
 
  SCM
 
 輸送は一般的に空間的なギャップを埋める活動といわれています。たしかに北海道で採れた野菜を関東に運ぶ行為は輸送です。地理的な空間的ギャップを埋めていることになります。また輸送はコストとしての認識が大きいと思われます。なぜなら会社の物流コストに占める輸送費の割合はおおよそ6割だからです。したがいまして会社での物流コスト削減の号令の下、輸送費を下げることに必死になる姿をよく見かけます。
 
 真っ先に取り組む活動が輸送料率の値下げ要請です。トラック輸送の場合、世の中に運送会社は約6万3000社ありますから交渉をすれば大抵値段は下がりました。しかし最近はドライバー不足の要因もあり、また一時期の燃料費の高騰も相まって簡単に値段は下がらなくなりつつあります。
 
 このような環境下、私たちは輸送について再考してみてもよいのではないか、と思います。「輸送の再考?」何だそれは、という声が聞こえてきそうです。輸送を再考するとは輸送を単純なコストとしてだけとらえるのではなく、もっと高度な機能を持たせることを意味しています。あまり気づいていない人が多いのですが、実は輸送機能には工夫次第で会社に役立つ内容を含んでいるといえます。
 
 ここでその機能について3つ例を挙げて考えてみたいと思います。その1つ目は「生産管理機能」です。もう少し具体的な表現をするとすれば「トラック合わせ生産」ということになります。工場では生産した製品を顧客に届けて初めて売りが立ちます。その届ける機能は輸送機能として多くの場合トラックが担っています。
 
 トラック合わせ生産とはトラックの出荷時刻をトリガーとし、そこから前倒しして生産を行っていくことを指します。トラックが到着する1時間前までに生産を終え、出荷場に製品を並べておきます。その製品はもう行き先が決まった紐づき在庫です。在庫はその分だけ、ということになりますので、製品在庫を極小化することができます。この意味でも在庫コントロール機能も併せ持つということになります。
 
 次回に続きます。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


関連する他の活用事例

もっと見る
物流委託先とのパートナーシップとは

1. 管理技術の伝授  皆さんの会社では、多くの物流業務を物流委託先に外注(アウトソース)しているのではないでしょうか。物流アウトソーシングを行って...

1. 管理技術の伝授  皆さんの会社では、多くの物流業務を物流委託先に外注(アウトソース)しているのではないでしょうか。物流アウトソーシングを行って...


サプライチェーン最適化検討 エンジニアリングとしての物流(その6)

◆ 荷姿効率をKPIで評価する  製品形状に対する改善要請は常日頃「製品荷姿」を目にしている出荷担当者、物流会社の担当者が発信すべきだと思います。い...

◆ 荷姿効率をKPIで評価する  製品形状に対する改善要請は常日頃「製品荷姿」を目にしている出荷担当者、物流会社の担当者が発信すべきだと思います。い...


リスク管理の第一歩とは  物流のリスク認識を高める(その1)

◆ 人材リスクを考える  最近ドライバー不足でものが運べない状況が続いています。こういったリスクが顕在化している実態がある一方で、それに備えた活動が...

◆ 人材リスクを考える  最近ドライバー不足でものが運べない状況が続いています。こういったリスクが顕在化している実態がある一方で、それに備えた活動が...