情報発信のマーケティング 研究テーマの多様な情報源(その15)

更新日

投稿日

1.情報マーケティングのSTP+4P

 前回のその14に続いて、今回も、情報・知識を多様化するコンセプトとしてのオープンイノベーションを議論します。

 まずマーケティングのコアコンセプトとして、STPと4P(マーケティングミックス)という考え方があります。ここでSTPは、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの頭文字で、市場をセグメント別に分割し(セグメンテーション)、自社の対象市場セグメントを決め(ターゲティング)、その対象市場セグメントに自社の製品のアピール点を明確に合わせる(ポジショニング)というものです。

 そして4Pは、STPで明確にした対象市場セグメントに向けて、自社製品のポジショニングに基づき、自社のマーケティングミックス、つまり製品(Product)、価格(Price)、コミュニケーション(Promotion)、チャネル(Place)を決めることです。

 オープンイノベーションも、一種のマーケティング活動ですから、そこに向けての情報発信を、このフレームワークで考えることでうまく整理することができます。
  

2.セグメンテーションとターゲティング

 まずは情報発信の対象を明確にします。別稿では80億人を対象とするという話をしましたが、現実には情報発信をする対象者を明確にする必要があります。なぜなら、どの人や企業・機関を対象にするかによって、最適な情報の発信の方法や内容が異なるからです。

 オープンイノベーションに向けての情報の発信対象者の代表は、ライトハウスカスタマーです。これまで何度か紹介してきましたが、ここでも重要な情報発信の対象者がこのライトハウスカスタマーです。これは最先端顧客のことを指し、皆さんの会社の製品や事業に関わる分野で、最先端のニーズを持つ(潜在的)顧客のことです。ライトハウスカスタマーは、常に皆さんの製品の周辺分野に強い関心を持つ顧客です。このような顧客の中には、皆さんがこれから提供しようとするような製品を自分達で製作してしまったり、他の製品を流用して改造して使っているような顧客もいます。

 既に代替品や既存製品(競合品を含む)が存在する市場では、このような顧客が存在する可能性が極めて高いのです。なぜなら、既に市場が形成されているということは、そこに既にその周辺にニーズを持つ顧客が存在するということだからです。加え...

1.情報マーケティングのSTP+4P

 前回のその14に続いて、今回も、情報・知識を多様化するコンセプトとしてのオープンイノベーションを議論します。

 まずマーケティングのコアコンセプトとして、STPと4P(マーケティングミックス)という考え方があります。ここでSTPは、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの頭文字で、市場をセグメント別に分割し(セグメンテーション)、自社の対象市場セグメントを決め(ターゲティング)、その対象市場セグメントに自社の製品のアピール点を明確に合わせる(ポジショニング)というものです。

 そして4Pは、STPで明確にした対象市場セグメントに向けて、自社製品のポジショニングに基づき、自社のマーケティングミックス、つまり製品(Product)、価格(Price)、コミュニケーション(Promotion)、チャネル(Place)を決めることです。

 オープンイノベーションも、一種のマーケティング活動ですから、そこに向けての情報発信を、このフレームワークで考えることでうまく整理することができます。
  

2.セグメンテーションとターゲティング

 まずは情報発信の対象を明確にします。別稿では80億人を対象とするという話をしましたが、現実には情報発信をする対象者を明確にする必要があります。なぜなら、どの人や企業・機関を対象にするかによって、最適な情報の発信の方法や内容が異なるからです。

 オープンイノベーションに向けての情報の発信対象者の代表は、ライトハウスカスタマーです。これまで何度か紹介してきましたが、ここでも重要な情報発信の対象者がこのライトハウスカスタマーです。これは最先端顧客のことを指し、皆さんの会社の製品や事業に関わる分野で、最先端のニーズを持つ(潜在的)顧客のことです。ライトハウスカスタマーは、常に皆さんの製品の周辺分野に強い関心を持つ顧客です。このような顧客の中には、皆さんがこれから提供しようとするような製品を自分達で製作してしまったり、他の製品を流用して改造して使っているような顧客もいます。

 既に代替品や既存製品(競合品を含む)が存在する市場では、このような顧客が存在する可能性が極めて高いのです。なぜなら、既に市場が形成されているということは、そこに既にその周辺にニーズを持つ顧客が存在するということだからです。加えて、全ての顧客が現状で提供されている代替品や既存製品によって100%満足していることは、『絶対』にありえないからです。その製品周辺には、現状では満たされていないニーズが溢れているものです。そして人間の欲望は、満たされることがありません。満たされないニーズを満たすような製品の市場投入を、心待ちにしている顧客、すなわちライトハウスカスタマーが少なからずいるのです。

 そして今まで目を向けてきた対象以外に視点を大きく広げて、世界中に視野を拡大すると、このようなライトハウスカスタマーの存在の確率はますます拡大するのです。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「ステージゲート法」の他のキーワード解説記事

もっと見る
革新的テーマを継続的に創出するための外発的動機付け

 動機づけには「内発的」なものと「外発的なもの」があるわけですが、一般的に「内発的動機づけ」は「内発的」であるがゆえに、モチベーションを故意に作り出すマネ...

 動機づけには「内発的」なものと「外発的なもの」があるわけですが、一般的に「内発的動機づけ」は「内発的」であるがゆえに、モチベーションを故意に作り出すマネ...


革新的テーマを創出するために 「自社技術を市場にアピールする」

1.オープンイノベーション時代の自社技術・他社技術  オープンイノベーションは単なる流行ではなく、既に企業のコアコンセプトとして確固たる地位を確立してい...

1.オープンイノベーション時代の自社技術・他社技術  オープンイノベーションは単なる流行ではなく、既に企業のコアコンセプトとして確固たる地位を確立してい...


ステージゲート推進の主役はプロジェクトチーム

 ステージゲート法には限りませんが、新しいプロセスの導入に研究者や技術者の協力は欠かせません。今回はこの方法を議論します。 1.ステージゲート法成功には...

 ステージゲート法には限りませんが、新しいプロセスの導入に研究者や技術者の協力は欠かせません。今回はこの方法を議論します。 1.ステージゲート法成功には...


「ステージゲート法」の活用事例

もっと見る
3Mにおける組織内の知識・情報活用の事例

 研究テーマの設定、推進にあたって、組織内の知識・情報(特に技術に関する)の活用は極めて有用ですが、それを徹底しているのがイノベーションで有名な3Mです。...

 研究テーマの設定、推進にあたって、組織内の知識・情報(特に技術に関する)の活用は極めて有用ですが、それを徹底しているのがイノベーションで有名な3Mです。...


オープンイノベーションにおけるライトハウスカスタマーの事例2件

 情報・知識を多様化するコンセプトとして、オープンイノベーションが注目されています。今回は、そのための情報発信先としてのライトハウスカスタマーについて、B...

 情報・知識を多様化するコンセプトとして、オープンイノベーションが注目されています。今回は、そのための情報発信先としてのライトハウスカスタマーについて、B...


積極的情報発信の事例

  「情報の収集のための積極的情報発信」の必要性については、りんご(情報)を収穫するのに、一つ一つのりんごをりんごの木からもぎ取るのではなく、りんごの木の...

  「情報の収集のための積極的情報発信」の必要性については、りんご(情報)を収穫するのに、一つ一つのりんごをりんごの木からもぎ取るのではなく、りんごの木の...